転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 573

三秒が追加されたとしてもこの暴走を止めることはできない。いや止めない。このまま私の糧になっていただきましょう。本当なら魔王は自爆で逝ってくれた方が全然良い。たが、それだけのエネルギーをこの至近距離で食らうと私だってただでは済まない。あの子から貰ったこの体は。自己修復機能がある。だからその範囲でならいくら傷ついたって別に良いが、それ以上に傷つくのは私がイヤだ。

 そういうわけで渋々だけど、魔王も生き残ってしまうだろう。こいつが私よりももろかったら……とも思うが、そんなことは無いだろう。とりあえず暴走までの流れを変える事は出来ない。沢山の小さな川を作って三秒を捻出したが、これ以上はあまり効果は無い。これを倍に増やしたら六秒になるかというとそうでは無い。

 不思議な事に同じようなことをするとその行動によって得られる効果、というのはどうしてても落ちて行ってしまう。だから更に同じ事をやったとしても、次は半分に落ちてしまうだろう。それでは駄目だ。間に合わない。

 だからだからこそ、もっと建設的にこの三秒を使う。それは魔王の力を小川に流したそれを利用するって事だ。大きな流れ……それは暴走へと向かう流れへと呑まれてる力を取込むと此方にもリスクがある。

 下手したら私の内部で暴走が始まるかもしれない……という怖さがある。けど小さな流れから流れてくる力なら暴走へと呑まれる意思というか、流れは小さいからこっちが制御を得られる。もちろんそれは私の優秀さがあってこそ。

 それに魔王の力の波長に合わせてたのもここで効いてる。そして得た魔王の力に此方のブログラムを乗せてもう一度戻す。それによって魔王の内側でも暴走とは違う流れを作り出す。臨海へと至る道を物理的に防ぐ様な機能を強制的に発動させる。その内突破されるだろうけど、これで更に五秒は稼げたでしょう。

 更に続けて魔王の体を調べる。これで一体どれだけのパーツを取込んでるのか、それを知る事が出来る。魔王の元々のパーツはあの子にとって何のプラスにもならないから、別に壊れても良い。寧ろいらないまである。 

 けど、新たに得たパーツも壊れたら困る。それは絶対にあの子に有意義だ。だからそれを選別して、暴走して臨海した後に爆発後も大丈夫な様にしたい。本当なら今の段階で取り出せたら良いが……どうやら対策してるらしい。これだけの時間ではちょっと無理。

「さて、全ての準備は整いました。私の生存確率は八十パーセントです」

 私が色々と小細工をしても暴走という大きな流れは止まらない。そしてその時は来た。魔王の体が強く光り輝き、その時は来る――と思ったら、なんか抱きしめられた。

「なっ!? 動けるはずが!!」

「貴様が色々とやったおかげだな。まあやると思ってたよ。色々と勉強させて貰った」

 そんな事を宣う魔王。まさか、こいつはずっと私がやってることを観察してたのだろうか? そして暴走をある程度止めるとも予測してた? それなら、魔王という魂の存在を上方修正しないといけないかもしれない。

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