転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 150

『助けるのですか?』
「どういう意味かな?」
『いえ、これまでの貴女の性格の分析では貴女は善意だけで面倒な事をするタイプではない』
「なかなかに失礼な事を言うね」
『事実ではないと?』
「事実だけどね!」

 AIが失礼な事を言ってくるが、間違いじゃないから否定は出来ない。カメラはとりあえず協会の奴らを追う設定にして、本体は飛び出した鎧の騎士を追う。幾ら鎧の騎士がおかしな力を得たとしても、大きいこっちの方が早いのだよ。とりあえず砂漠にはあんまり隠れるところは内から上空に居る事にする。ブースター使い続けるのはきついんだけどね。まあ上空で落ちたりあがったりしてたら、多少の音は無視されるだろう。

「さて、本当に襲うのかな?」

 砂漠にはズンジャイサンバから逃げ出してきた人達が長蛇の列を作ってる。そこにピラミッドで高く飛んだ騎士は更に空中をけって弾頭の様に近くの砂漠に着弾した。その音に列を成していた人達が悲鳴を上げた。ちりぢりになって走り出してたりしてる。けど、そんなに進まずに転んだり、立ち止まったりしてるね。きっと栄養とか足りてないんじゃないだろうか? あの鎧の騎士はなんでちょっとズレた所に落ちたのか……実際さっきの着地だけでそれなりの人数を殺せそうだったけど……それをやらなかったのはどうしてなんだろう? と思う。それに着地したはずなのに出てこないし。

『複数の反応があります』
「砂獣?」
『そのようですね』

 まさかのこのタイミングで砂獣とは……なんか怪しくない? そしてその反応の通りに砂獣が砂から顔を出した。それを目にした民衆達は恐れおののいて、悲鳴を上げて一斉に、全員が砂獣から逃げる様に駆け出した。さっきの衝撃では、比較近くで影響を受けた人達がビックリして逃げ出した感じだった。列の前の方とかは何か音がしたな……位で激しく動いたりはしてなかった。でも誰かが「砂獣だあああ!!」と叫ぶとそれは一斉に伝播していって全員が混乱の中逃げ出したのだ。パニックとは伝染する。そしてそれは多ければ多いほどに大きくなる。なのでもう皆さんメチャクチャだった。弱ってる人達は直ぐに砂に足を取られて転んだりしてたけど、そんな人達を容赦なく踏んだりしてる。

 これは既に砂獣に襲われる前にお亡くなりになってる方がいそうだ。そしてそんな小さな死の後から、もっと大きな死がやってくる。彼等に逃げ場はない。誰かが……そう、誰かが彼等を救わないとね。そしてこの世界はそんな優しい世界……なのかな?

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