転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 404

 王様達が歓迎されて宮殿の中に入ってくのを見送ってると、勇者から通信が入った。もうこの瞬間からなんかイヤな予感が。だって勇者は私を絶対的に信頼してる。
 その私に王様達を預けたのなら、はっきり言ってもう確認なんてしなくても、無事にアズバインバカラへとついてるって確信してる筈じゃん。ならこの連絡は確認じゃなくない? じゃあ確認でないのなら一体どんな用事でこの瞬間に勇者が私に連絡をよこすのか――

(勇者は私の手を一回煩わせたことを律儀に気にしてそうだったからね。その勇者がまたこんなすぐに私に連絡するって……むう、やっぱりイヤな予感しかない)

 けど、ここで無視なんて出来ない。そもそも一回助けてあげたわけだし、ここで見捨てても一回の助け損じゃん。

(はいはーいなんですか~)

 的な感じで出ようと思ったけど、私は勇者や魔王に接するときは……というか対外的な声音は威厳を持った物にしてる。うん、なんかそっちの方が良いかなって思ってね。いや、何か二人に認められちゃったから、素が出せなくなったってだけだけどね。

 だから私は仰々しく通信に応答する。

『どうかしました?』
『すみませんジゼロワン殿。緊急事態です』

 ほら、イヤな予感が当たった。てかイヤな予感の方がなんか当たりやすい。絶対に誰しもがそうだと思ってると思う。もしかして、協会の奴らが追いついてきたのかな? 確認したときは追っ手はまだまだ私のセンサーにも引っかからなかったけど……やっぱり魔法か何かで姿を隠して接近してた? とりあえず憶測よりも確認の方が先だね。

『一体何が起きたんですか?』
『砂獣です。それも大量の……』
『それはそれは……一体どれくらい?』

 私は冷静にそう返す。だって大量って一概に言われても困るじゃん。想像出来ない。だって大量の基準ってどこ? 十? それとも百、いやいや、千集まったら大量という考えかもしれないじゃん。私たちにの間でそれの取り決めなかったからね。大量の判断基準がおのおのの裁量になってる。後でどこが大量という目安なのか決めた方が良いかもしれない。

 大量という言葉だけでは危機感がね……

『ざっとですが、千は居るかと』
『せ――千が、大量の基準ですか。はいはい』

 とりあえず現実逃避で千という数を軽く流してみる。けど……

『千?』
『はい、そのくらいは居ます。出来れば至急応援を。それとアズバインバカラの兵力を街の外に。このままアズバインバカラに行くと街が蹂躙されかねません』

 アズバインバカラから逸れるって言う選択肢は……ないか。勇者はともかく、皆さんもう疲労がたまってるだろう。今だって一生懸命走ってるだろうし。一応馬……ではないが、乗れる生き物を使ってたはずだけど、生き物である以上、ずっと走り続けるなんて出来ない。私は数時間でここまで来たが、それはG-01だから出来たことなんだ。普通は無理……そして千の砂獣……逃げ切れるわけ無い。

(いったいどうして?)

 ――とか考えてる場合でもないね。早くラパンさんにこのことを……って私喋れない設定だった。

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