転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 503

「此方からも質問ええかの?」

 立場が分かってるのか、蜘蛛人間ヌポポがそんなことを言ってきた。教会の奴等はとらわれの身になってもそんなの気にしないらしい。色々と聞き出したいことはこっちにはまだまだある。けど、こっちばっかり質問しててもね。ある程度、向こうも積極的に話させるためには、飴だって必要だろう。鞭と飴は使いようだと思う。なので許可することにした。
 それにこいつが何を知りたいのか、ちょっと興味もあるしね。

「何ですか?」
「聞いた話では、おぬし様は異世界のお人だとか」
「ええ、自分達はこの世界の住人ではありません」
「つまりは、おぬし様達の世界は滅びたのかの?」
「はい?」

 いきなり何を失礼な事を……多分滅んでないと思うが? 確かに自分達の世界には空獣というとんでもない化け物がやってきた。それにその前に自分と魔王の戦いによって世界はかなり不味い状況だったらしい。でも……滅んでは居ないはずだ。実際確かめることは出来なかった。でも、自分と魔王が武器になり、ジゼロワン殿に遣われることによって、なんとか空獣を追い払った……はずだど思う。いや、ただそう信じたいのかも知れない。でもいつか自分達の世界へと戻りたいと思ってるから、なくなってられると困る。これは自分の願いもあるとは思うが……こう答えるしかない。

「自分の元の世界はちゃんとあります」
「なるほど、と言うことは世界を渡る技術が確立されてるということじゃな?」
「え?」

 やばいな……この蜘蛛人間ヌポポは中々に鋭い質問をしてくる。めっちゃ困る。こっちが困惑してしまうようなことを言わないで欲しい。世界を渡る技術か……確かにそればジゼロワン殿は持ってる。だからそう思うのも無理はない。だが……そうか……そういう事か。

「自分と魔王は同じ世界の住人ですけど、じ……あれは更に別の世界の物だ」
「なんと、それではどのようにしてあれを手に入れたのかの?」

 むむむ……危ない危ない。ジゼロワン殿とか言いそうになった。口に出していったら、今の設定と食い違ってきてしまう。なにせ今の設定だと、ジゼロワン殿は自分と魔王の所有物……的な物になってる。だから敬意を払ってるのはおかしいだろう。もしかしてそこを疑って……は流石にないか。蜘蛛人間ヌポポはただの興味本位な様な気がする。
 やっぱりこいつは他の協会関係者とは違う。他の奴等……というか大多数の教会の奴等の興味は権力だろう。でもこの蜘蛛人間ヌポポは違う。興味の本位がいままで出会った教会の奴等と根本的に違うんだ。

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