転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 360

 この場所に来る前の絵は何だったのかと言いたいほどに、絵と乖離してるここのボス。ヘビの下半身に八つの腕、裂けた口に金の仮面をして髪の毛は大量のヘビ。
 そんなこいつはどんな攻撃をしてくるのかと思ったら案外肉弾チックだった。

 その八つの手に持った剣を強引に自分へとたたきつけてくる。でもその動きは速い。でかいから緩慢なのか? ってそんなことはない。むしろさっきの人型の砂獣達よりよっぽど早い。
 けど自分ならまだ対処できる。床をえぐる剣の連続攻撃を躱して、懐に飛び込む。そして聖剣を振るった。強い光がその化け物の体を走る。それと同時に右側の三本の腕が飛んだ。

 断末魔の叫びが響く。ちゃんとダメージは通るようだ。けど……予想はしてたが、腕はあっという間に再生してた。しかもそれだけじゃない。切り飛ばした腕と剣がでかい大蛇になって襲いかかってきた。

(実質敵が増えてるじゃん……)

 なんて厄介な。とりあえず下手に切ると駄目なことがわかった。なので大蛇たちは聖剣で斬るんじゃなく、聖剣の光で焼き払うことにした。無限に増えてもらっても困るからな。この本体も焼ければ良いんだが……いかんせん流石にでかい。それに再生能力が切り離された分体とは段違いだ。

 ダメージを与え続けながら焼き払えばなんとか……って所だろう。

(聖炎を使うか……)

 聖炎はその名の通り聖なる炎だ。聖なる炎は決して消えず、邪悪を焼き続ける。それは肉体だけでなく魂も焼く。自分の世界でこれを使ってたときはその意味を正しく理解してはなかったが、どうやら聖炎は自分の力で燃やしてるんじゃないみたいだ。聖炎は対象の力を使って燃え続ける。だからこそ、その炎に包まれた相手は自分自身では決して消すことは出来ない。
 そういう炎らしい。それだけ聞くとなんと凶悪で、どこが聖炎なんだ? って思うかもしれないが、聖炎の炎は純粋な物には熱にはならない。
 炎に包まれても焼かれることはなく、逆にその体の悪い部分を直すまである。だからこそ、自分の元いた世界では聖炎の裁きなんてのもあった。聖炎で焼かれれば罪人で、そうじゃなかったら無罪って言うね。

 何とも曖昧だが、焼かれれば何かしらの罪を背負ってると言うことだから、それで良かったんだろう。

(こいつはきっと罪の塊だろうし、よく燃えるだろう)

 自分はそう思って一度絶妙な力加減で敵の八つの攻撃を全て弾く。下手に吹き飛ばしたら分裂するだけだからな。そこに気をつけて攻撃を弾いた。そしてがら空きになった胴体に向かって聖剣を投げた。さっくりと突き刺さった聖剣から、白い炎が立ち上がる。

「聖炎!」

 決して消えない、罪を焼き払う白い炎がこの空間に灯る。

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