転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 383

 高笑いしてる勇者の奴はピンピンしてる。結構おもっクソ蹴ったけど、さすがは生まれ変わった勇者の体は頑丈だ。外側……というか勇者のあの見た目を剥がすことが出来る存在は居るとは思う。
 でもその中の本当の勇者や魔王の体に傷をつけられる存在って全ての世界を見渡してもそんなに多くないんじゃないんだろうか? まあどれだけの世界があって、そして一体どれだけ広いのかって言うのが全然わかんないから、なんともいえないけどね。

 まあつまり何が言いたいかというか……

「やっかいだね」

 まさか勇者とかが敵に回るなんて思ってないじゃん。いや、どちらかというのはこういうのは魔王の役目かなと思ってた。だってあいつの方がこういうの想像しやすい。でもそっか……勇者か……何かに乗っ取られてると思われる勇者はその綺麗な見た目が黒くなってる。

 輝くような金髪は黒に赤いメッシュが入ったような髪色になってるし、肌も黒く、なんか赤い模様が浮き出てた。目の色も赤い。そして片腕がなんか銃だし。多分だけどあれは聖剣だった物のようだけど……でも待てよ……

(もしかしてアレが呪いのアイテムだったり?)

 なにせ聖剣って剣じゃん。アレってどう見ても銃なんだよね。其れに極めつけは腕と同化してる。おかしくない? あの銃がそう言う呪いのアイテムだとしたら……原因があれと言うことでわかりやすいんだけど……

『あれは聖剣だった物ですよ。アレが原因とは考えられません。その確率は十パーセント未満です』
「やっぱり? てか本当に聖剣なのあれ? 剣じゃないじゃん」

 私はAIの言葉にそう返す。だって根本から変わってるからね。簡単にアレが聖剣だったなんて信じられないって言うか。むしろ呪いのアイテムでアレが原因とか言われた方がしっくりくるんだよね。

『そもそもが聖剣は彼と同化してました。其れはつまり存在の固定化から解放されてたのです。剣であったのはその印象が強かったからに違いないでしょう。
 勇者様が確固たる意思で表せば、きっとアレはなんにでも成れたはずでしょう』
「ふ、ふーん」

 やばい……AIの言葉のほとんどがよくわからなかったぞ。もっと簡単に言ってよ。なに? 存在の固定化とか……ただその言葉を使いたかっただけでは? とかおもっちゃうじゃん。きっと違うんだろうけど。

 そんなことを思ってると、勇者だった奴が建物の屋根に降りたと思ったら、その建物を吹き飛ばしてこっちに向かってきた。そして拳を突き立てる。

 とりあえずこっちも腕でガードした。

「むむむ」

 さすがは勇者の体。かなりの衝撃だ。ちょっとだけ後ずさる。でも損耗率はパーセンテージで言うと一パーセント未満である。ごめんね、確かに勇者の体は強い。強いけど、その存在は私の……G-01の一部でしかないんだよね。

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