転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 100

 成金ハゲはネナンちゃんが寝てる部屋の前まで来た。そうして背中から出てるような背後霊みたいなのに開けさせる。
 それはこれまで見てた奴の行動どうりだからまぁそうなんだろうなって感じ。見たところ、この世界は横にスライドさせるタイプのドアはないみたい。ほぼ全てどっちにも押せるタイプのドアだ。引いても押してもいいみたいな。
 それにドアノブって呼べる物もない。普通の市民の家はかんぬきだ。中にいるときは戸締まりできるけど、出かけるときにはどうしようもないんだけど、そこは気にしてないみたいな?

 流石にこの宮殿にはちゃんとしたロック機構がある。内鍵だけね。これもまた出かけたらどうするんだって感じだけどどうやら外の扉の模様は意味があるらしく、丁度内鍵の反対の外の面に指紋認証みたいに指を押し当てると、ロックしたり開けたり出来る。ハイテクな所とそうじゃないところのギャップが酷い。

(ギャップというか歪さ……って言う方が正しいかな?)

 勿論扉は限られた数人にしか開けることは出来ないようになってる。でも成金ハゲの背後霊みたいなのが扉にへばりつくとしばらくして――

ガチャ

 ――という音が聞こえた。

「あの技術は教会が与えたんじゃない?」
『その可能性は高いですね』

 AIも私の冴え渡る推理に同調してる。今のは隙の無い推理だったね。当たってるからわからないが……まあそれも直ぐにわかる。成金ハゲは無遠慮にネナンちゃんの部屋へと入る。そしてネナンちゃんが寝てる天蓋付きベッドへと真っ直ぐにいった。もうこの時点でアウトなんだけど、私はまだ泳がせている。いややっぱり決定的瞬間が必要かなって思ってね。

「まさか、こんな子供に『神格』が降りるとは……だがまだ定着はしていない。儀式を行えば、委譲が出来る筈だ。そうなれば……私はさらなる地位と権力を……ぐふふ……ふははははははは!!」

 ネナンちゃんがスヤスヤと眠る横でそんな高笑いをしてる成金ハゲ。ふむふむ、なかなかに重要そうな事を言ってたね。今のは聞き捨てならないよ。成金ハゲはハアハアと興奮冷めやらぬ様子だ。もうこの時点でアウト確定だ。はっきり言って気持ち悪い。ハゲでデブが目を血走りさせて更に息荒くうら若き少女の寝込みを襲おうとしてるんだ。
 まあ残念だけど、この気持ち悪い奴がネナンちゃんに触れる事は叶わない。何故なら……

「む……なんだこれは?」

 成金ハゲは何やらネナンちゃんを包むぶよぶよとしたナニか……に気付いたようだ。勿論それはプニ子だ。プニ子はネナンちゃんが寝てる布団に覆い被さるようにその体を伸ばしてる。でもまあ暗くて透明だから成金ハゲは気付いてない。

「結界か? だが、こんな小範囲に……まあいい。やれ」

 成金ハゲは背中の背後霊に命令する。背後霊が動きだそうとしたとき、私はG-01の中指の関節を外して飛ばした。成金ハゲの背後霊に穴があく。

「なん……だと?」

 あれれ? あの背後霊を損傷させたら、何か本体に影響があるとおもったけど、案外大丈夫そうだ。なら……私は更に外れた指をそれぞれ動かして背後霊を穴あき状態にしていく。そしてかなり削れた所で、いきなりハゲが倒れた。

 腕も前に出さずに本当に棒が倒れる様に成金ハゲは倒れた。うん? なんか不味い? やり過ぎたかな? とか思った。

「転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く