転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 452

 宵が開けたと同時に、勇者が話しかけ来た。

「ジゼロワン殿……ですか?」
『どういうことですか?』

 質問に質問で返すってのもどうかと思ったけど、勇者の言葉に首をひねったからね。仕方ない。一応見た目的には……いや変わってるか。かなりがっしりとした装甲になってるしね。よく考えたら……いやよく考えなくてもその質問は予想できた。
 私は自分の脳の拡張された機能を一体何に使ってるのだろうか? 自分の頭が自分で不思議で仕方ない。いや、大体はAIが送りつけてきたG-01の変化内容のレポートなんだけどね。わかってるよ。でもそれを消化してないから……

(いや、消化はしてるよ。ただ量がアホみたいに膨大な性だね)

 脳の機能拡張されたことで私はもはや天才の領域に足を踏み入れたと思う。まあそれはいささか言い過ぎかもしれないけど、少なくとも馬鹿ではなくなってるはずだ。
 でもそんな私の頭のリソースも今はG-01の変化把握に常に取られてるからね。一応一週間くらい頑張れば終わる計算だけど……それまで私の拡張した領域の九割は使ってるからね。つまりは私は元々の頭からまだ十パーセントしか能力的には上昇してないことに……まあタスクが減ってくればそれだけ脳の機能を他にも回せるから、きっとどんどん私の頭は冴えていくだろう。期待してる。

「その姿……宵に一体何が?」
『そうですね。落ち着いて話したいところですね。ですが今は……アズバインバカラへと至るまで皆を護るのが優先です』
「そうですね。皆を無事に送り届けた後に話は聞きましょう」

 そう言って勇者は分かってくれた。まあ何せ宵が終わったと同時に、砂獣達が砂から湧き出してるからね。私の強化されたセンサーで周囲をスキャンしたら、全ての周囲から砂獣が湧き出してる。

 昨日は背後から迫ってくる砂獣達から逃げてただけだけど……宵が終わると全周囲に居るって反則じゃない? 逃げる場所無いじゃん。いや結局アズバインバカラへと向かうしかないから道を切り開くしかないんだけど……
 砂獣はまだ湧いてる最中だ。とりあえず一回アズバインバカラへと続く道を切り開こう。

『とりあえず勇者は皆に指示を。すぐに出発してください』
「分かりました」

 すぐに私の指示を聞いてくれる勇者。ここら辺は暴走しない魔王よりも扱いやすい。そして私はとりあえずアズバインバカラへと続く方向の敵を一掃するために目からビームを撃った。

 キュイン

 ――と言う音共に、凄まじい衝撃が周囲に伝わった。そのせいでテントとかそこにいた人達がちょっと飛んだけど、まあ勇者が助けたから大丈夫だろう。
 てか……

「こんな威力だったっけ?」

 私はコクピット内で汗をだらだら流しながらそう呟いた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品