転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 389

「よし! では早速」

 捕まえた聖剣に今度は自分の力を流して無理矢理にでも正気を取り戻そう大作戦! ――を実行としようとした。

「うぎゃ!?」

 バチッという音。再び腕を支配しようとしてきた聖剣に思わず私は聖剣を投げ飛ばしてしまったよ。あの自分を侵食してくるようブワッと言う感覚? はっきり言ってめっちゃ嫌い。思わずアレが来たら何度でも同じような行動を取る気がする。
 それくらい苦手な感覚だった。毛が総毛立つような……さ。

『何やってるんですか?』
「だって……」

 AIがあきれた――みたいな感じの声を伝えてくる。AIには今のブワッとする感覚がわかんないからそんな反応になるんだよ! 実際されてみたら思わず手を放すから! まあ一種の防衛本能とかだったのかもしれないけどね。

「ふん! こざかしい!!」

 あらあら、黒い勇者も攻撃してくる聖剣を手に取った。まあやっぱり聖剣単体だと動きが……ね。読まれやすいと思う。だって突っ込むか引っ込むか……しか出来ない。横に振るったり回転を加えたり出来るけど……突っ込むよりは勢い落ちるしね。
 そうなると私や勇者相手には使えないって言うね。だから突っ込むことになるんだけど……突っ込むのは結局の所直線上の動きでしかないからね。避けるのは簡単。
 まあ黒い勇者の奴は刀身を受け止めたみたいだけど。分裂したときに柄の部分が復活してるからそこを持てば良い物を……当てつけか?
 私よりも自分の方が優れてるって当てつけか? 別に私も出来ますけど? ふん、まあ私はそんな小さい女じゃない。だから対抗なんてしないけどね。まあけどどうせ黒い勇者も手放すでしょ。そう高を括ってた。

「どうやらただの武器ではない。なにか執念を感じるぞ。お前はまさか……ははっ、僕と共に戦ってくれるかい?」
「うわっあいつ!!」

 私はとんでもない物をみた。多分だけど黒い勇者には聖剣の声は届いてないはず。けどその発せられる力から何かを感じ取ったのか、黒い勇者はその見た目を白い勇者に一時的に変えて、掴んだ聖剣に語りかけた。

「いやいや、まさかそんな聖剣だってそんな馬鹿じゃ……」
『勇者! 戻ってきてくれたんですね!!』
「単純かよ!!」

 馬鹿でした。聖剣さん、どうやらただの馬鹿だったみたいだ。てか勇者のこと好きすぎて盲目になってるんじゃない? いやいや、そいつに協力したら、あんたが愛してる本当の勇者の意識がずっと戻ってこれなくなってしまう……というか最悪なくなっちゃうぞ。それでもいいの!? 

 そんな風にコクピット内でいってるが……やっぱり声を伝えるのは双方向ではなく一方通行みたい。私の声は聖剣には届いてない。いや、声が聞こえるのなら、そのチャンネルはあるはずで、ちゃんと届くはずだとは思うんだけど……色々とそこら辺の知識は追いついてないよ。

「厄介なことになった」

 馬鹿な聖剣が黒い勇者にだまされた。

「僕はあの方から解放されたい。なぜなら僕の本当の味方は君だけだから……協力してくれるかい?」 
『あぁ……勇者……感激です!!』

 感激しとくな!! 目を覚ましなさい! とかいっても届かない。黒い勇者は断固拒否だったのに、見た目変えただけでコロッとだまされるんだから……そして黒い勇者と聖剣は協力関係になりました。

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