転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

輪廻の輪の外へ 15

 聖剣が喜びを表してるかのように光を発する。俺はそれを見てこういうよ。

「お前はこの世界を守る義務なんてない筈だが……手を貸してくれるのか?」

 前は聖剣と会話するなんて事はなかった。けど、何故か今は聞いてくれでる気がしたんだ。そしてそんな俺の言葉に応える様に、聖剣は光を強めた。

「そうか、なら……これからも頼む!」

 そういった瞬間、なにかズズズっと動く気配がした。俺はそちらに聖剣を振るう。聖剣はそこまで大きな剣じゃない。普通サイズだ。綺麗な装飾がされてて、一見美術品かと見まごうほどの見た目をしてる。けどその威力はそこらのぼんくらとは訳が違う。

 一合打ち合っただけで折れてしまうような美術品ではないんだ。聖剣を振った軌跡には光の線が残ってる。それにこの聖剣は刀身以上を斬れる。いまだってそうだ。刀身からかなり離れた所までを斬ったはずだ。でも感触はなかった。

「気のせい? ――いや!?」

 俺は地面を蹴った。するとさっきまで居た場所の足下の煙というか靄と言う物が拡散した。確実にいる。俺は今度は縦に聖剣を振るう。でも――

「やっばり何も感触がない?」

 ――聖剣から伝わってくる物がない。でもこのタイミングでよけられるなんて筈はない。なら最初からそこには居なかった? だが地面の低いところに広がってる靄はごまかせないはずだ。まあ移動とかであの靄が動いてる感じはないんだが……だが攻撃のインパクトは隠せない様だし、確実に今のは当たってておかしくなかった。

「づっ!?」
 
 背後から衝撃が襲ってきた。完全に意表を突かれた。俺は体を回転させて上手く態勢を立て直して、近づく事無く聖剣を横に振るう。光が伸びてさっきまで自分がいた場所までも斬る。今のは予備動作さえみえない早さだった筈だ。でもやっぱり感触はなかった。そして再び今度は側面から衝撃が襲ってくる。

「遠距離攻撃なのか?」

 これだけ当たらないとなると、この攻撃をしてくる奴が全く別の場所にいることしか考えられない。俺は吹き飛びながら視線を動かす。だが見えない。

(感覚を研ぎ澄ませろ)

 俺は目を閉じる。その瞬間、ゾクッとした。感覚を広げた瞬間、ものすごく大量の気配を感じたからだ。

(居る!?)

 地面を埋め尽くしてそれはいる。感じる……間違いない。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 俺は体を回転させて全方位を切り裂いた。でもやっぱり斬った感触はない。でも……居ることがわかる。大量に、周囲にいる。

(なんだ? どういうことだ? どうすればいい? どうすれば……)

 目の前の空間が揺らぐ。そしてそこに大きな目玉が現れた。そしてその目と目が合った瞬間、俺の全ては閉じられた。

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