転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 441

 分かってた、分かってたよそんなこと!! 私はそんな風に言いつつどうしようか考える。完璧に待ち受けてる新型サソリ型砂獣バージョン2は砲台をこちらに向けている。万が一を見据えてその長い体の側面にある鎌がうねうねとしてる。砲台にエネルギーが収束していく。さらにサソリ型砂獣がその口を開くと、その口内にまで砲台が見えた。あんなのあったのか。初めてみた。切り札……というか隠し玉? 

 ここで出してくるってことは私をここで確実に潰す気なんだろう。流石にあれだけの砲台で一斉掃射されたら流石のG-01でもやばい。とりあえずお腹の方を向けて棒っきれみたいな砂獣を盾にするかな? それでG-01の被弾面積を減らせる−−と思ったけど、こいつめっちゃ細いんだった。
 全然こいつの体じゃG-01の体を隠す事ができてない。これも狙いか。こいつがここにきても全然私から離れようとしないのもこいつは自分の被弾面積の少なさとその防御力の高さがあるからこのまま砲撃を受けても大丈夫だと……そういう事なのかもしれない。

『ただ単純にこの砂獣たちには死を恐れるという事がないだけかもしれませんよ』
「それもあり得るね。なんかこいつら機械っぽいし……」

 G-01に乗ってる私がいうことではないのかも知れないけどね。でも実際、外というか、宵以外で戦ってきた砂獣たちはまだ……まだ……感情ってやつがあったようななかったような? 人を食うことに執念燃やしてる感じがあったようななかったような?
 自信はない。でもこいつらはまだ生み出されたばかりがらね。普通に昼間に出てくる奴らがどういう原理で出てきてるのかわかんないが、そこにずっと居続けて食べるってことを知ったのなら、やっぱり繰り返して食べたいって思うのかもしれない。
 だって食欲はどんな生き物−−生き物?−−かはわからないが、こいつが人を襲う以上こいつらにとっては人は食糧なんだろうからね。

「そんなことよりもこの状況だよ! 何かない? せっかくパーツ換装してるんだし、新たに腕とか生えない?」
『生やして良いんですか?』
「う……うん……最悪?」

 腕が二本だから大変な目に遭ってるんだよね。腕が二本じゃないといけないなんてのは固定観念だと思う。だって今はもう二本欲しいし。今ならできると思うんだ、AIも否定しなかったってことは多分できる。
 でも想像してみたら、格好いいかな? うーんって感じ。でもこのままじゃまずい。今すぐにでも撃ってきそうだし。多分だけどこれって脳の機能が拡張されて更に危機感じて体感時間が延びてるよね? 死ぬ寸前には周りがゆっくりと流れて見える……的なさ。危機だよ。もっとカジュアルに言うとピンチだよ!!

「そ、それじゃあ目からビームとかは?」
『それなら簡単です』
「よし、それで!!」

 思いつきだったけど、そういう実装も出来るらしい。色々と内部を更新してた結果かも知れない。そして放たれる数えきれない光り。更にそれらを飲み込んでサソリ型砂獣の口から放たれる凶悪な赤い光り。それに対して私はG-01の目から二本のほっそいビームを放った。
 その瞬間――

「え? これ無理じゃね?」

 ――とおもった。

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