転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 243

「危ないです勇者様!」
「大丈夫ですよ。でも、危険なのは確かなので、皆さんは近寄らないでください」

 俺はそう言って倒れてる二人に近寄っていく。あとはピローネをもとの人の体の形に戻して、ペニーニャイアンを縛るだけだ。いや逆か。どう考えてもピローネの方が大変だ。ならさっさとペニーニャイアンを縛っておこう。
 女の腕力かなんかこわくはないが、ペニーニャイアンは魔法を使える。そう思って進んでると、近くに扇子があった。

(これは……)

 そう思って俺は扇子を拾う。これはペニーニャイアンが口を覆ったりしてたやつだ。魔法を使うことにも使ってたように思う。魔法を発動するための触媒か? とか思ったんだ。それなら回収しておいた方がいい。

 濃い青のふわふわした毛で作られていて、先端は白い。掴むところには何やら文字の様な、ただの飾りの様な模様。

(この世界の魔法文字か?)

 俺の世界では魔法は特殊な文字を使って発動するのもあった。言わゆる古代魔法とかそのたぐいの奴だ。俺は解読とかできなかったが、勇者の魔法は古代魔法的な側面も強かったから陣の中に何度もみたことはある。
 でもやっぱりだけど、文字が違う気がする。世界が違うんだから当たり前ではある。でもすべてが違うかというと、そうでもないともいえる。

 まあ実際、俺自身が自分の世界の古代魔法文字に精通してる訳ではないから印象でしかないが……でもこうやって俺や魔王は世界を超えてる。
 そしてジゼロワン殿はそれをやってきた節がある。なら……世界を超える術を確立してる世界がどこかにあるはず。その世界がもしも他の世界にもいろんな魔法や技術を与えていったのだとしたら……共通点かあってもおかしくない。

 これはほとんど俺の妄想的な考えだが……でもありえなくはない。なにせ俺の世界の伝承では魔法は謎の人物……それが神だったといわれてたが……その一人が伝えたとされてる。
 もしかしたら、その人は……ジゼロワン殿と同じように世界を渡れる者だったのかもしれない。

「発動はしないか」

 俺は試しに扇子に力を流してみた。でも何かが起きるわけではない。そもそもがとても力が通りにくい。俺の聖剣やそれに類する物……魔法親和性が高いアイテムはとてもするりと力か入っていく感覚があるが、これにはない。

 はっきり言って魔法的なアイテムとは思えない。ただの扇子か.でももしかしたら、俺とこの世界の力の質の違いってこともありえる。だからいくら可能性を考えても全て保留するしかない。

「ペニーニャイアンに色々と聞けばいいことだな」

 俺はそう思って、扇子をパチンと閉じる。するとその時、びくっとした。何が? 俺以外の皆は後ろだ。見えはしない。そしてペニーニャイアン側で動ける奴らは一人もいない。けど何かがびくっとした。俺はそれをみる。それは俺が聖剣で開けた大穴から覗く巨大な目玉だった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品