現代社会にモンスターが湧いた件〜生き残るために強くなります〜
61話 ゴブリンキング戦8
〜イヴィルside〜
『邪龍イヴィル.......』
ゴブリンキングから鋭い眼光を向けられる。
戦いの邪魔をした事への怒りか、それとも自分より圧倒的に強い化け物が現れた事への焦りか.......それは本人にしか分からないが、怒っているような、焦っているような、そんな表情をしていた。
「本当は手を出すつもりは無かったのだがな.......『覇王』が相手となると話は別だ」
我は怪物共との約定により、戦闘行為を禁止されているのだが、相手も怪物なら話は別だ.......
「くくく.......よろこべ。全力で叩き潰してやろう」
.......我の弟子を虐めてくれたお礼はキッチリせねばなるまい。
特別に遊んでやる。
「ほれ。貴様から見て右から攻撃するぞ」
凡そ、ゴブリンキングの2倍の速度で距離を詰め、宣言通り右から蹴りを入れた。
『ぬうぅッ!!』
ほぅ.......我の蹴りを両腕で受け止めたか。
腕の骨は砕けたが、こやつの再生能力なら一瞬で治癒できる.......あって無いようなダメージだな。
「くくく。次は正面から行くぞ」
『ぬかせ!』
全力の"1割"程度の力で拳を放ち、相手を牽制しようとしたのだが、受け止めきれずにゴブリンキングは吹き飛んでしまう。
「む?この程度で吹っ飛ぶのか?.......いや、ソフィアの魔術や我の蹴りが効いているのだろうな」
しかし、ゴブリンキングは空中で何とか体勢を整え直し、音も無く着地する。
「その巨体で小さな音すら出さない身のこなしは素直に褒めるが、圧倒的に自力の差があるから我には勝てぬぞ」
『邪龍イヴィル.......なぜ余の戦いに手を出したのだ?これは貴様が加わるべき闘争ではないぞ!約定はどうした!?』
ゴブリンキングの威圧と激情を一身に受け、我は鼻で笑って言う。
「我が加わるべき闘争ではない?....... ふっ。弱者が吠えるな」
『ッッ!?』
相手の戦闘意欲を無くすために、手加減なしの威圧を放った。
すると、我の狙い通りにゴブリンキングは顔を真っ青にし、呼吸を荒くして膝をつきそうになる。
「正直言うとな.......あの化け物共と結んだ約定など守る必要は無いのだ」
一歩踏み出すと、それに合わせてゴブリンキングは後ろへ下がった。
大量の汗を流し、この場をどう切り抜けるか.......どうやって生き残るのかを必死に考えているのは、一目見れば分かる。
それも無理はない。
何故なら.......
「我こそ最凶の龍ぞ.......雑魚共とした口約束など.......どうでもいいわ!」
見た目は可愛らしい少女でも、その正体は最強と名高い化け物共でさえ手をこまねいた本物の化け物。
その華奢な身体には、とてつもない力が秘められており、歩く度に大地を割り、腕を軽く振るえば周囲を更地に化す事が出来る。
だからこそ我はこう呼ばれる。
「邪龍イヴィル.......またの名を"暴虐の邪龍イヴィル"。我こそは最強の龍族が一体である」
名乗りを上げだ瞬間、周囲の空気がドス黒く濁り、ダンジョン内が激しく揺れ始めた。
我の存在そのものにダンジョンが耐えられなくなってきたのだろう。
全く.......軟弱なダンジョンだ。
もっと気張らんか!
『貴様!そんな禍々しい魔力を放出するな!ダンジョンが崩落したらどうするのだ!』
「ん?もちろん弟子とソフィアを連れて脱出するぞ」
そもそも、貴様と我との差を見せつけるためにやっているのだから、別に崩れても構わんだろうが。
「くくく。恨むなら弱い自分を恨むのだな!」
『させぬ.......貴様は余が止める!!』
何故か、我が悪者になり、ゴブリンキングが正義の味方的な感じになってしまったが.......まぁ、面白そうだからいっか!
「くくく。雑魚が調子に乗りおって.......ダンジョンと一緒に葬り去ってやるわ!」
我は両手を広げ、魔王もビックリする悪役を演じた。
ワハハハハ!我は役者になれるかもな!
そして、ゴブリンキングは固有スキルを発動させる。
『スキル.......【覇.......』
「まっ.......待.......てぇぇ!!」
しかし、その発動は男の声によって止められる。
『暴食の小僧.......もう起きたか』
ゴブリンキングは呆れたように溜め息を吐き、もう一度発動させようとしたが、巨大な鉄くずが飛んできたことによって、強制的に止められた。
「待てって言ってんだろうが.......」
 ソラはスライムと融合した『魔人』だから、再生能力が高い。
お陰で早く意識を取り戻すことが出来たようだな。
「ソラよ。お前では勝てぬから我が倒すと言っておるのだ。というより、我のソラを傷つけたから絶対ぶっ殺す」
「いやいやいや、お前のものになった覚えはないぞ」
それにしても.......スライム化が進みすぎてはいないか?
だから予想よりも早く起きたのだな。
「そうだよ!ソラ君は僕のオモチャ.......ごほんっ。僕のものだよ!」
「おいコラ。いまオモチャって言ったよな?咳払いしても隠せてねぇぞ.......ってか、俺の獲物を奪ってんじゃねぇ!そいつは俺が倒す!」
「むむむ.......」
こんな頑固なソラは見たことないぞ。
『うむ。それが良い。師匠が弟子の獲物を奪うのはカッコ悪いぞ』
何故だ?.......ゴブリンキングも説得し始めたぞ。
「.......うむ。ゴブリンキングの意見も一理ある。仕方ないが譲ってやろう」
なんかモヤッとするが、ソラの頼みだ。
譲るとしよう。
「イヴちゃん.......騙されやすい性格なんだね」
「しーっ!それは言うな」
なんか2人は小声で話しているが、我の耳にはきっちり届いているぞ。
『ふっ。では始めようか!暴食の小僧!』
「え?今からはやらないよ?だって勝てないし。ソフィアさん!帰還石!」
「了解!」
「ん!?今からやらんのか?」
そして我は訳も分からず、ダンジョンから地上へ転移したのだった。
〜ゴブリンキングside〜
『.......逃げられたか』
あの暴食の小僧のお陰で何とか生き残れたが.......次会った時は本当に負けるかもしれぬな。
『次は手加減なして向かい打ってやろう』
『邪龍イヴィル.......』
ゴブリンキングから鋭い眼光を向けられる。
戦いの邪魔をした事への怒りか、それとも自分より圧倒的に強い化け物が現れた事への焦りか.......それは本人にしか分からないが、怒っているような、焦っているような、そんな表情をしていた。
「本当は手を出すつもりは無かったのだがな.......『覇王』が相手となると話は別だ」
我は怪物共との約定により、戦闘行為を禁止されているのだが、相手も怪物なら話は別だ.......
「くくく.......よろこべ。全力で叩き潰してやろう」
.......我の弟子を虐めてくれたお礼はキッチリせねばなるまい。
特別に遊んでやる。
「ほれ。貴様から見て右から攻撃するぞ」
凡そ、ゴブリンキングの2倍の速度で距離を詰め、宣言通り右から蹴りを入れた。
『ぬうぅッ!!』
ほぅ.......我の蹴りを両腕で受け止めたか。
腕の骨は砕けたが、こやつの再生能力なら一瞬で治癒できる.......あって無いようなダメージだな。
「くくく。次は正面から行くぞ」
『ぬかせ!』
全力の"1割"程度の力で拳を放ち、相手を牽制しようとしたのだが、受け止めきれずにゴブリンキングは吹き飛んでしまう。
「む?この程度で吹っ飛ぶのか?.......いや、ソフィアの魔術や我の蹴りが効いているのだろうな」
しかし、ゴブリンキングは空中で何とか体勢を整え直し、音も無く着地する。
「その巨体で小さな音すら出さない身のこなしは素直に褒めるが、圧倒的に自力の差があるから我には勝てぬぞ」
『邪龍イヴィル.......なぜ余の戦いに手を出したのだ?これは貴様が加わるべき闘争ではないぞ!約定はどうした!?』
ゴブリンキングの威圧と激情を一身に受け、我は鼻で笑って言う。
「我が加わるべき闘争ではない?....... ふっ。弱者が吠えるな」
『ッッ!?』
相手の戦闘意欲を無くすために、手加減なしの威圧を放った。
すると、我の狙い通りにゴブリンキングは顔を真っ青にし、呼吸を荒くして膝をつきそうになる。
「正直言うとな.......あの化け物共と結んだ約定など守る必要は無いのだ」
一歩踏み出すと、それに合わせてゴブリンキングは後ろへ下がった。
大量の汗を流し、この場をどう切り抜けるか.......どうやって生き残るのかを必死に考えているのは、一目見れば分かる。
それも無理はない。
何故なら.......
「我こそ最凶の龍ぞ.......雑魚共とした口約束など.......どうでもいいわ!」
見た目は可愛らしい少女でも、その正体は最強と名高い化け物共でさえ手をこまねいた本物の化け物。
その華奢な身体には、とてつもない力が秘められており、歩く度に大地を割り、腕を軽く振るえば周囲を更地に化す事が出来る。
だからこそ我はこう呼ばれる。
「邪龍イヴィル.......またの名を"暴虐の邪龍イヴィル"。我こそは最強の龍族が一体である」
名乗りを上げだ瞬間、周囲の空気がドス黒く濁り、ダンジョン内が激しく揺れ始めた。
我の存在そのものにダンジョンが耐えられなくなってきたのだろう。
全く.......軟弱なダンジョンだ。
もっと気張らんか!
『貴様!そんな禍々しい魔力を放出するな!ダンジョンが崩落したらどうするのだ!』
「ん?もちろん弟子とソフィアを連れて脱出するぞ」
そもそも、貴様と我との差を見せつけるためにやっているのだから、別に崩れても構わんだろうが。
「くくく。恨むなら弱い自分を恨むのだな!」
『させぬ.......貴様は余が止める!!』
何故か、我が悪者になり、ゴブリンキングが正義の味方的な感じになってしまったが.......まぁ、面白そうだからいっか!
「くくく。雑魚が調子に乗りおって.......ダンジョンと一緒に葬り去ってやるわ!」
我は両手を広げ、魔王もビックリする悪役を演じた。
ワハハハハ!我は役者になれるかもな!
そして、ゴブリンキングは固有スキルを発動させる。
『スキル.......【覇.......』
「まっ.......待.......てぇぇ!!」
しかし、その発動は男の声によって止められる。
『暴食の小僧.......もう起きたか』
ゴブリンキングは呆れたように溜め息を吐き、もう一度発動させようとしたが、巨大な鉄くずが飛んできたことによって、強制的に止められた。
「待てって言ってんだろうが.......」
 ソラはスライムと融合した『魔人』だから、再生能力が高い。
お陰で早く意識を取り戻すことが出来たようだな。
「ソラよ。お前では勝てぬから我が倒すと言っておるのだ。というより、我のソラを傷つけたから絶対ぶっ殺す」
「いやいやいや、お前のものになった覚えはないぞ」
それにしても.......スライム化が進みすぎてはいないか?
だから予想よりも早く起きたのだな。
「そうだよ!ソラ君は僕のオモチャ.......ごほんっ。僕のものだよ!」
「おいコラ。いまオモチャって言ったよな?咳払いしても隠せてねぇぞ.......ってか、俺の獲物を奪ってんじゃねぇ!そいつは俺が倒す!」
「むむむ.......」
こんな頑固なソラは見たことないぞ。
『うむ。それが良い。師匠が弟子の獲物を奪うのはカッコ悪いぞ』
何故だ?.......ゴブリンキングも説得し始めたぞ。
「.......うむ。ゴブリンキングの意見も一理ある。仕方ないが譲ってやろう」
なんかモヤッとするが、ソラの頼みだ。
譲るとしよう。
「イヴちゃん.......騙されやすい性格なんだね」
「しーっ!それは言うな」
なんか2人は小声で話しているが、我の耳にはきっちり届いているぞ。
『ふっ。では始めようか!暴食の小僧!』
「え?今からはやらないよ?だって勝てないし。ソフィアさん!帰還石!」
「了解!」
「ん!?今からやらんのか?」
そして我は訳も分からず、ダンジョンから地上へ転移したのだった。
〜ゴブリンキングside〜
『.......逃げられたか』
あの暴食の小僧のお陰で何とか生き残れたが.......次会った時は本当に負けるかもしれぬな。
『次は手加減なして向かい打ってやろう』
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