転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 624

「もう……いや……」

 そんな事言って再び彼女は気絶する。その悲痛な叫びは……とても切実そうに私には写ったよ。彼女は本当にこんな事はやめたいと思ってる。少なくともあの人格は。でもそれを許さない事情がある。きっと彼女の意思とは関係なんて無いんだ。

「とりあえず……」

 私は生まれたばかりの砂獣を今度は確保する。最初に見たときはその衝撃とかのせいで逃したが……いや一応どこに何をしに行ってるのか確かめるって大切な仕事をしただけだけどね。とりあえずその目的は達したからね。今度はこの人間から生まれた砂獣が普通の砂獣と何が違うのか……それを調べたほうがいいかなって思ってね。

 とりあえず私が追いかけた最初に生まれた方のやつを追いかけていったら、このサーザインシャインインラを囲んでる砂獣の一体に入っていってた。そしてこの人が生んだ小さな砂獣がその体に入ると、明らかに強化された様な……そんな感じだった。それにいきなりそばの砂獣を食べ始めたし。それによって、なんか大きくなったり、形が変わったりしてた。

 普通は蟻型の砂獣ならそれをベースに強くなっていくと思う。それこそサソリ型ならベースはサソリのまま強くなっていくっていうか……そういう感じなんだと思うんだよね。けど、小さなサソリが入った砂獣はどうやら違うらしい。

 周囲の砂獣を取り込んでいって、最初はどこにでも居るような蟻型の砂獣だったのに、今やその形はなんかトンボみたいになってる。てか飛ばれたらやりようがないじゃん。この世界の人たちではさ。圧倒的に有利なボジションをとれることになる。

 他にもみたこと無いような砂獣がちらほらいるのは……多分だけど彼女が生んだ砂獣が原因なんだろう。

「そういえば彼女は二連続でサソリ型の砂獣を生んだね……そこは決まってるのかな?」

 あと一回みて、それもサソリ型ならきっと彼女から生まれる砂獣はサソリ型しか無いのかなって思える。でも……そこまで待ってやるつもりはない。気絶した彼女はやっぱりだけど男を漁るモードで起動して、出産の名残を魔法で消す。そして再び男の性を集めに行くんだろう。

 私はそこで電撃をパチっと流して、再び気絶させた。もしかしたら遠隔とかで教会によって操作されてたりしたら気絶なんてしないかな? とか思ったけどちゃんと気絶してくれた。

 私は一応ツンツンとドローンでしながら「おーい、きぜつしてます?」と声をかけてみた。

「うん、大丈夫そうだね」

 とりあえずこの人はおじさんのところに連れて行こう。

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