転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 98

「このまま帰るかな?」
『流石にそれは間抜けなんてレベルではないのでは?』

 私の言葉にAIがそんな辛辣な言葉を返してきた。流石にAIも呆れてるみたいだね。でもまあそうでしょう。だって本当にあの姿間抜けだし。多分誰にも見られてないからと思ってるから、気にしてないんだろうけど、バッチリ見てて、録画までしてるからね。

 成金ハゲは何やら自分の力だけで扉を開けるのは諦めたみたいだ。何やら一つの成金アイテム……まあ装飾品だけど。それを握りしめたようだ。何をするのかと思ったら、何やら口ずさんでる。うーんいつもの様に無駄にデカい声を出してくれたら音声も拾えるんだけど、流石にささやくような声では聞き取れない。

 何が起こるのかと思ってたら、成金ハゲの体から何かが出てきた。それはとても曖昧だが、赤い目だけははっきりと見える。

「なにあれ?」
『魂の一部を顕現化させてる?』

 AIでもはっきりした事は言えないみたいだね。あんな事が出来るなら、昼間もアレを使われてたら、ちょっと面倒な事になってた気はする。成金ハゲよりも大きな背丈のそれを使ってどうするのか? やっぱり壊す? でもそんなことをしたら朝には大事件だ。そうおもってると、それは体を成金ハゲから離して両の腕を扉に添えた。まあ離れたといっても、上半身だけだ。下半身は成金ハゲの部分にあるから、なんか上半身だけ、編に伸びた感じになってる。まあアレに骨なんて無いだろうし、そこら辺は自由がききそうだよね。

 そして成金ハゲから出てきたそれが力を込めると、扉が動きだす。なかなか制御できてるみたいだね。なら最初から使えよって感じだけど、きっと制約があるんだろう。ポンポンと使えるんなら、昼間だってきっと使ってたはずだ。そしてさっきもまずは自分でどうにか使用なんてきっとあいつの性格に的にはしない筈。

 便利なだけの存在なら、もったいぶるなんて事はないと思うもん。

 とにかくこれで奴は宮殿にはいってきた。要人を兼ねてか、あの変な存在は消えて無い。成金ハゲと重なる様に存在してる。重なるっていうか、成金ハゲを包み込んでるみたいだけど。

「探せ」

 そんな事を呟くと、成金ハゲから重なってた存在が飛び上がった。どうやらあいつだけなら、物体を素通り出来るみたいだ。正門から直ぐに建物に入る訳じゃないからね。本殿まではちょっと距離がある。でも一応渡り廊下的なもっと豪華なアーチ状の建築物でそこまでの道は舗装されてる。それをあの存在はないように飛び上がった。でも離れたとしても何やら糸? みたいな物が成金ハゲとあの存在には存在してた。

「あれプチッと切りたいな」
『多分それをしたら死にますよ』

 弱点晒しすぎじゃないかな? 私はそう思った。

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