現代社会にモンスターが湧いた件〜生き残るために強くなります〜

S・R

41話 出会い

〜田村side〜

 あ、アレはなんだ.......私は夢を見ているのか!?

「夢じゃないっすよー!」
「へぶっ!?」

 と言って、一郎は私の頬を引っ叩く。
 .......話し方もムカつくし、上司に向かって引っ叩くし、それに敵前逃亡しようとするし.......いや、それは三郎だな。
 とにかく、ものすごくムカつくので、あとで殴ろう。

「一郎.......あとで私もひっぱたいてやろう」
「なんで!?」

 やはり、コイツは"ド"が付くアホだ。
 普通は上司に向かって、頬を叩いたりしないだろう。

「それにしても.......あの少年、圧倒的だな。もしかしたら、隊長以上の実力者かもしれん」

 私の言葉に、三馬鹿たちは目を見開いて、ゴブリンたちと戦っている少年に視線を向ける。

 その少年は現れた瞬間、私ですら身がすくんでしまう程の殺気を放ち、素手でゴブリン共を蹂躙していた。
 あと何かをブツブツと呟いているな.......なんて言っているのだ?

 そして、私は少年の呟きに耳を傾ける。

「ふぉーー!!リアル撲殺無双ですぞ!拙者、テンション爆上がりでござる!」
「非常食がたくさん手に入ったお!」

 三郎はよく分からんが一人で叫んいるし、二郎なんて非常食が手に入ったなどと.......それを食べるのは貴様らくらいだぞ。



〜ソラside〜

 イヴめ.......あんな所から落としやがって!モンスターとは死ぬほど戦わされてきたけど、空から落とされたのは初めてだぞ!

 俺はブツブツと、イヴへの恨み言を吐きながら、黙々とゴブリンを素手で倒していく。
 初めは、ゴブリンですら武器無しでは戦えなかったのだが、今のステータスでは余裕で撲殺できるのだ。

「敵の数も多いし魔法で一気に倒すか」

 俺は有り余る魔力を使って、レベル30になって取得した【闇魔法】を放つことにした。
 敵が多い場合は魔法の方が効率が良いのだ。

「敵の数は残り20ってところか.......」

 【闇魔法】は文字通り闇を操ったり、敵にデバフを掛けたり出来る魔法だ。

「取り敢えず.......闇に呑まれろ」

 俺は地面に手を付いて、広範囲に闇を展開する。
 そして、その闇に囚われたゴブリンたちは、なんの抵抗も出来ずに暗闇に呑まれたのだった。

「ふぅ.......雑魚狩り終了!」

 敵の全滅を確認したあと、俺は後ろを向いて自衛隊の方々に話しける。

「あの、皆さん大丈夫ですか?」

 その自衛隊の人達は、自分の口をこれでもかってくらい大きく開いていた。



〜田村side〜

「あの、皆さん大丈夫ですか?」

 目の前の少年が、私たちの心配をしてきた。
 たった今、戦闘が終わったばかりなのに、自衛隊である私たちを心配するなんて.......なんと優しい少年なのだろうか!隊長や部下たちとは大違いだ!

「あのぉ.......もしかして、手を貸したのは不味かったですか?」

 と、少年が下手になりながら聞いてくる。
 おっと、いかんいかん.......先ずは挨拶をしなければな。

「助けて頂きありがとうございます。私は避難所の警備全般を任されている者です。田村と申します」

 自衛隊員だった頃の長ったらしい肩書きではなく、今やってる仕事を短く言って、自己紹介する。
 目の前の少年は高校生くらいだろうし、小難しい事を言っても理解できないかもしれない。
 .......まぁ、隊長が正式な部隊名を決めてないのもあるが。

「あ、そうなんですか。俺は佐藤と言います。ここら辺を通っていたら、たまたま襲われているのを見つけて、助けに来ました」
「.......そうだったのですか」

 ここら辺を通ってきた.......しかし、空から降ってきたように見えたぞ。
 いや、空から降ってきたのは間違いない.......しかし、どうやって.......いや、空を飛ぶことが出来るスキルがあるのかもしれない。
 詮索はせずに、取り敢えず隊長の所へ案内してみるか。

 この少年と繋がりを持てたら、今後の生存率が格段に上がる。

「助けて頂いて何もお返ししないのでは、隊長に叱られてしまいます。もし、宜しければ避難所まで着いてきてくれませんか?」
「んー.......まぁ、いっか。少しだけなら、時間あるんで良いですよ」
「ありがとうございます!」

 と言って、私は深々と頭を下げた。

「あ、あの.......年上の方に頭を下げられると.......」

 少年.......いや、佐藤さんはアタフタしている。
 そこだけは、年齢相応なのか。

「ふふふ.......では、私たちに着いてきてください」
「あ、俺の連れも良いですか?」
「お連れ様がいらっしゃるのですか。構いませんよ」
「ありがとうございます」

 そして、佐藤さんは上を向いて叫んだ。

「おーい!イヴー!ちょっと寄り道することになった!」

 そう叫んだ瞬間、空から何かが降ってきた。
 .......また、空からですか。




パーティーメンバー

・佐藤 空

・イヴィル

・明智 ソフィア

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