転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 473

 砂獣の大群の襲撃を退けてから何日か経つが、アズバインバカラはずっとお祭り騒ぎだ。いや、アズバインバカラだけではない。ジャルバジャルもそうらしい。まあ向こうはまだまだ人が少ないから、こっちほどの盛り上がりではないと思うけどね。そういえばジャルバジャルにいたラパンさんの息子もここまでやってきて王様に挨拶をしてた。
 そこでちゃんと正式にジャルバジャルの領主になる許可を貰ってた。なにか特別な儀式とかがあるわけではなかったけど……既に都市核には登録してるからね。てかそこら辺に王様の許可とかいらないから、王様の価値がね……一応都市核の運用方法とか中央から教えられたり、それこそ口伝で伝えられていくらしいけど……口伝はともかく、中央からのマニュアルてきな物を配布してるのは教会らしいからね。

 それはラパンさんから聞いた。それに特殊な鍵てきな物があるとかないとか。それを見せてくれたら、なにか分かるかもしれないが、簡単にアクセスはできないらしい。都市の要である都市核に教会の影響のある物が関与してる――それだけで生きた心地がしないんだけど……今はきっと皆さんそうだろう。
 なにせ教会の屑さは誰の目から見ても明らかだ。王様をアズバインバカラがかくまったと分かったら何をするか……てか既にバレてると思うし。だって凱旋の時に大々的にその姿をお披露目したからね。でもそれは必要だった。だって王族という御旗がアズバインバカラには必要だったからだ。

 どうしてもここから先、アズバインバカラとジャルバジャルは教会と対立することになる。王族が真の意味で王の地位を取り戻す為には、教会という悪の組織と戦うしかないのだ。そしてその正当性を得るために、王族という御旗が必要だった。

「皆楽しそうだね……本当に……」
『なら一緒に楽しんできたらどうですか?』
「出来もしないことを言わないでよ」

 アズバインバカラは連日お祭り騒ぎ。王族が来たこと、本当ならどうしようもなかった程の砂獣の大群の襲撃を追い払ったこと……それらが合わさって毎日がお祭り騒ぎなのだ。でも私は……ずっと宮殿の庭の一角で座ってるだけだよ。それに……私はずっとピローネちゃんという少女? の様子を見てる。私の側になんか祭壇? 的な物が作られて、その祭壇に人ではなくなってるピローネちゃんが寝かせられてる。しかもぐるぐる巻きでね。この世界の物体ではない。勇者が作った金の糸で巻かれてる。どうやらこの砂獣……ピローネとかいう少女らしいんだよね。
 一応中央であったことは勇者と同期することで、その記憶を覗いたから話して貰うよりも色々と詳しく知ることは出来てる。うん……人が砂獣に変質する……本当に教会はろくな事をしない。こんな事出来るというのなら、きっと犠牲になったのはピローネちゃんだけではないだろう。

 そしてそんなピローネちゃんがなんで私に捧げられてるかというと……いや、マジでこの状態、私に生け贄に捧げられてるように見えるからね。やめてほしい。私は生け贄を求めたことなんかない。それにね。可愛い女の子のままならともかく……こんな堅そうな形になった女子じゃ嬉しくないというか……

「それで、解析はどうなの?」
『ちゃんとそっちでも把握してください』
「人体って複雑だなーって感じだね」

 まあつまりは私の側にピローネちゃんが捧げられてるのは私ならもしかしたら元に戻せるんじゃないか? って事と、後は万が一にピローネちゃんが建物内で暴れたら困るからだね。なにせピローネちゃんは超強力な砂獣と化してる。そこらの檻なんかに入れても意味は無い。かといって、勇者が常に側に居るって事出来ない。なにせあいつも忙しい。
 魔王もジャルバジャルで好き勝手やってるし……となると、暇そうに庭にいる私の側が一番だよねって事になったのだ。いや、私もただ庭に居るだけじゃないからね。でもそれは言えないのだ。なのでなんか勝手に祭壇が作られて今に至る。仕方ないから新たにパージョンアップしたG-01の機能を確かめるためにも、こうやってピローネちゃんを調べてるのだ。もしかしたら……本当になんとか出来るかもしれないしね。

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