転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

輪廻の輪の外へ 48

 ヴァイスは簡単に見つかった。実を言うとそこら中に実はあったのだ。なにせこれだけ大きな木の集合体である。ないわけがない。だから二つの目玉を抱えて移動する距離が少なくてたすかった。そういえば、目玉は無事だった。どうやら丁度葉っぱに隠れてたのがよかったみたい。

 後で気付いたが、G-01のロケットの外装は結構溶けてた。外装なかったらやばかったよ。けど、周囲は全然そうじゃないんだよね。それはそうだろう。だって一日に何回もあんなのが光るのである。それに耐えられないと、幾らこの木々の集合体みたいな奴でも直ぐにはげてしまうだろう。だからこそちゃんとここの木々達は耐えられる様になってる。

 葉っぱ一枚にしても、あれだけの高温を受けたにもかかわらず、変色せずに逆に瑞々しい緑を保ってる位だ。だからこそ、目玉も無事だったんだろう。運が良い奴らである。

「よし、これなら直ぐに目玉から移行できるんじゃない?」

 目玉と二人の魂は相性良くないし、いつ魂の反発が起きて崩壊が起きるかわからない。それに下手に魂が上手く定着してしまっても、それはそれで困る。というかイヤだ。私が。私は目玉と一緒に居る気はない。なのでさっさとヴァイスを見つけれたのはよかった。魔王と勇者で一つずつだとしても、余裕である。

「なんかおもってたよりも小さいね」
 
 近くまで来てみると、丁度G-01の頭くらいの大きさの丸い実があった。色は茶色でなんかくすんでる。手で叩くと、こんこんと硬質な音がした。中身は何が詰まってるのか気になるな……いっぱいあるし、一個くらい割って見てもいいんじゃないだろうか?

「むむ……むむむ……むううううううううううううううううう!!」
『なにやってるんですか?』
「はぁはぁ……ちょっと……ね」

 私は息を切らせながらなんとかAIに応えた。まあ曖昧にだけど……ちょっと軽く割って見ようかと思ってやったら……全然割れなくて思わず本気でやってたとか……恥ずかしいじゃん。

(てかどんだけ頑丈なのよ)

 ヒビ一つはいらないとか異常でしょ。こっちはひ弱な私ではなく、G-01がやってるからね。なのに全然出来そうもなかった。恐ろしい……やはり世界のヴァイスともなると頑丈さが違うのだろうか? 

『貴女はまだG-01の性能を完全に引き出せてないのです』

 なんかバレてた。性能……ね。そこそこ自信あったんだけど?

「私、結構アビスとの事で上手くなったよ?」
『あの程度、馴れてきた程度ですよ。感覚でしか理解してないじゃないですか。貴女はアビスの力と同調することで、G-01の基本的な出力に対応しただけです。その慣れを早めた程度の事を得意げに言わないでください』
「ごめんなさい……」

 なんか怒られた。どうやら私はまだまだG-01を使いこなしてないらしい。

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