ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―

ファング・クラウド

BRIEFING:25 フューリ・ティルノスとオマケ1の冒険譚その3

「あ、ぐ、ぅぅぅ・・・・はあはあはあ・・・・あああっ・・・!」
「フューリィッ!!」


吹き飛んで壁に打ち付けられ倒れる。
近寄り抱え抱く。
受け方が悪かったのだろう。腕が折れたうえ、おまけに爪が食い込んだのか切り傷は深く、骨まで見えてる・・・!


「クソっ・・・!」
「はぁはぁはぁはぁ・・・私は・・・いい・・・逃げ・・・て」
「馬鹿野郎!逃げたりなんかしねえ!」
「あなたも・・・・はぁ・・うっ・・死ぬ・・・」
「一緒に俺の世界行くんだろうが・・・!」


フューリを背負い、銃を下ろしそのスリングだけ外し、互いをスリングでキツく締め、体を固定する。


「死なせねえし、死んでたまるかッ!」


ガッと、腰を落とし走り出す。
マギアエッジを掴み、悶えるドラゴンとの距離を詰める。


「『凍てつきフロイ砕けよブラク。』・・・うっ・・・あああっ・・・!うっ・・・く、『汝の敵を我は貫かんペネトレアン【凍飛槍】アスラース』っ!!」


ドラゴンに対し打ち出された氷の槍は鱗を突き抜け刺さる。
あれ、刺さった?


「抵抗力が・・・下がって・・・る」
「無茶すんな!」
「私には・・・これ・・・位しか」
「手前が手前を決めてるんじゃねえよ!」


片手でHK417CQBを撃つ。
バララララと駆動音がなりBB弾が撃たれる。
しかし、やはり当たり前にどうにもならない・・・!


「弾切れ、ダメか!なら!」


HK417CQBを投げ捨て、マギアエッジを振りかざし、思いっきり突き立てる!
鈍い音がして刃が鱗と皮膚を抜き、突き刺さる!
悶えるドラゴンによって振り払われ柱へと滑り飛ばされる。
クソ、マギアエッジまで取られちまった・・・。


「つう!参ったな・・・」
「下ろして・・・・」
「そんな訳には」
「生き残る、為・・・・早く・・・!!」
「くっ・・・・」


言うままに崩れた壁の瓦礫に隠れ、下ろす。


「で、どうする気なんだよ」
「さっきの、あなたの武器、まだ、あるの」
「あ、ああ、だけど、これくらいで」


そう言ってそっと渡したのはガバメントM1911。
アメリカ軍の代表的ハンドガン・・・の、ガスガン。


「やってみる、でも、苦手だから・・・・だから、時間を・・・ううっ・・・」
「でも何をする気で」
「やって!」
「チイ・・・・わーったよ!!」


駆け出し飛び出し、藻掻くドラゴンにそこらの石を投げつける。


「オラこっちだのろまトカゲ!!」


雄たけびを上げるとすさまじい勢いで走り込みこっちに食いついてきたそれを間一髪で滑り込む。


「危ないったらないぜ・・・・」


こちらを見てくると、再び、こっちに来る!
何度も何度も避け、直後に吐かれたブレスを捻り込むように回避する。


「いっちち・・・・焦げる焦げる・・・・」


下がると、壁にぶつかった。


「な―――――――・・・・・」


追い込まれた、しまった。
前を向けば、半身引き摺り近付く龍の姿。
そっとバラクラバを下ろし、バブリシャスを膨らませる。


「ふー・・・・・フューリ、生きろよ」
「クウガ・・・・!!」


ブレスを吐くと共に、俺は無意味とわかりながらも眩しさに手を翳す。
わりぃ、皆、母さん、父さん、爺ちゃん。
俺、帰れなかった。
せめて楽に消し飛びたいね。


「・・・・・・・・・ん・・・?」


だが、待てども熱は来ない。
うっすらと目を開けると、信じがたい光景があった。
俺の腕の傷跡、マケルドに依然切られた切断傷跡から、黒い靄のようなのが出て半球状の盾となって、ブレスを防いでいる。


「なんだかわからないが・・・・!!」


ブレスが止むと盾も変わり、ふよふよと三筋の煙筋のように漂っている。
そのまま、ゆっくり前に駆け出した。
やれることがある、生きてる。
なら、思考を止めるな!


近付き、腕を向けるとぐばっと3本のそれが伸び、易々と表皮に突き刺さった。


「お返しだ・・・!!」


ある程度俺の意思で動くらしい。
一本だけ支えとして残し、腹部に逆に立つと残った二本を腕に纏わせた。
思った通りだ、ある程度自由に形を変えることも出来る。
ぎゅっぱぎゅっぱと握って開いてを繰り返し


「せーのっ!!」


思いっきり腹部を殴り付けた。
龍鱗砕け、ギュキキュクククク!と捻り込む音がしてその巨体を横に倒す。


「うっそだろう・・・・・・」


自分の左腕を見ると、フッ!と黒い霧は霧散した。
もがき苦しむドラゴンを尻目にフューリの元に駆け出す。


「終わった、これを・・・これで・・・・止めを」
「解った、もういい、もう終わるから」


受取、ゆっくり龍へと近づくと、そっと額に照準を合わせる。


「フューリと俺の弾丸だ、釣りはいらねえ。」


構え、静かに引き金を絞り込む。
バキンッ!!とスライドが吹っ飛ぶ音がし、破片が顔をかする。
手に衝撃が走り、思わず銃を取り落とす。
肝心の弾はバチュン!!とドタマに当たり、エネルギーのせいで遥かに大きい穴をあけて横たわり風化し始めた。


「倒・・・・したの?」
「フューリ!!」


隅に転がってるマギアエッジをひっつかみ、駆け寄る。
膝から崩れ落ちた体を支え、受け止める。


「待ってろ・・・・・クッソ・・・頼む・・・頼むよ・・・・・うおおおおおおおおお!!」


マギアエッジから光があふれ、それを傷口に当てる。緩やかにケガが消えていくように治っていく。
骨折は治せないみたいだ。外傷や裂傷だけか。


「はあ・・・・はあ・・・・・」
「血が足りないかもだけど、安静にしててくれ。ショック状態はまだ大丈夫なはずだ」


それにしても、なんて奴だ。
腕が折れて、肉が切られ、骨が見えながら苦手な魔法で銃を強化する何て。


「ほんと、すげえよ」


バラバラになったM1911と投げ捨てたHK417CQBを拾う。
仕舞い直すと龍の亡骸の中央に拳大の蒼い球が転がっている。


「フューリ、こんなの出たんだけど」
「・・・え・・そんな」
「え?」
「・・・・最上位古代龍種ハイエンシェントドラゴン・・・真龍ニアドラゴンよりも、何者よりも更に上・・・・・そう、言葉を喋れなかったのは、まだ生まれたてだったからなのね」
「どういうことだ?」
「後で、話す・・・貴方は、これを、壊して」
「わ、わかった」


マギアエッジを構えるが、ヴゥ・・・ン・・・・・と消えてしまった。


「魔力切れか・・・仕方ない」


玉を押さえるとゆっくりマギアエッジの柄を持ち


「そーれっ!!」


殴打した。


「あいったああ!!!!!いったいヨ!!なんで殴るのサ!!ボク斃されたんだし封印するんじゃないノ!?」
「うえええええ!?」


しゃ、喋った!?気持ちワル!!


「キモくないのサ!なんでヨ!玉だって喋るのヨ!!」
「え?え?」
「ほらほら、とりあえずボク持ってヨ!」
「え、あ、はい」


すっ、と持ち上げる。
見る感じ只の水晶だよなあ、龍から生まれたってだけで。


「ボクは最上位古代龍種ハイエンシェントドラゴンの一角なんだけど、数百年前にここに封印されてからずうっと眠らされてきたのサ。ところが一昨日急にその封印が破られて、訳も分からずだったのサ」
「は、はあ」
「話しかけたんだけど攻撃してきたシ、敵だよネって」
「あ、うん・・・ゴメン」
「いいのよサ、ちょっと驚かせちゃったのよネ・・・・ところで」
「?」
「その子、大丈夫なノ?顔、真っ青だヨ?」
「フューリ・・・?」


ずる・・・・と床に倒れ伏している。


「やっぱり失血が多すぎた・・・・・クソ、どうしたらいいんだよ・・・!」
「ボクを彼女の近くにもってってヨ」
「は?」
「死んじゃうヨ?」


チッ、と舌打ちし彼女の近くに持っていく。


「解った、頼む」
「〔≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣〕」


なにか、何かを発したが、何を発したのかわからない。
ゲシュタルト崩壊したような、言葉や文字が、その形で在りながら、その形の理由がわからなくなるような。
その瞬間、彼女が薄く光、顔に赤みが戻り、目を開く。


「私は・・・・・」
「うんうん、助かったネ。良かったヨ」
「へ?」
「フューリ・・・・よかった・・・・」
「・・・・もしかして・・・・」
「ボクが君を救ったヨ、お礼の一つも欲しいネ」
「私が死にかけたのも、あなた」
「う、鋭いネ。頭の回転が速いヨ」
「水晶のような見た目、喋る玉、強力な魔法、あなたはやはり最上位古代龍種ハイエンシェントドラゴン。」
「正解だヨ」
「なあ、で、それはなんなんだ?」


さっきからその光る玉、気色悪いんだよなあ。


「酷いよネ、さっきから気色悪いとカ」
「あの、偶然かと思ったけど、まさか」
「うん、心読めるヨ」
「マジかよ・・・・・」
「クウガ、この玉は、龍核ドラグコア。」
「ドラグコア?」
「この世界の古代の龍種は、魔法生物としてあまりに発達していた、その為、自分達が死なないよう、命を小さな宝玉に変えた。
それが魔力で身体を作り上げる、事実上不死の生物、それが古代龍種エンシェントドラゴンであり、その命が龍核ドラグコア。」
「つまり、これが・・・・」


本体って事?


「そう言う事だヨ」
「じゃあこれを壊せば仕事は完了?」
「やめてヨ!助けたじゃないカ!!」
「・・・・クウガ」
「フューリ・・・・でも、討伐が」
「悪気があったわけでもないし、異変の解決が目的。討伐はその手段」
「・・・・・・分かった、フューリがそういうなら」


そっと玉を置き


「じゃあ、元気でな」
「ちょっとおおおおおおおおォ!?おいていかないでヨ!またひとりぼっちは嫌だヨ!」
「つったって・・・・・」
「解ったよクウガだよネ、君の相棒になってあげるヨ!君この世界の人間じゃないんだよネ!」
「流石、心読めるだけあって」
「ふっふーん」
「まあいいか、ひとりぼっちは、寂しいもんな」


どこかで聞いたような言葉をはき、そっと手に取る。


「となると名前を知りたいな」
「名前・・・・他の仲間に呼ばれた名前はあるけど、折角だし名付けてヨ!!」
「ええ・・・」
「クウガの持ち物なら、クウガが付けるべき」
「う、うーん・・・・じゃあ・・・・・」


名付けるのって苦手なんだけどな・・・


「じゃあ、俺のチームからとって、クロムは?」
「クロム!ボク、クロム!」
「気に入ったなら何より」
「じゃあ帰ろうヨ」
「はいはい・・・・ほら、フューリ、腕折れてるし、無茶すんな」
「あ」


ひょいっと彼を背負う。
・・・・あれ?さっき、クロム変なこと言わなかった?
”彼女”って。


「あの、クロムさん?」
「うん?彼女は女性だヨ」
「・・・・・下ろしてクウガ、その玉を割る」
「なんで隠すノ?」
「ちょ、ちょっとまて、フューリ、君は」
「・・・・フューリ・アリエチカ・ティルノス、隠してたのは、国の方針。だから」


後ろから首に当ててきた・・・


「え、あの」
「知られた以上・・・・」


何かにぴくん、と反応し。


「ちょっと話す。」
「あ、はい」


そうして彼女は何かと話しているらしい。
声が聞こえないのは、魔法での通話ってそういうのなんだろう。
しかし、フューリが女で、女の子をこんな危険な目に合わせた上で、男だとさせて学園に行かせるなんて。


「流石にきな臭いな、ティルノスってとこは・・・・・」
「みュ?」


顔をしかめ、俺は独り零すのだった。


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