転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 683

「やっ……やった?」

「はっ……たった一体やった程度で……調子に乗ってるんじゃねーよ」

「だだ、大丈夫ですか!?」

 なんとかフンコロガシ型の砂獣を倒した彼女は腕を失ったお調子者に駆け寄るよ。その腕からは血がドバドバと出てる。このままでは血液を流しすぎて死にそうだけど……

「腕がないやつなんていくらでもいる!!」

 そういって近くに落ちてた布を拾い上げる。きっと砂獣によって崩壊させられた建物の中にあった服かなにかに使ってた布なんだろう。実際、瓦礫の中にあったから勿論だけど汚れてる。それをそのまま……一応バサバサとして見える汚れは落としてたけどさ……菌とか大丈夫なんだろうか? まあ彼らは丈夫だからね。きっと大丈夫でしょう。

 無くした腕の部分に布を強く巻いて止血する。器用に片手と口を使って結んでた。

「下がったほうが……」

「女が戦ってるのに男が下がるわけにはいかねーだろ。それに……まだまだ来るぞ」

 そう言って片腕をなくしたお調子者は自分が落とした剣を拾う。そしてさらに彼女をみてこういった。

「お前も、あれだけで満足なんてしてないだろ? 俺だってまだまだ晴らしいた恨みが奴らには有るんだよ。こんな所で下がれるかよ」 

 その言葉を聴いて、彼女も説得は諦めたようだ。きっと何か通じる部分があったんだろう。

「そうですね。私も、この程度で満足なんてしてません!!」

 そう言って二人は迫ってくる砂獣に突っ込んでいく。そして二人でお互いにカバーしながら砂獣を切り刻んでいく。そのうち二人共砂獣の緑色の血を浴びて全身緑色になっていくが、そんな事なんて気にせずに迫りくる砂獣を次々と屠っていく。

 まさに息ピッタリ……という感じになってるね。しかもお調子者……とかこれまで言ってたけど、さりげなく彼女をフォローしてたりしてるし、もう調子に乗ってもないんだよね。視界を広く持って、なんか他のやつにも注意を促したりしてるしね。

 なんか腕をなくして一皮剥けた感じがある。実際、腕を無くす前に一皮むけるのが1番だったと思うんだけど……まあ彼にとっては必要なことだったのかもしれない。

 それに女の子が参戦したことで……しかも彼女も確実に砂獣を倒してるのを観てほかにも更に「自分にも出来るかも」とか思ってた奴らが動き出す。てかここまで戦ってなかった男たちに焦りが出てきた。

 なにせ少女が戦ってるのだ。それなのに大の大人が建物の中で震えてたら……そこにいる女性陣とか戦えない奴らからの視線が痛くなるものだ。勿論誰も「男なのに……」とか言わないよ。けどね……そういう空気ってのは敏感に感じるものだ。

 なので重い腰を上げて男達がいくし彼女のおかげて他の女性たちが幾人かが立ち上がって外に出る。

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