転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

輪廻の輪の外へ 50

「なに……これ?」

 私の腕にあらわれた変な生き物……生き物? がこっちを見てる。なんだろう……なんかぺしぺししてくる。まるで何かを訴えてるかのよう……

「止めてって言ってる?」

 なんかそんな気がしてくる。でもこいつ、案外大きいよね。ペンギンみたいな体型を人サイズにまでしたくらいは多分ある。そして変な仮面被ってるから、キモい。

「えい!」

 私は腕を振るって変な生き物を振り払う。ちょっとでも可愛い感じならためらいがあったかもしれない。でも本音を言うと、自分が可愛いに反応するのか……よくわからない。寧ろ自分が一番可愛いんじゃね? とかおもってるし。
 なにせ自分の顔を見たとき、超絶美少女っておもったからね。

「げっ!?」

 振り払ったと思ったら、何故か二匹に増えてた。おいおい、なんでなの? なんか微妙にデザイン違う仮面被ってる。

『反応が多数あります』
「うそ……」

 いつの間にか周囲にこの変な生き物がいた。しかもそこら中に無数に……だ。私をG-01を囲む様にいっぱいいる。そして全員の視線が私に向かってきてる。ちょっと悍ましい、というか怖い。

「強そうじゃない……よね? それともこの中にサンクチュアリ保持してる存在がいる?」
『どうでしょうね。そもそもがこれは……』
「これは?」

 AIの声はそこから先を紡いでくれなかった。またもったいぶって……まあきっと理解なんて出来ないと思うけどね。でも、モヤモヤするじゃん。途中で途切れさせられるとモヤモヤするじゃん!

「とりあえずどうコミュニケーションを取るのが正解な訳?」
『わかりませんね』
「でも、この実が必要なんだけど……あっ、もがなければ良いのかな?」

 そう思って私は再び実を掴んだ。そのときに変な生物の反応はなかった。

(よしよし、やっぱりもがなければ良いんだね)

 私は確信して実を両手でつつみこむ。目玉は横において集中する。容量は目玉の時と同じである。併せていけばいいんだ。

「むむむ……」

 けど殻のせいなのか、なかなか力を感じれない。この実の中には太陽の様な力があるはずだ。けど……力がとても遠い。

(これ……出来る?)
 
 不安になった。だってぜんぜん力を感じる事が出来ない。そうなると併せるなんて事も不可能だ。

(そうだ、そもそもの力の質の問題なのかも)

 AIがこの世界の力は前の世界の力の質とは違うといってた。アビスの時は、むき出しみたいな物だったから、それに自分が併せていけた。けどこれは違う。でもその力までの距離はもしかしたら力の質の問題なのかも。堅いと感じるこの殻も、もしかしたら力の質が関係してるとしたら……

「よし……行くよ」

 私は力の質をアビスに併せた時の物にして実に送り込む。するとさっきの抵抗が嘘みたいに思えた。どうやら正解だったみたいだ。やっぱ私は天才だね!

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