転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 682

お調子者を少女が救った。これが逆ならお姫様と王子様的な物語が……って感じだと思ったけど、逆はそれはそれで……ありかもしれない。そんな事を思ってると……お調子者が叫ぶ。

「馬鹿野郎!! 何やってやがる! 女はさっさと下がってろ!!」

 助けてもらったのになんて言い草だろうか? このお調子者は痛い目にあってちょっと自分を反省するかと思いきや、そんな事は全然無いらしい。

「下がるのは貴方です! そんな怪我して、戦うのはもう無理です!」

 そう言ってお調子者に近づいてくる彼女。でもその時、二人に影が落ちる。雲でも太陽にかかった? ではない。なにせ他のところは変わってない。となれば、それは一つ。倒したと思った砂獣だ。フンコロガシ型の砂獣が立ち上がってた。

「くっそ! これだら女は!」

 そんな事をいって、お調子者は彼女を押しのけた。

「え?」

 彼女は何が起きたのかわかってない。きっとその瞬間、彼女の目には全ての動きがスローモーションに見えてることだろう。押しのけられた彼女、そして体を無理やり動かして前に出るお調子者。さっきまで体を起こすことも出来なかったはずだ。けどお調子者は自分を助けた彼女を押しのけて、動かないその体を無理やり動かして前に出る。そしてその腕を前に出した。

 ぐしゃ……っと前に出したその腕にフンコロガシ型の砂獣が噛みついた。致命傷の所を噛ませないために、どうやらお調子者はその腕を前に出してたらしい。砂獣のその顎の力は強力だ。噛まれた腕はそのまま潰れて、嫌な音をたてながらお調子者の体と腕は離れてしまう。

「きっ――」

「逃げろ! 叫ぶくらいなら、覚悟がないなら女は逃げろ!!」

 腕が食い散らかしてるというのに、お調子者は真っ青な顔をして怒鳴ってる。その声に、彼女は悲鳴を飲み込んだ。そして瞳に炎を再びともす。

「私は! 戦う!!」

 お調子者の腕をくちゃくちゃと食べてるフンコロガシ型の砂獣の頭へと剣を突っ込んだ。抵抗もなく刺さった彼女の剣。けどそれで終わりじゃない。今度こそ完全に殺す――その気合を込めて頭に2つの剣を刺した。

「うわああああああああああああああああああああ!!」

 ズババババ――――とそこからフンコロガシ型の砂獣を細切りにするように激しく彼女は動いた。みじん切りにされたフンコロガシ型の砂獣は今度こそ息絶えた。

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