転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 629

私と勇者が透明になって見守る中、ヌメリアさんが起きた。その長い睫毛で覆われた目を何度かバチバチとする。あの感じ……多分彼女の中の性に貪欲な人格? は出てないみたいだね。アレが出たら、ヌメリアさんはとてもシュッとするからね。まさに感情を落としてしまって、機械のように動くというか……性を取得する技術はめっちゃ凄いんだけど、それ以外はなんか全てに興味ないみたいな感じになる。

 でも今起きようとしてるヌメリアさんはとても人間っぽい動きをしてる。だってもう一つの方のヌメリアさんだともういきなりカッと目を見開いてガバって起きて、次の瞬間にはきっとおじさんを襲ってたと思う。これはあながち間違ってないからね。

 もう次の瞬間にははだけてるって感じ。そのくらいするに決まってる。

「うーんここは? 私……裸じゃない」

 もうね、このセリフで可哀想だなって思った。きっとヌメリアさんは目覚めたときはベッドとか、性にまみれてるとか……そんなのばっかりだったんだろうなってことがこのセリフでわかる。

「ここは私の家だ。私の事わかるか?」

 そう言われて、目の前に座ってるおじさんに目を向けてるヌメリアさん。するとコクリと頷いた。

「はい……統括局の所長さん……ですよね?」

『ああ、君がちょっと重要参考人だと言うことでね。このサーザインシャインインラの危機の事も含めて、招集願った次第だ。この意味がわかるかな?」

 なんかおじさんは統括局って言うところの所長らしい。かなり偉そうだが……それでもこのサーザインシャインインラではそうでもないのかな? きっと庶民から見たらおじさんだって十分偉い地位にいるんだろう。けど、おじさん的には本当に偉い、権力にしがみついてそれを盤石にしてる奴等が居るってその立場だからこそわかってるんだろうね。

 だからこそ、ここが腐ってるって言い切れる。

「ごめんなさい……私は……うう……」

 なんかヌメリアさんは泣き出した。美女がすすり泣く姿は胸を締め付けられるものがある。でもおじさんは油断はしない。厳しい視線を向けてるよ。さすがではある。もしもこれがおじさんじゃなかったら、きっと哀れんで近づいて肩か頭とかポンポンとかするんだろうね。

 そうして上向いたヌメリアさんの涙が溜まった瞳に見つめられてズキューンってなって、そのままキス。そして押し倒す流れっていうね。いやこの泣いてるのは本当にヌメリアさんの気持ちだと思う。けど、どこでスイッチが入るのかわかんないんから怖いんだ。

 そして彼女ほどの美女に迫られると殆どの男は自制なんて出来ないからね。だから下手に近づかないおじさんは偉いよ。彼女は彼女の意思で男を誘惑してるわけじゃないからね。

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