現代社会にモンスターが湧いた件〜生き残るために強くなります〜

S・R

55話 ゴブリンキング戦2

 巨大な扉の前に3人の人が並び立っていた。
 その者達は、それぞれ違う表情を浮かべ、扉を見上げている。

「ソラよ。まだ緊張しておるのか?」
「き、緊張なんてしてねぇし!?やる気満々だし!」
「お、おう.......そうか」

 はい、嘘です.......めちゃくちゃ緊張してるし怖すぎてチビりそうだ。
 まぁ、そんなこと言えるはずないけど。

「緊張してたら、いつも通りの動きが出来ないから気を付けてね」

 あぁ、なんかソフィアさんが女神に見えてきた。
 顔がいいだけの残念美少女なのに何故だ?
 .......これが優しさか。

「よし.......開けるぞ」

 俺は覚悟を決め扉を開いた。

「うそん」

 中には数百匹のゴブリンの群れと、その奥には数匹の大きな人型モンスターがいた。
 多分、ゴブリンジェネラルだろう。
 ゴブリンキングらしき奴は見えない。
 数が多すぎで探せないのだ。

 こんな光景を見たら誰だって俺のような反応をするはずである。

「グギャ!グギャギャ!」
「グギャグギャ!」
「ギャギャギャ!」

 数百匹にも登るゴブリン達の鳴き声を聞き、既に俺は帰りたくなってしまった。
 ゴブリン達は久しぶりの獲物を見つけたというような歓喜した様子であり、今にも飛びかかってきそうな雰囲気である。

 普通のゴブリンとホブゴブリンが殆どだな.......ローブを被ってるゴブリンもいるけど、魔法が使えるのか?
 他の奴らより魔力が高い。

「くっくっく.......我が作品を大いに披露できる場が初めてやってきたぞ!出てこい!ハウザー!シュナイザー!我に仇なす敵を排除するのだ!」

 ソフィアが背筋の痒くなるセリフを吐いた後、両脇に灰色の人型ゴーレムが現れた。

『『我が主の命令により敵を排除致します』』
「ゴーレムが喋った!?」

 え.......ソフィアさんのゴーレムって会話できたの!?
 めっちゃカッコイイ!

「.......さっきまでのビビりようはどうしたのだ?」

 イヴが呆れ気味に言った。

 ふっ.......男のロマンの前には、どんな恐怖心も吹き飛ぶのだよ。

『レールガン セット』

 シュナイザーよりもゴツめなゴーレムであるハウザーは、両腕を地面に突き刺し体を固定する。
 すると、背中が開いて中から巨大な筒が現れた。

『充電開始.......充電完了』

 数秒ほど動かずに、筒から電気を走らせていると、充電完了の知らせを言った。

『発射!!』

 発射の合図と共に、ハウザーの背中に設置されている筒が紫色に光り輝き、周囲を巻き込むほどの電磁波を撒き散らしていた。

「うおっ!?少しピリってしたぞ!?」

 まさか、ここまで派手な演出をするとは思わなかった。
 なんか敵もハウザーに近づくことが出来ねぇみたいだし.......ゴーレムだけで勝てんじゃね?

 そんなフラグを立てながら、ハウザーの先にいるゴブリン達を見睨みつける。
 万が一、この攻撃が効かずに、こちらまで向かってきたら、対処するのが俺だからだ。

「くっくっくっ。我が最強の兵器によって塵となれ!」

 レールガン発射に合わせたかのようなセリフを聞いた直後、ハウザーの背中の筒から、今の俺ですら視認できない程の速度で弾丸が発射された。

 発射された弾丸は、そのままゴブリンの群れへと地面を融解させながら一直線に進み、骨すら残さず跡形もなく消し飛ばしてしまった。

「.......人に向かって撃つなよ。フリじゃないからな。絶対に撃つなよ」

 こんなの人に向ける武器じゃねぇぞ。
 むしろ国相手に使う兵器だな。

「むふふぅ。分かってるよぉ。弾の無駄遣いを心配してるんでしょ?でも御安心さなさい!これは電磁誘導を利用した平気であって火薬は使わないからね!低コストで済むのさ!」
「あ、うん.......そっか」

 そういう意味で言ったんじゃないんだよなぁ.......訂正するのが面倒いから、もういいや。
 ソフィアさんなら使い方を間違わないだろうし。

「そんなカリカリしていると老けるぞ。もっと堂々とせんか」
「.......うっす」

 .......頭のおかしい科学者と、頭のおかしい邪龍がいる時点で、胃に穴が開きそうな程のストレスを抱えているのを察してないのだろうか。
 既に老けそうだよ!

 まぁ、そんな事を言ったら何をされるか分かったもんじゃないから黙ってよっと。

「よし!第2射もやっちゃうよ!」

「よし!じゃねぇよ!俺の分が無くなるじゃねぇかよ!ゴブリンキング戦前に経験値稼ぎさせてくれよ!」
「えぇ、つまんないなぁ」

 一応、配下のゴブリンは雑魚の集まりだから、俺の経験値にするって計画だったよね。
 .......もしかして忘れてた.......のか?

「.......忘れてたのか」
「そ、そんなことは無いよ?ただね.......ちょ〜っと楽しくなってきちゃってさ。てへっ!」
「次やったらぶっ飛ばす」
「なんで!?」

 戦闘中でも平常運転なソフィアさんは、ある意味すごいよ。

 そんな事を心の中で呟きながら、俺は鞘から刀を抜く。

「んじゃ.......ゴブリンキングが出しゃばる前に経験値の荒稼ぎと行きますか!」

 俺は漆黒の刀を敵へ向けながら、言葉が理解できているのかも分からないゴブリン達に挑発するのだった。

コメント

  • サトゥー

    平気✖️
    兵器⭕️

    2
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