転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 478

「ふぇふぇふぇっさぁて、そろそろかの」

 そう言いつつ、なんかよく分からない言語を呟き始めた蜘蛛人間。魔力的ななにかが活性化してるようにG-01のセンサーでは見える。と言うことはきっと魔法だろう。発動させてどんな魔法が発動するのかちょっと見たい気はする。盛大にジャンプして蜘蛛人間の眼前へと迫ってるわけだけど、ちょっと調整するか。
 私はブースターを吹かせて滞空時間を長くする。

「さあ、おいたをしでかした子らへとお仕置きせねば。何のために生かされてるのか、教えてやらねば。アズバインバカラはまあ……仕方ないの」

 なにが仕方ないのか……それは分からない。けどきっとろくでもないことじゃないのは確かだろう。だって教会の奴だし、蜘蛛人間だしね。めっちゃ人とかバリバリと食いそうな見た目してるもん。そう思ってると魔法が完成したのか、足下に魔方陣が出てきて奴を包む。するとスウーッと奴のその不気味な見た目が消えていく。どうやら姿を隠す魔法を使ったらしい。

「ショボい」

 私はそういう風に呟くよ。だってもったいつけといてただ姿を隠す魔法って……何か期待外れ感があるんですけど? イヤね、勝手に期待してたのはこっちだよ。それは認めよう。けどやっぱりなんかもっとこう……それこそ人化する魔法とかならまだ「おお」とか思えたのに……ただ姿隠すだけって……こっちだってそのくらい機能を追加して出来るように成ってるよ。迷彩化が追加されたのだ。
 光学迷彩技術でなんやかんやで周囲の風景にG-01を溶け込ませることが出来る。でもまだ完璧じゃないんだよね。なぜなら動くことが出来ないのだ。動いたら周囲の景色に対応して自分に映ってる景色も変えないといけないから、それにはまだ……ね。止まってたらほぼ気づかれないレベルで隠れることが出来るんだけど……動くと違和感しかない。大変だ。本当なら機体が透明になれればそんなことを考慮する必要なんて無いんだろうけど、無理なんだよね。なにせG-01は膨大な数のパーツで組み上がってる。それを全部透明化出来る素材にする? だって普通に外側だけ透明になれたとしても、内部が見えるスケルトン的なボディになるだけじゃん。
 わかりやすく言うと、人間で言うところの体は透けてるけど、骨や内臓は丸見えです――的なね。それでは意味ない。てかホラーである。だからこその光学迷彩。表面に気づかれない周囲の映像を投影して姿を隠すって言うね。魔法がなんやかんやを全て自動でやってくれたら……ありがたいことこの上ないが、そういう高度な魔法処理的な物が施されたらパーツへの換装はまだ先になりそうなんだよね。それに全身をそれに変えるとなると……膨大なエネルギーが必要だ。それに隠密とかの方面に装備を向けると、強度とか攻撃力とかがね……G-01は強いのだ。なら、そっちを伸ばした方が良いのでは? って思うじゃん。悩ましいよね。

 おっとそんなことを考えてる場合ではない。今は蜘蛛人間だ。魔法なら簡単に姿を消せて本当に良いよね。やっぱり装備で実現するよりは魔法でそういう補助的な物は実現した方がいいなって思いつつ、私は蜘蛛人間をみる。え? 何故に姿を消してる相手が見えるのかって? それはもちろん……私、優秀ですから。G-01の各種強化されたセンサーは魔法で隠れたくらいでは逃がさないのだ。

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