転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 430

 新型サソリ型砂獣が声にならない声を上げるようにその長い体を暴れさせている。流石に痛かったのかな? 強引に鎌を引きちぎったからね。

「別に血は出てないね。このままじゃ使いにくいし、もっと深く解析……出来るよね?」
『取込んでみますか?』
「もちのろん!」

 私の言葉にG-01の手のひらがパカッと開いた。そこに奪い取った新型サソリ型砂獣の細胞の一部を入れる。別画面が出てきて、いろいろとなにやら文字が流れ出す。今までなら、戦闘中にそれを自分が咀嚼することは出来なかった。まあそれでも、G-01自体の機能で解析してるし、別にいっか……と思ってたいたけど、今は私の脳が拡張された性だろう。端的には色々な情報が一気に入ってきても処理出来る。

「処理の半分くらい使って良いわよ」
『それなら大丈夫そうですね』

 G-01の処理能力と私の頭の処理能力はどうやらそれなりに密接らしい。こんな戦闘中に色々と処理出来るなんて今まではなかった。無かったというか、ほとんどG-01の方に任せてた。けど今は効率的に私の頭も使えるらしい。いや、私の頭の処理能力がG-01に勝ってる……なんて事は無いと思うし、更に言うと同等――なんて事も絶対にこれっぽっちも無いと思うんだけど……でもなんか助かるみたいなんだよね。
 なので私の頭を貸すくらいはしてあげよう。実際今まではそんな余裕はなかったのだ。けど、脳の処理能力が上がったことでそれも可能になった。
 そしてそのおかげか、どうやら解析は瞬時に完了したらしい。ピリピリしてた頭のうずき? みたいなのが終わってなんか設計図らしい物が出てきた。

「これって……」
『物質変換を行ってG-01の内製武器として組み込みます。やるのであれば強化をください』

 なるほどね。そんなの決まってるじゃん!

「許可するわ!」

 ついでに一つじゃ片腕にしか仕込めないから、もう一本新型サソリ型砂獣から拝借した。

『インクリートを開始します。内製化する三十秒は両腕の使用は不可ですのでお気をつけて』
「そういうことは最初に言ってよ!」
『注意事項は事前に読んでおいてください』

 無慈悲なAIの声。確かにそういう注釈も読んでなかった私が悪いけど!! まあけど大丈夫でしょ。三十秒くらいすぐだ。それに切羽詰まってるわけじゃない。これが本当に切羽詰まってる戦闘だとこんなことになると致命的だから気をつけよう……と思った。

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