二十五之剣　「結合」

うまく、砂埃に隠れることができたけど。やばいな。魔族の岩の鎧が思ったよりかたい。致命的なダメージを与えるのは骨が折れそうだな。

ソラは、砂埃に身を隠しながら、そんな事を考えています。ソラの剣を持つ手は、斬った時の衝撃で、しびれ震えている。余裕があるような様子を見せていましたが、ソラも実は、それほど、余裕があるというわけではなさそうです。

「面白い、面白いぞ、ソラ！！！俺をもっと、もっと楽しませてくれよ！！！俺に、傷を負わせた奴は、何年かぶりだ。俺に傷を負わせたお前には、俺の全力をぶつけたくなった」

カゲツは、興奮した様子で言うと、エンゲツにテレパシーを送る。

“エンゲツ、あれをやるぞ”

“了解”

すると、エンゲツは、銃を構え、弾丸を放つ。たいして、今までとは変わりない攻撃のように思いますが、何をしようというのでしょうか。

また、銃撃。今回は、一発だけ。

エンゲツもまた、ソラほどではないですが、周辺の魔力を感じ取ることができます。ただ、だいたいの位置しか分からず、当然、砂埃のどこにソラがいるのかは分からないはずですが。

あれ！？弾丸の方向がおかしい。どういうことなんだ。

ソラは、弾丸が放たれた直後、弾丸の飛ぶ方向が自分とは違うことに気がつきます。それどころか、弾丸は、カゲツの方に直進している。まさか、このタイミングで仲間割れ、もしくは、裏切りか。そのまま、カゲツの胴体に、弾丸が到達し、くい込む。
痛そうですが、カゲツは、それが分かっていたふうで、むしろ、清々しい表情を浮かべている。カゲツの感性が特殊なのか、奇妙です。

“土×氷”

まずい。これは......魔力結合マジカル・マージ。

なんと、カゲツとエンゲツは、魔力結合を行おうとしていたようだ。魔力結合といえば、懐かしの響きですが、お互いの魔力どうしを掛け合わせることで、何倍もの力を生み出すことができる技です。
魔力結合を行い、カゲツの魔力が、急激に高まっていきます。あまりの魔力の強さに、ソラは、ちくちくとした痛みを肌で感じています。辺りに舞っていた砂埃は、一瞬で吹き飛んでいく。

「いいぞ！！力が湧き上がってくる！！この力で、ソラ、お前をぶちのめす」

カゲツが体に纏う岩は、まるで、半透明で、光沢のあるダイヤモンドのような見た目に変化しています。いかにも、固そうな風貌だ。変わったのは、見た目だけならいいのでしょうが、おそらく、そのパターンは皆無でしょう。

「ぶちのめされる訳にはいかねーんだ。俺は、お前には負けられねーからよ」

ソラは、剣を構えてカゲツの攻撃に備える。今までよりも、集中力を高め、どんな攻撃が来ても対応できるようにコンディションを整える。

「いくぞ」

「こい」

魔力結合で劇的に力を上げたカゲツ。いったい、どんな戦いを見せるのでしょうかーー。