転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 599

「そっちはどうですか?」

 私はとりあえず現状を伝えるために勇者に今のサーザインシャインインラの事を告げて、アズバインバカラの動きを確認するよ。別に私が独断と偏見でやっても良いんだけど……一応私はこの世界での設定は魔王や勇者……もう魔王はいないけど、そいつらの使い魔的なポジションだからね。あんまり勝手に動くのはね……まあ実は自分がやらせてました――という事後報告でいけそうではあるけど。

 でも最近、私が自律的に行動してると疑われてるからね。今更か? でもまあ厄介事はあまり抱えたくは無い。最近は鬼の相手でストレス発散してるし、今更そこらの砂獣を蹂躙するのもどうかと思うしね。

 宵はこの世界の思惑とは関係なさそうだから暴れてるのだ。でも昼間は私や勇者……そして今はアイが率先してやると、バランスがね。崩れるじゃん。だからとりあえず、ちゃんとした方針には従おうと思ってる。

 まあ結局、アズバインバカラ側が協会側に負けるのは気に食わないからどっちみち手助けとかしちゃうんだろうけどね。けどさ、そう言う物だよね。人とは全てを合理的に判断して動ける物じゃ無い。

 だからそのときはその時だと思うおう。てか今までもその気持でいたからね。実際施設を作ってこれ以上肩入れするのはどうか……と思うんだけど、やっぱりここまでやったら彼らには負けてほしくなんてない。だから付き合っちゃうよね。一応アズバインバカラの方針には従うけどね。ラパンさんが見捨てる……とはおもってないけどね。

 ラパンさんは上に立つものとしてちょっと優しすぎるけがあるよね。

「こっちはすでに部隊が編成されてます」

(やっぱり)

 思った通りだよ。ラパンさんはやっぱり優しいね。てか誰も反対とかしないのだろうか? いや、アズバインバカラの上位陣はいい人多いからね。もちろんそれだけではないともわかってるけどね。

「アズバインバカラはここで力を示しておきたいみたいですね。アズバインバカラ側が王家がこちら側についたと触れ回ってるわけですし、他の街をこちら側につかせるためにその力を示したいみたいです」

「なるほど。波を押し返すことができたのなら、たしかに他の街に示しがつきます」

「はい」

「そして王家を有するに値すると……自分たちが協会に変わって王家の守りにふさわしいと認めさせることができる」

「単純にサーザインシャインインラの水源がほしいというのもあるようですがね。なにせサーザインシャインインラは王家がアズバインバカラへとやってきてから水の供給をしぶってたみたいですから」

「たしかにこっちで聞いてる限り、サーザインシャインインラは協会とのつながりが強いみたいですね」

 そんな中アズバインバカラへと救援を求めてきたってのはなかなかに図太い神経してる思う。まあ何も考えてないだけなのか……ただ単に自分の身可愛さなのか。後者の可能性が高い。

「でもそれなら私たちはなるべく手を出さないほうがいいですね」

「そうなるでしょう。今度ばかりは自分たちだけでやるみたいです」

 それは大切なことだね。彼らだって私達におんぶに抱っこだと駄目だと――そう思ってるってことだ。実際そう思えることが大事だよね。だってなにせ人って楽な方に流れ易いものだ思う。それなのにちゃんと自分たちでやらないといけないと――そう思っているアズバインバカラの上層部の面々は偉い。だからこそ手を貸そうって思えるんだけどね。

 これが助けられて当たり前で当然とか思われると嫌になる。もしかしたらラパンさんはそこらへんまでわかってて動いてるのかもしれないが……自分で納得できるならそれでもいいかなってね。取り敢えずサーザインシャインインラのことは高みの見物してますか。

 もちろん、裏ではサーザインシャインインラの上層部の悪事を記録しておくことを忘れないけどね。だって奴らがノコノコとアズバインバカラへと来るの嫌じゃん。

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