この世界で魔法が生まれた日
「激震」
―先日、午前10ごろ起こった火災の原因は、未だに分かっておりません。
―周囲に監視カメラが、設置されていたと思うのですが、火がつく瞬間は、カメラにとらえれていなかったのですか。
―それが不思議なんです。カメラには......
ぶちっ。
「あっ!?」
朝、のんびりとテレビを見ていると、突然、テレビの電源が切られて、思わず声が漏れた。
続きが気になる絶妙なタイミングで突然、電源を切られた。一体、何者だ。
とは、思うものの、テレビの電源を消した犯人は分かっている。僕の母親だ。そして、こう言うはずだ。もう下校する時間よ。早く、支度して出なさいってね。
「もう下校する時間よ。早く支度して出なさい!」
「分かってるよ。今すぐ出るよ」
僕は、そう言うと、即行で学校の準備をして、家を慌てて出た。
だいたい、いつも、平日の朝はこんな感じの会話が繰り広げられる。全然誉められたことではないが、これが日課になりつつある。
こう何度も、家を出なさいと言われると、追い出されてるような感じがするな。
家を出ると、今日も、青空が広がっていた。青空で燦々と輝く太陽は、僕の曇った気持ちまでは晴らしてなんてくれない。
学校に行く前は、相変わらず、億劫な気持ちになってしまう。特別、学校が嫌いだとかではないけれど、なんとなく行く気にならないのだ。
こたつに入っていたら、居心地がよくて、抜け出すのがとても苦痛に感じてしまうのと似ている。同じ地球の上にあるというのに、学校と自宅では温度差が違いすぎる。
家から学校へは、途中まで電車に乗って通学している。今日も、駅に行き交う人々の間を歩きながら、止まった電車に乗る。
電車に揺られながら、吊り革を掴み、車内を眺めた。みんな、スマホを見ているな。
スマホを触っていない人を探すほうがなかなか難しそうだ。
時々、思う。人がスマホを使っているのではなくて、スマホが人を使っているのではないかと。いつの日か、スマホに寄生されるんじゃないかとさえ思えてくる。
AIが将来、人間の脅威になるなんて話をよく聞くけど、そう遠くない未来かもしれない。
以前までは、僕もスマホを触っていたけど、最近はスマホを電車の中では触らなくなった。その代わり、電車の外の景色を見ている。
意外と外の景色を見るのはいい。世界の移り変わりを、少しずつだけど見ることができる。
久しぶりにスマホを触るのをやめて、外の景色を見たとき、こんなにも街の景色って変わってるんだと思った。世界が、これから先、どんな風に変わっていくのかを考えるのも面白かった。
ふと、一人、本を読みながら立っている女性がいることに気づいた。
  あっ、彼女は図書館の。
本を読んでいたのは、図書館で時々、見かける女性だった。気付いてしまうと、つい彼女のことを意識してしまう。
じっと、彼女の顔を見つめていると、彼女は、僕の視線を感じとったのか、こちらを見た。
気づかれた。変な奴だと思われたかな。
僕はたまらず恥ずかしくなり、頬を真っ赤に染めて、目線を背けた。心臓が激しく鼓動している。頭のなかに、心臓の音が聞こえてきそうな程だ。
くそ、僕は何て小心者なんだろう。
ちょっとしたことで、動揺してしまう自分を疎ましく思った時だった。
遠くの方で、今までに聞いたこともない強烈な轟音が響き渡ったかと思うと、大地がひっくり返るのではないかと感じるくらいの揺れを感じた。
強い揺れを感じて、電車は甲高いブレーキ音とともに緊急停車する。車内は、僕は、電車のつり革を強く握り、転ばないように何とか姿勢を保った。
少しして、揺れは止まった。あまりの揺れに、思わず閉じた目を開けると、悲惨な光景が目の前に広がっていた。
多くの人がものにぶつかって何だかの怪我をおっており、ひどい人では、頭から血を流している。それに、電車の窓は、ほぼ割れた状態で、子供の泣き声もどこからか聞こえてくる。
そういえば、彼女は大丈夫なのか。
僕は、慌てて彼女の方を見た。
彼女は、無事だった。割れた窓から、吹き付ける風で長髪を靡かせながら、凛とした表情をして立っていた。
彼女は、電車の外の景色を呆然と眺めていた。割れた窓に近づき、僕も外を眺めた。
「なんだ、あれは......」
僕は、目線の先の光景に呆気にとられていた。確かに以前まであった山が、まるごとなくなっていたからだ。
―周囲に監視カメラが、設置されていたと思うのですが、火がつく瞬間は、カメラにとらえれていなかったのですか。
―それが不思議なんです。カメラには......
ぶちっ。
「あっ!?」
朝、のんびりとテレビを見ていると、突然、テレビの電源が切られて、思わず声が漏れた。
続きが気になる絶妙なタイミングで突然、電源を切られた。一体、何者だ。
とは、思うものの、テレビの電源を消した犯人は分かっている。僕の母親だ。そして、こう言うはずだ。もう下校する時間よ。早く、支度して出なさいってね。
「もう下校する時間よ。早く支度して出なさい!」
「分かってるよ。今すぐ出るよ」
僕は、そう言うと、即行で学校の準備をして、家を慌てて出た。
だいたい、いつも、平日の朝はこんな感じの会話が繰り広げられる。全然誉められたことではないが、これが日課になりつつある。
こう何度も、家を出なさいと言われると、追い出されてるような感じがするな。
家を出ると、今日も、青空が広がっていた。青空で燦々と輝く太陽は、僕の曇った気持ちまでは晴らしてなんてくれない。
学校に行く前は、相変わらず、億劫な気持ちになってしまう。特別、学校が嫌いだとかではないけれど、なんとなく行く気にならないのだ。
こたつに入っていたら、居心地がよくて、抜け出すのがとても苦痛に感じてしまうのと似ている。同じ地球の上にあるというのに、学校と自宅では温度差が違いすぎる。
家から学校へは、途中まで電車に乗って通学している。今日も、駅に行き交う人々の間を歩きながら、止まった電車に乗る。
電車に揺られながら、吊り革を掴み、車内を眺めた。みんな、スマホを見ているな。
スマホを触っていない人を探すほうがなかなか難しそうだ。
時々、思う。人がスマホを使っているのではなくて、スマホが人を使っているのではないかと。いつの日か、スマホに寄生されるんじゃないかとさえ思えてくる。
AIが将来、人間の脅威になるなんて話をよく聞くけど、そう遠くない未来かもしれない。
以前までは、僕もスマホを触っていたけど、最近はスマホを電車の中では触らなくなった。その代わり、電車の外の景色を見ている。
意外と外の景色を見るのはいい。世界の移り変わりを、少しずつだけど見ることができる。
久しぶりにスマホを触るのをやめて、外の景色を見たとき、こんなにも街の景色って変わってるんだと思った。世界が、これから先、どんな風に変わっていくのかを考えるのも面白かった。
ふと、一人、本を読みながら立っている女性がいることに気づいた。
  あっ、彼女は図書館の。
本を読んでいたのは、図書館で時々、見かける女性だった。気付いてしまうと、つい彼女のことを意識してしまう。
じっと、彼女の顔を見つめていると、彼女は、僕の視線を感じとったのか、こちらを見た。
気づかれた。変な奴だと思われたかな。
僕はたまらず恥ずかしくなり、頬を真っ赤に染めて、目線を背けた。心臓が激しく鼓動している。頭のなかに、心臓の音が聞こえてきそうな程だ。
くそ、僕は何て小心者なんだろう。
ちょっとしたことで、動揺してしまう自分を疎ましく思った時だった。
遠くの方で、今までに聞いたこともない強烈な轟音が響き渡ったかと思うと、大地がひっくり返るのではないかと感じるくらいの揺れを感じた。
強い揺れを感じて、電車は甲高いブレーキ音とともに緊急停車する。車内は、僕は、電車のつり革を強く握り、転ばないように何とか姿勢を保った。
少しして、揺れは止まった。あまりの揺れに、思わず閉じた目を開けると、悲惨な光景が目の前に広がっていた。
多くの人がものにぶつかって何だかの怪我をおっており、ひどい人では、頭から血を流している。それに、電車の窓は、ほぼ割れた状態で、子供の泣き声もどこからか聞こえてくる。
そういえば、彼女は大丈夫なのか。
僕は、慌てて彼女の方を見た。
彼女は、無事だった。割れた窓から、吹き付ける風で長髪を靡かせながら、凛とした表情をして立っていた。
彼女は、電車の外の景色を呆然と眺めていた。割れた窓に近づき、僕も外を眺めた。
「なんだ、あれは......」
僕は、目線の先の光景に呆気にとられていた。確かに以前まであった山が、まるごとなくなっていたからだ。
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