転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 502

「まあ全体的に言うと教会の意向なのかも知れないの。儂は世界のために動いておるからの」

 世界のため……か。教会の奴がそんなことを言っても、こっちからしたら私利私欲でしかないだろうって思う所なんだが……でもこいつの場合は確かにその言葉には間違いはないのかも知れない。そもそもが人間を止めてる時点で人とのしての幸せとか人生を求めてる――とは思えない。だからこそこいつが腐敗してるとは思えないってのがある。世界のため……それはあながち間違いではないのかも知れない。けど……

「それは世界の為に犠牲は必要なんでしょう?」

 そう、教会の奴等は自分達以外の犠牲はいくら出たって良いって考えだ。地上にいる人達なんて奴等にとっては虫と同じ……だからこいつの言葉は決まってる。

「そうじゃな」

 ほらね。中央の、それこそ地上部分のスラム奴等を見捨ててた教会だ。地面から離れてない奴らは教会にとっては虫みたいな物なのだろう。

「じゃが、それは儂等が背負っておるぞ」
「はい?」

 ん? 今何言ったこの蜘蛛人間。言葉の文脈から言って今この人は犠牲は自分達が負う……そう言ったように聞えた。いやいやいや待て待て、教会がそんなことを言うわけない。だって今までの教会の人間は誰もが自分本位な奴等だった。ペニーニャイアンを観てればもう残念な気分になるからな。でも……もしもこの人が中央の教会の影響を受けてないとしたら? 
 実際さっきこの蜘蛛人間ヌポポは中央の教会には居ないと言った。それなら……もしかして最初からこのアズバインバカラにいたような教会の神父さんみたいにまとも……なのかも知れない。
 実際自分が知ってる中で唯一教会でまともと言えば、元からこのアズバインバカラにいた神父さんだ。あの人は本当に教会の教えを真摯に守ってその教えを信じて救いになろうとしてる。
 勿論、何かが出来るわけじゃない。ただの人だからだ。でも……話を聞いたり、聖典を読んだりしてちゃんと人々の安らぎの場に教会はなってた。実際それが正しい教会の形だと思う。中央から離れてるそれぞれの都市にある教会はまともな可能性はある。そのなかでもアズバインバカラの神父様は特別にまとも……な気はするが……

「今なんと?」
「犠牲を負うのは儂等教会という事じゃ。この体もその果てじゃよ。儂等は魂の深淵を観て魔法を使っておる。だからこそ、世界が生まれ変わる礎の柱になるのじゃ。それが儂等の役目じゃよ」
「それって……良い事何ですか?」
「新たな世界の柱になれるのなら、それは神と同等じゃよ。神は柱で呼ぶではないか」

 まあ確かに一柱とか二柱とかいうけど……え? 教会は民を犠牲にするわけじゃないのか?

「でもそれって、太陽に到達するんですよね? その時はこの世界の今生きてる人達はどうなるんですか?」
「それはわからんの。じゃが、太陽に届くことは終わりではない。始まりなのじゃよ」

 ううん? この蜘蛛人間ヌポポの話を聞いてると、なんか混乱してきた。一体どういうことだ? てか太陽に到達しても良いのか? よく分からなくなってきた。

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