転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 434

「狙うならやっぱり……」

 私はそう言って一点を見る。武器にすること前提なんだからね。それならやっぱりあれしかない。そう狙うべきは、鬼の象徴でもある角だ! いや、実際こいつらが鬼なのかは知らないけど。
 だって私が勝手にそう名付けただけだからね。でもなんとなく鬼としたわけじゃない。何せ鬼だと思ったからこいつらのことを鬼と呼んでるわけだからね。
 今も鬼達はこねこねとしてる。なんかいやな感じするから早めに動いたほうがいいかもしれない。てかにらみ合ってても、何にもならないからね。むしろこいつらがこねこねしてそれで再び砂獣を作り出されても困る。いや、実際私にはそれを止めることは出来ないだろう。

 何せ周囲には両手の指では足りないくらいの鬼達がいるんだ。そいつらを一気に相手にするなんて事は私には無理なわけで、立ち向かうなら一体だ。
 そいつに渾身の攻撃を放ってその額の一本の角をもらう。それしかない。もしも鬼の角が手に入ったらそれを元に、鬼に対抗できる武器になるはずだ。
 だからまずは一体……

「出し惜しみはしない! シンクロ率百パーセント!!」

 私の視界が変わった。今まではコクピット内から画面越しに見てたわけだけど、シンクロ率百パーセントだと肉眼で見てるかのようになる。そしてか体を動かすときの齟齬も全くない。まさにG-01と完璧に同化した状態がシンクロ率百バーセント状態だ。

 私は態勢を低くして、クラウチングスタート的な態勢を取る。そして腰あたりのブースターがキイイイイイイイインと甲高い音を出してエネルギーを収束してる。なんとか前に行かないように私は耐える。これは一発が勝負だ。周囲では鬼達がこねこねとしてる粘土的な何かが再び集まりだして、形作られて行ってる。
 きっと砂獣達を復活させようとしてるんだろう。砂獣は厄介だけど、脅威ではない。でも厄介だからこそ、この一発しかない。

「いっくぞおおおおおお!!」

 私はブースターに貯まったエネルギーを解放する。一気に訪れる疾走感。ブースターの光りが線となって軌跡を示す。狙いを定めた鬼は動こうとはしなかった。それだけ自分達が頑丈だと知ってるんだろう。それに私ではどうしようもないって事もきっとわかってる。
 私が砂獣を危険視しないのと同じように、奴らも私を危険視してないって事だ。でもただの作り物の砂獣と私は……G-01は違うって所見せてあげる。
 
 まずは私は殴った。渾身の力を持って、小手に力を流しつつ殴る。かなりの衝撃が発生してるはずだけど、鬼はその頭を僅かに揺らすだけで別段ダメージが通ってるようには見えない。
 どんだけ頑丈に首が据わってるんだよ。でも揺れないって事は少なくともその衝撃はこの角へと蓄積してるはず。下手に衝撃緩和されるよりも良かったかもしれない。私はその場で殴りまくる。同じ箇所を寸分違わずだ。
 すると僅かだけど鬼の角が破損してきた。ここだあああ! 私はまずは左の拳を打ちつけた時にその内部にある刃を打ち出す。けど……

 キィン――

 という音共に刃は折れた。でも無駄じゃなかったはず。私はすぐに逆の腕を打ち付ける。小手から衝撃が発生し、そして更にこっちも内側から鋭い刃が伸びる。今度は折れない。内部に深く刺さってる。

「うぁ! うおおおおおおおおおおおおおおお!」

 私は女の子にあるまじき声を出して叫んだ。

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