転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 207

 この部屋はとても明るい。まるで外が昼間かのようだ。実際、既に日は傾いてる。なにせ色々とあったからな。昼間の内にって訳にはいかなかった。けど、なんとかまだ日がある内にここにたどり着けた訳だが……こんなに明るい訳はない。だからと言って、この部屋に照明があるかと言われると……はっきり言って見えない。
 天上から吊るされてる物もないし、壁に炎が揺らめいてるわけでもない。でもこの部屋は明るい。まるで天上から太陽光を取り入れてるような……そんな明るさだ。ここに居たら、時間間隔が狂いそうだ。
 ペニーニャイアンもいつもここにいたら時間感覚がおかしくなりそうな気がするが……どうなんだろう? 

(この部屋で生活……してるのか?)

 そんな事を思ってしまう。だってなにせ、色々と眩しそうなんだよな。そもそも部屋というか……なんか構造がおかしいし。中央に今俺達はいる。でもそこは周りよりも1段高くなってる。
 そして天上からはなんか布みたいなの垂れ下がってるし、円形の部屋には柱が4つ建ってて、それにはそれぞれよくわからない彫刻がされてる。大きな耳に長い鼻の先に牙がある動物に、長い首の先が鳥になってて、その体が亀の様になってる動物、更に人の上体に美の半身、腕はやっつの触手の動物に、背中から大きな8つの翼を生やし、顔がなく、足がいっぱい生えてる変な動物……はっきり言って、どんなセンスなんだと疑いたくなる。

 なにか……きっと何かモチーフが有るんだよな? それに部屋の四隅には植物も飾られてて、壁には複雑に入り組んだ水の流れ……俺達がか踏むテーブルは透明度の高いガラスと、きらびやかな宝石が埋め込まれてる。座ってる椅子は一番豪華なのをペニーニャイアンが……それからちょっと下のランクの物をピローネとローワイヤさんが、そして俺のは一番簡易的な椅子だ。背もたれもなく、ただ円柱状の物。でもそれでさえ、白い鉱石に豪華な装飾がされてるから、これが一番安物だとわかるが、だからって全然安物ではないんだろう。
 なにせ庶民が持てる様なものではない。多分この椅子に埋め込まれてる宝石一つで、庶民がどれだけ……いや、あの地に落ちてたギリギリの人たちをどれだけ救えるか……ぞれを考えてしまう。

 テーブルにはお菓子とお茶のカップしかなくシンプルだ。普通なら、これたけの立場の人の側には幾人もの使用人がいるだろう。それこそ玄関でみた数の使用人は確実にいるわけで……でもここにはその人達は一人もいない。

 ローワイヤさんを見てて、これは意外だと思った。だってローワイヤさんは着替えさえ自分で出来ない。いやマジで。そんなローワイヤさんが巫女の普通だとするなら、たくさんの使用人に支えられて生活をしてる……と思うじゃないか。

 でもどうやら、そこらへんをペニーニャイアンは魔法で解決してるみたいだ。彼女は魔女だ。上位の巫女は魔法ちゃんと操れるのかもしれない。
 ここまで魔法を使いこなしてる存在を初めてこの世界でみた。それも俺の世界とは全く違う魔法だ。

 魔法は奇跡の力。だからこそ、自分よりも格下だとしても、油断は出来ない。俺はローワイヤさんを守り、そして一緒に連れてきた皆を守る義務がある。色々と知るためにも、こっちから動くべきだろう。

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