転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 562

「恐ろしいですね。これだから魂が生き生きしてると厄介なんです」

 ナノマイクロデバイスを体内に侵入されたはずの魔王が何の苦も無く……いや微妙に体は震えてるが、それでも立ち上がったことに内心かなりびっくりしてるアイ。多分だけど、これがかなり必殺の一撃だったんじゃ無いかな? なにせ気づかずに体の自由を奪えるはずの仕掛けだったんだからね。上手くいけば……いや上手くいった筈なんだけど、何故か魔王は立ち上がった。

 

(けど、私的には予想できたけどね)

 ナノマイクロデバイスの説明を読んでもいまいち良くわかんないが、そんな小さい物に魔王が負けるなんて思ってない。アイだってAIとして二人のことはずっと、それこそ私よりも色々と詳しくみてたはずだろうに……まあけど、アイがみてたのはきっと数字なんだろうって思う。それが間違いなのかなんてのは知らないが、人というか人に限らずに生けとし生きる生命というか魂は、数字だけではかれるような単純な構造はしてないと思う。

 いや、それかもしかしたらこのシステム……このG-01を……そして私を生み出した人達はそれこそ全てを解析してこの世の全てを数字で、数学で表せるような集団というか文明だったのかもしれない。

 アイの奴はそれこそ自分を生み出したその人達のことを尊敬してるような事を節々に匂わせてるからね。でもその数字も完璧では無かったと……

「ふん、我は常に上を目指している。成長が止まることなど無いとしれ!!」

 そういう魔王から赤いオーラが立ち上ってる。それが何なのかはわかんない。あまりのやる気にそれが可視化されてるんだろうか? 実際この赤いオーラは特殊な瞳じゃ無くても見えると思う。

「決める! 防御しろよ。そうしないと死ぬぞ!!」

 その瞬間、アイの目から魔王が消えた。そしてその衝撃が一瞬にして伝わってくる。終わったか? とか思った。けど――

「残念でしたね」

 ――そういうアイはなんと魔王の背後をとっている。イヤ違う。うん……それは違う。何が起きたか一瞬わかんなかったが、これは……そう……アイの予想通りなんだ。というか思惑通り。ナノマイクロデバイス……それを魔王は克服した……と思ったみたいだけど(私も)それはどうやら違った。なぜならナノマイクロデバイスはまだ魔王の中にあるからだ。

 確かに体の自由なんて奪えるのなら奪えた方が絶対に良い。絶対に有利になるしね。けど出来なくても……というかそもそもかこっちが本命の可能性が高い。

「なに? ――ふん!!」

 魔王はすぐさま動いた。背後のアイに拳を向ける。けど……それはアイには届かない。いや、違う。そもそもが背後を殴ってない。拳は右にずれてる。なにそれ? 後ろもわかんなくなったのかな? とか思った。けど……なんかみてるとそうっぽい?

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