現代社会にモンスターが湧いた件〜生き残るために強くなります〜
54話 ゴブリンキング戦1
感覚的に30メートルほど階段を下った所で、ドーム型の広い空間に出た。
奥には巨大な扉が堂々と配置されており、中から膨大な魔力が溢れ出ているのでボス部屋だということは、すぐに察することが出来た。
「.......明らかにやばい雰囲気が漂ってるんだけど.......いざという時は逃げようぜ」
戦う前から諦めるという醜態を晒しながらも、ソフィアに言う。
しかし、返事をしたのはイヴだった。
「男なら弱気な事を言うでない!さっさと行ってくるのだ!」
「いでっ!?」
イヴにケツを蹴られながら扉へと進み、その度に強大な魔力が全身にのしかかってくる。
イヴの隙をついて逃げるか?.......いや、逃げられるわけねぇか。
よし、ここまで来りゃあヤケだ!
ゴブリンキングには新しい刀の試し斬りになってもらうぜ!
.......ゴブリンジェネラルではイマイチだったからな。
「取り敢えずボス戦前に最後の確認だけしよっか」
「.......うむ。それもそうだな」
.......もしかして、このまま俺を扉の中に放り込もうとしてたのか?
そんな疑いの目を向けていると、イヴは気まづそうに顔を逸らした。
最後の確認やイメージトレーニングすら出来ずにボス戦に無理やり挑ませようとしていたのか.......やっぱり鬼.......いや、そう言えば邪龍だったな。
邪龍っぽさって言うのかな?
イヴって邪悪な感じがしないし、偶に忘れてしまう。
「俺の新しい装備と言えば、この刀しかないからな。適当に素振りでもしながら終わるまで待ってるよ」
「はーい」
「うむ」
そして2人の返事を聞いたあと、隅っこで素振りをしながら頭の中でゴブリンキング戦のイメージをひたすら繰り返すのだった。
◇
〜ソフィアside〜
あれは、かなり緊張してるみたいだね.......ソラ君。
一応、ダンジョンからの脱出アイテムは用意してあるけど、イヴちゃんからソラ君に伝えることを止められちゃったんだよね。
なんか、戦いに緊張感が生まれないからと言うことらしい。
「えっと.......ハウザーとシュナイザーの武装は何度も確認済みだから問題無し。あとは.......【収納空間】に入ってる銃などの火薬武器も大丈夫そうだね.......最後はイヴちゃんの鱗で作った槍は.......」
実はソラ君の刀を作成するのと同時に、僕の新しい槍も作った。
正直言うと『聖騎士』を選んだ理由が、身体能力の低さを補う為だけに選んだジョブだから、別に武器の練習をするつもりは無かった。
しかし、ソラ君のご両親を探す手伝いをするなら少しでも強くなった方が良いだろう。
.......ソラ君達が居ないとつまらないからね。
「.......特に問題は無さそうだね」
スキル【鑑定】を使いながら隅々まで確認したが、特に異常は無さそうだった。
イヴの黒髪のように艶のある黒色であり、シンプルな見た目ではあるが、そこらの武器より良いものだという事は素人目にも分かる。
これなら魔術を使わなくてもゴブリンジェネラルやレッドオーガの硬い皮膚すら、簡単に貫通することが出来るだろう。
「まぁ、今の僕じゃ上手く使いこなせないだろうけど」
運動以外なら自信があるのだが.......自分の運動神経の悪さに嫌気がさしてくる。
「.......そんな事を嘆いても無意味だったね。僕は僕に出来ることをやれば良いさ」
そう呟いて自分を無理やり納得させ、僕は装備の確認を続けるのだった。
◇
「.......ふむ」
我は顎に手を当てながら2人を見る。
ソラは強敵を前にすると、いつも緊張しているのだが、今回は更にガチガチになっているな。
まぁ、それが普通の反応ではあるが.......我の弟子ならドンと構えて、男らしくして欲しいものだ。
ソフィアはどんな時でも冷静に対処し、精神面では何の問題も無い。
むしろ、人間とは思えないほどのスペックを持っているから、本当は神の血でも混ざっていないか、いつも【万物鑑定】で確認している程である。
.......しかし今回はソフィアも少し緊張感を持っているようだ。
「我はいつも通り見学をしているだけだな」
もう少し骨のある奴が出てくるのは、あとは50階層ほど降りたところであろうな。
今のペースで最深層を目指していると、何十年もかかりそうだ。
ワッハッハッハ!しょうがないから、特別にソラとの組手を激しくしてやろう。
「.......まぁ、助けたのは我だから責任を取って強くしなければならんからの」
ソラには早く強くなってもらわないと困る。
あの右腕には【暴食】が宿っておるからな。
我と同じように、もしこの世界に『魔王』も来ていたら必ず狙われる。
いや、【暴食】があるから確実にいるだろう。
我と同等とまではいかずとも、最終派生職業を取得し、レベルを100以上にしなければ、自分の身すら守れぬ。
それまで我が面倒を見なければ.......それがソラを生かした我の役目であろう。
そんな事を考えていると、ソフィアがやって来た。
どうやら装備の確認が終わったようである。
「僕の準備は整ったから、そろそろ扉の中に入ろっか」
「うむ。ではソラを呼ぼう」
そして我は大声でソラを呼び出し、戦いの場へと向かうのだった。
.......戦うのは我では無いのだが、何故か緊張するな。
奥には巨大な扉が堂々と配置されており、中から膨大な魔力が溢れ出ているのでボス部屋だということは、すぐに察することが出来た。
「.......明らかにやばい雰囲気が漂ってるんだけど.......いざという時は逃げようぜ」
戦う前から諦めるという醜態を晒しながらも、ソフィアに言う。
しかし、返事をしたのはイヴだった。
「男なら弱気な事を言うでない!さっさと行ってくるのだ!」
「いでっ!?」
イヴにケツを蹴られながら扉へと進み、その度に強大な魔力が全身にのしかかってくる。
イヴの隙をついて逃げるか?.......いや、逃げられるわけねぇか。
よし、ここまで来りゃあヤケだ!
ゴブリンキングには新しい刀の試し斬りになってもらうぜ!
.......ゴブリンジェネラルではイマイチだったからな。
「取り敢えずボス戦前に最後の確認だけしよっか」
「.......うむ。それもそうだな」
.......もしかして、このまま俺を扉の中に放り込もうとしてたのか?
そんな疑いの目を向けていると、イヴは気まづそうに顔を逸らした。
最後の確認やイメージトレーニングすら出来ずにボス戦に無理やり挑ませようとしていたのか.......やっぱり鬼.......いや、そう言えば邪龍だったな。
邪龍っぽさって言うのかな?
イヴって邪悪な感じがしないし、偶に忘れてしまう。
「俺の新しい装備と言えば、この刀しかないからな。適当に素振りでもしながら終わるまで待ってるよ」
「はーい」
「うむ」
そして2人の返事を聞いたあと、隅っこで素振りをしながら頭の中でゴブリンキング戦のイメージをひたすら繰り返すのだった。
◇
〜ソフィアside〜
あれは、かなり緊張してるみたいだね.......ソラ君。
一応、ダンジョンからの脱出アイテムは用意してあるけど、イヴちゃんからソラ君に伝えることを止められちゃったんだよね。
なんか、戦いに緊張感が生まれないからと言うことらしい。
「えっと.......ハウザーとシュナイザーの武装は何度も確認済みだから問題無し。あとは.......【収納空間】に入ってる銃などの火薬武器も大丈夫そうだね.......最後はイヴちゃんの鱗で作った槍は.......」
実はソラ君の刀を作成するのと同時に、僕の新しい槍も作った。
正直言うと『聖騎士』を選んだ理由が、身体能力の低さを補う為だけに選んだジョブだから、別に武器の練習をするつもりは無かった。
しかし、ソラ君のご両親を探す手伝いをするなら少しでも強くなった方が良いだろう。
.......ソラ君達が居ないとつまらないからね。
「.......特に問題は無さそうだね」
スキル【鑑定】を使いながら隅々まで確認したが、特に異常は無さそうだった。
イヴの黒髪のように艶のある黒色であり、シンプルな見た目ではあるが、そこらの武器より良いものだという事は素人目にも分かる。
これなら魔術を使わなくてもゴブリンジェネラルやレッドオーガの硬い皮膚すら、簡単に貫通することが出来るだろう。
「まぁ、今の僕じゃ上手く使いこなせないだろうけど」
運動以外なら自信があるのだが.......自分の運動神経の悪さに嫌気がさしてくる。
「.......そんな事を嘆いても無意味だったね。僕は僕に出来ることをやれば良いさ」
そう呟いて自分を無理やり納得させ、僕は装備の確認を続けるのだった。
◇
「.......ふむ」
我は顎に手を当てながら2人を見る。
ソラは強敵を前にすると、いつも緊張しているのだが、今回は更にガチガチになっているな。
まぁ、それが普通の反応ではあるが.......我の弟子ならドンと構えて、男らしくして欲しいものだ。
ソフィアはどんな時でも冷静に対処し、精神面では何の問題も無い。
むしろ、人間とは思えないほどのスペックを持っているから、本当は神の血でも混ざっていないか、いつも【万物鑑定】で確認している程である。
.......しかし今回はソフィアも少し緊張感を持っているようだ。
「我はいつも通り見学をしているだけだな」
もう少し骨のある奴が出てくるのは、あとは50階層ほど降りたところであろうな。
今のペースで最深層を目指していると、何十年もかかりそうだ。
ワッハッハッハ!しょうがないから、特別にソラとの組手を激しくしてやろう。
「.......まぁ、助けたのは我だから責任を取って強くしなければならんからの」
ソラには早く強くなってもらわないと困る。
あの右腕には【暴食】が宿っておるからな。
我と同じように、もしこの世界に『魔王』も来ていたら必ず狙われる。
いや、【暴食】があるから確実にいるだろう。
我と同等とまではいかずとも、最終派生職業を取得し、レベルを100以上にしなければ、自分の身すら守れぬ。
それまで我が面倒を見なければ.......それがソラを生かした我の役目であろう。
そんな事を考えていると、ソフィアがやって来た。
どうやら装備の確認が終わったようである。
「僕の準備は整ったから、そろそろ扉の中に入ろっか」
「うむ。ではソラを呼ぼう」
そして我は大声でソラを呼び出し、戦いの場へと向かうのだった。
.......戦うのは我では無いのだが、何故か緊張するな。
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