転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 477

 蜘蛛なのか人間なのか……いや、八割……ううん九割蜘蛛の化け物であるアレは一体? 教会の馬車で出てきて、そして教会の奴と親しげに話してる。あれで知能が残ってて、そしてちゃんと人としての感情もあるんだ。それに……

「あれだけ人の体から逸脱してて、崩壊しないの?」

 私はそう呟きつつ、映像を見てる。本当ならあれも目の前のピローネよろしく、崩壊してないとおかしくない。だってたぶんだけどあれもピローネと同じように体を変質か変換させてるんだと思うんだ。

『無理矢理……ではないのかもしれないですね』

 AIがそんなことをぼそっと言った。無理矢理じゃない? それで安定するの? そう言うものなのかな?

「あんな姿になりたい奴がいるの?」

 はっきり言って化け物……だよ。人の前には絶対に出れないような姿。私が本当にただの女の子としてあんなのに街中で出くわしたらトラウマになる自信がある。それを考えると、アレに率先してなってるなんて思いたくないというか……

『人の寿命以上に生きたいとかでしょうか?」
「上手くああいう姿を安定させることが出来たら、寿命なんてなくなるって事?」
『大体人の寿命というのは体の限界です。 パーツを変えられない人だからこそ、限界があるのです』
「ふーん」

 そういうものか。寿命があるのが普通って感覚だからね。別に不老不死とか望んでないからその感覚が無いというか……

「う? 私ってどうなの?」

 私は限りなく人間に近い見た目をしてる。けど……人間では多分ない。人の寿命が体の限界なら、人に近しいこの体にだって限界があるのだろうか? でも……私って脳とか拡張してる。もしかしたら力さえあれば体自体を換装できたり……いや、流石に取り外しできる――とは思わない。G-01とは違うんだし。でもなんか体の内部は変えられそうだよね。
 まあでも見た目的には変わらないのならいいけどね。あんな……うん、化け物にはなりたくない。この体それなりに気に入ってるし。綺麗で可愛いからね。

『プチュオクミである貴方は……まあそうですね」
「そうですねって何!?」

 はっきり言ってよ。いやあんまり追求するのもやっぱり怖い。だからここはうやむやなままにした。てか、教会の奴等が動き出した。蜘蛛人間がアズバインバカラへと向かいだして、再び教会の奴は馬車に乗って、こっちは正面に向かうようだ。蜘蛛人間は側面の方に回ってる。でも流石にあのでかさの蜘蛛が近づいたらバレるよ。
 確かに街中はお祭り騒ぎだけど、警戒してない訳じゃない。ちゃんと警備はいる。流石にあの蜘蛛を見逃したら極刑物だよ。私はどうするか……あの蜘蛛人間の狙いを知りたいところではある。もしかしたらピローネ? それかペニーニャイアンだろうか? いや、やっぱり王族達? 

「確かめれば良いか」

 待っててもこっちが後手に回るだけになる。それはいやだ。それに街に入られるのは……ね。ああいう化け物だし、普通に町民達を人質とかにされるのもイヤだ。入る前に押さえるべきだろう。

「行こうかな」

 今はまだアレには私しか気づいてない。それにピローネクラスの敵だと認識した方が良い。なら私か勇者くらいしか対応できないし、より確実に私が動こうじゃない。それに色々と聞きたいこともある。あの蜘蛛人間、なんか結構偉そうなんだよね。あんな姿のまま理性を残してるし、ペニーニャイアンよりも偉い可能性はある。それなら良い情報が得られそうじゃん。
 とう言うわけで、私は蜘蛛人間の方へとジャンプした。

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