転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 492

 AIが用意した設計図は様々あるが……簡単に言うと産み出せる物の数の差、量の差、後は質の差で分類できてる。当然だけどそれら三種を全て内包した施設を産み出すのはそれ相応のエネルギーが必要だ。ぶっちゃけ足りない。私が鬼の角のエネルギーをもっと残しておけば作れただろうけど、ないものは仕方ない。それに流石にこの世界に一番良い設備はちょっと過剰だろう。過剰というか異常というか……その域に達してしまう。
 なので無難な奴が良いと思ってる。この世界で一番何が必要か……まあ最優先は水だよね。この世界は砂が多い。川とかそうそう無いのだ。一応アズバインバカラはこの世界でもオアシスの隣にあるがそれでここの住民を全部まかなえてるのは不自然。その種は街にある都市核だ。都市核によって街は維持されてるから、当然不足してる水とかもそこから得てる。物資もそうだね。まあ都市核は水は生み出してくれるけど、物資は土壌を多少実りを良くする――くらいみたいだけと。それでも砂ばかりのこの世界ではありがたいだろう。
 都市核のおかげで人間が住める土地が確保出来てるのは確かだ。でもその都市核は協会の技術によって制御されてる。つまりは教会の手の内にある。それは危険すぎる。よくよく考えたら、もしかしたらあの蜘蛛人間……その狙いは王様達ではなく、都市核だったのかも知れない。

 遠隔でそれぞれの街の都市核に干渉できちゃったらそれこそどうしようもないが、流石にそこまでは出来なくて、直接関係者が何かしなくちゃいけないとなると、あの蜘蛛人間は魔法の熟練者みたいだったし、あり得そうだ。まあけどその対策をするわけだからね。
 もしも都市核がどうにかなっても、私が作った設備があれば、どうにか出来る。

「流石に今のアズバインバカラとジャルバジャルを含めた人数分、ギリギリの製造量をカバーするだけじゃ余裕がないわよね?」
『そうですね。最低でもその二倍か三倍の生産量は確保しておきたいところですね』
「あとこの世界は保存設備もないしね。そこら辺も同時に作らないとね」

 何せこの世界は暑い。それはつまりは腐りやすいって事だ。それなのに日持ちさせるための設備ってそれこそ宮殿にしかない。庶民は冷やすってことを知らない。水とかだって普通に飲むだけだ。酒もそうだね。だからそれには魔王も勇者もそこそこ文句言ってた。
 まああの二人は自身で冷やせるからそれで凌げるけど。

 とりあえず目標としては水は絶対に確保しないといけないとして、何にでも使えそうな食料三種類くらい作り出せて、あとは鉱石とかも産み出せれば良いよね。なんだってこの世界には不足してるのだ。なにせ砂しかないからね。一応大地は残ってるところもあるけど、大体堅い岩石だからね。それを加工して使っても居るけど、武器とかには砂獣を材料にしてるのが多い。それはそれでいいと思う。有効活用だしね。
 私の設備で生み出す物資はそれこそ街の方に使って貰いたい。私はAIから貰った資料を元にアズバインバカラからちょっと離れた所に施設を作ることにした。何処を見渡しても砂しかない場所。けど丁度アズバインバカラとジャルバジャルの中間だ。ここなら色々と便利だろう。

「さて、やりますか」

 私は鬼の角のエネルギーと隠し持ってた都市核の残りを使ってG-01のユグドラシルシステムのクリエイト機能を駆使するよ。

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