転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 426

 どうやら鬼達は私と砂獣の戦いを眺めたいようだ。何という迷惑極まりない好奇心。こっちはもっと広々と逃げ出したいのに……実際こっちが本気で逃げれば、砂獣なんてのはどうにでも成る……とおもってたしね。それなのに……鬼達が一定の範囲で戦うことを要求してくる。

「ただ棒立ちしてるだけなら、頭を打ち砕いてやろうか?」
『それで死ぬような存在ではないでしょう』
「確かに……」

 私はAIの言葉に苦虫をかみつぶす。そう、この鬼達はおかしい。存在としてね。そもそもが宵というこの世界の変化が異常だから、そこに存在してる鬼と呼んでるこいつらもおかしいのは当然と言えば当然で、もしかしたらおかくしないのかもしれない。
 もう、なにをいってるのか自分でもわかんない。でもとりあえず下手なことやって、砂獣にプラス、鬼達までも参戦――なんて事になったらやぶ蛇だ。それならまだ、大人しく宵が終わるまでこの砂獣の相手をしてた方が楽ではある。

「げげ……」

 なんか不意に砂獣を見たら数が増えてる? いやこれは……

「幻影だね」

 G-01のセンサーで見てみると本物と偽物が簡単にわかる。だからこういう系って私には効かないのだ。多分だけど、これも蛾のような砂獣の仕業だろう。
 増えてるのは何故かムカデを進化させた感じの砂獣だけ。そいつがその無数の鎌で鋭い刃を放ってくる。

『げっ!?」

 私はG-01の体勢を立て直してブースター起動してよけた。けどおかしい……何故か幻影が放った攻撃まで実体化してたぞ? そんなことあり得る? しかもそのせいで恐ろしく攻撃の手数か増えてるし……進化したサソリ型の砂獣の攻撃は一応G-01の表面に傷をつけるくらいは出来る。だからあんまり食らいたくはない。致命傷には成り得ないけど、体を修復するにもエネルギーは使うからね。

「サソリ型の砂獣は滅茶苦茶遠慮なんて無く放ってるけど、鬼達のこと考えてないね」
『この程度の攻撃では鬼には何の影響もないでしょう』

 AIのいうとおりだね。鬼達はサソリ型の砂獣の飛んでくる鎌の攻撃に対して、ビクともしてない。微動打にだってしてないよ。やはり鬼はおかしい。
 G-01だってめっちゃ頑丈だよ? それを更に数段階は上回ってる。

「あっ、でももしかして、G-01の表面の材質とかコーティングとか変えれば防御力も上がるんじゃない?」
『それはそうですね。今は初期の状態ままですから』

 暗に『誰かさんのせいで』とかいってないそれ? しょうがないじゃん。これからだよ。仕組みとそういう機能があるとわかれば、余剰エネルギーを常にそういう改良方面に注ぎ込める。これからどんどんG-01を強化していくよ!

 私はそう宣言して、とりあえずムカデみたいな砂獣を蛾の居る方面へとぶっ飛ばした。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品