転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 516

「シザーラス人? なんだそれは?」
『知らないのかい? 君が仕えてる存在のことだよ』

どうやらジゼロワンの事をシザーラス人と言ってるようだ。あれを人と言って良いのか……いやその中の……か。あれだけの大きさだ。あれ自体に生命が宿ってるんじゃなく、何者かが操ってる……と考えるのは普通のことだろう。

『ほらね、彼らは君に何も伝えてない。それは信頼されてないって事じゃないかい? そんな相手に仕えてても君たちはきっと使い潰されるだけだ。君たちは彼らにとっては結局の所道具でしかないんだから』

 この神と名乗る怪しい奴の言い分もわかることはある。だがそれはそれだけのことだ。そして我と勇者がジゼロワンにとって道具なのは事実だ。何せ我らは武器だからな。だがその武器に対して意思を残してこうやって自由に行動をさせている。
 それに存在自体が変わったことで、限界を感じてた強さの上限というのが上がったのも事実。だから我がこいつに問うのはこれだけだ。

「貴様はどれだけの戦いを我にくれる? 我の強さへの渇望を何処まで引き上げれる? それ次第だな」

 実際いつまでも勇者の奴と行動するってのはイヤだったのは確かだ。あんな奴と仲良くなんてやりたいわけじゃない。出来るなら殺し合いたいくらいだ。だが、それは我のこの体が許さない。この体は、我の物のようであって我の物ではない。結局は確かにジゼロワンの所有物なのだ。
 この縛りにメリットがあるからこっち側にいるだけで、何か良い条件があるのなら、乗り換えるのもやぶさかではない。

『私は真の神だよ。そんなの簡単さ。今よりももっと強くしてあげよう。新たな命に今よりも強き体。ああついでに不老にしておこうか。いつまでも戦い続けたいだろうからね。その力を手にしたとして、私は君を縛りはしない。好きなように生きるが良い。最強の力を使っていくつもの世界を蹂躙すれば良い』
「随分と此方に都合が良いな。其方にメリットがあるようには思えないぞ」
『それでもいいんだよ。こっち的にはこの世界から出て行って貰いたいわけだし』
「我は出て行っても、ジゼロワンと勇者は残るぞ」
『そこはほら、君は借りは返すタイプだろう?』

 そういって神と名乗ったそいつは嫌らしい笑みを浮かべてる。我のことを理解してるぞ……とか言いたげなその笑み。イラッとくる。同じ上位の存在でも、ジゼロワンとは結構違うものだな。こいつのことは『気に入らない』――そんなカテゴリーに入れる事にした。

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