転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 556

アイと魔王の戦いが始まってしまった。本当になんでそんなに戦いたいのか……二人とも最初は探り探り……というか、なんか体を温めるかのように戦ってた。まあアイの奴はそれこそその体はおろしたてだからね。感触を確かめる必要があるのはわかる。

 けどそれが魔王もとはね。やっぱり色々とこの場所で魔王は何かを手に入れてるみたいだ。色々と私に確かめられるのはイヤなのか、拒否してるんだよね。だから何が変わったのか全てはわからない。

 まだ私は魔王を解放してないし、強引にその拒否を突破することは出来ると思うけど、プライバシーの侵害は避けたいというか、なんかそれをやったらもう元の関係に戻れなくなりそうじゃん? だから穏便にするためにも、アイを派遣したはず――なのにね。あいつ何もわかってない。

「此方の出力の調整を開始、相手の戦力の分析は密に……残ってる情報との差異を補完」

 なんかそんなことをブツブツとアイは呟いてる。多分だけど、自分の体のスペックを確認しつつ、G-01に残ってたデータと今の魔王のスペックの差異を修正しようとしてるんだろうと思われる。つまりはアイは時間をかけるごとにその動きを洗練させていくはずだ。これは魔王には不利になる――かはわからない。

 だってなんか魔王も同じようなことをやっている臭い。いや、魔王のやってることは、アイのように分析という感じじゃ無い。なんかただ単に感触を確かめてるって言う感じの方が強い気がする。

 アイも魔王も基本その体一つで戦ってる。まあようは殴り合いである。泥臭いことをやってるね。アイはともかく、もっと派手に魔王は戦えるはずだ。それだけの力があるのは知ってる。けど、きっと変化があった体を確かめようとしてるんだろうね。

「なかなかの動きだ」

「それは私に言ってるのですか? それとも自身の体への評価でしょうか?」

「自分のに……だ!」

 振り上げた拳と共に、砂も大量に巻き起こった。視界を塞ごうと言うことだろうか? けどアイの視界にはちゃんと魔王の姿が映っている。なにせ色々と高性能なセンサーを詰んでるからね。視界でみてるだけじゃない。

 だから魔王の動きは丸わかり。それをアイは利用しようと考えるはずだ。なにせ魔王はこれで視界を塞いだ……と考える――

(かな?)

 ――と思った。魔王やら勇者クラスの奴等はそれこそ視界だけで敵を捕らえてるわけじゃ無い。それはある意味普通では? なら、見えてる可能性を考慮しててもおかしくないよね。そう思ってると、おかしな現象が起きた。アイのセンサーに複数の魔王の反応が出てきたのだ。

 分身? イヤ……でも分身にしてはアイの全てのセンサーがその沢山の魔王を実態と判断してる。それをみて、アイは左腕の回転を止めた。そして次に二の腕が分割されて、そこから光が盾となって現れる。防御を固めて、カウンターをとる気のようだね。

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