ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―

ファング・クラウド

BRIEFING:19 遠足(足を使うとは言ってない)

・・・え?
いやいや、なんで?
どうしてだ?


「・・・もっとこっち来なさいよ・・・寒いでしょ、別に良いわよ」


リズリットの服から雫が垂れ、髪は張り付き、薪に照らされて扇情的な雰囲気を醸し出す。


「あ、ああ・・・」


ほんの少しだけ近付く。
どうしてこんな事に?
記憶を遡り、必死に考えを巡らす――――――。
そうだ、はじまりは・・・


―――――――――――――――――――


「あなた方は学生とは言え、
皆さん立場ある方。羽目を外し過ぎないよう気をつけてくださいね」


感傷にも似た思いが消えたそのすぐ翌日。
アルベール先生がマギクプレスの中でそう話す。
突如として訪れた遠足旅行、電車みたいなので移動する様は正に現代的だ。
・・・外にドラゴンが居なければ。
ワイバーンっつーのかな、飛龍っつーのか
それに騎乗した騎士甲冑の人が複数人で周囲を飛び回る。


「警護や護送よりかは、監視に見えるぜ・・・」
「どうしたの?クウガくん」
「ああ、いや、何でもない」


アルトに問われ、そう誤魔化す。
いや、だって恥ずかしいじゃないか、窓の外を見て黄昏てたみたい、だなんて。
そんな気持ちを知ってか知らずか、うんうん頷くアルト。


「気持ちは解るよ、僕も初めてはびっくりしたからね」


あー、やっぱりか。
こんな非現実的現実を受け入れる方が


「このマギクプレスに!」


・・・あー・・・・・・
そうきたかー・・・
そりゃそうだよね、ドラゴンあっちが当たり前の人間にしてみりゃあ、余程電車こっちの方が非現実的だぁな・・・。
みれば、責任ある身分が多いからか、余り騒がないが、浮き足立っているのは肌で感じた。


「そういや、どこに向かうんだっけな・・・」
「ドロテオ皇国の南側に位置するラルクドレイユ領だよ、漁業や観光で生計を立てている観光地だね」
「ファンタジーに来てまでリアルな話は聞きたくなかったなぁ・・・」
「・・・?」


全くもって、ファンタジーだろうと何だろうと変わらないんだな。
有る意味、人が、人らしくそういう風な在り方になるのが予定調和って奴なのかもしれない。


「あ、見えてきたよ」


目の前には、一面の水平線。
どこまでも続く水。


「うおお・・・綺麗な眺めだな」
「すごーい・・・」


二人して、絶句する。
あー・・・こんな光景、日本に居たときには見れなかったな。


駅に着くと、デカい民宿の様なとこに泊まる。
警備も張り詰めて、蟻の這い出る隙間もない、らしい。


「では、夕食まで自由時間とします。警備区域はタリアからトレイシー間ですので、くれぐれも外れないようお願いしますね」


アルベール先生の注意の後、三々五々に分かれている。




折角だし海にいこうと、着替えは民宿で貰うことが出来たので、そのまま着替えて海に向かう。
ズボンスタイルだけど上にショートのジャケットを着て向かう。
何か羽織ってないと不安なのよね。


「あら、あなた」
「よう、リズリット」
「これでも私は王女なのよ?!気安くなくて?!」


相変わらずのアッパーテンションのリズリットがもうビーチにパラソル立てて日光浴してた。


「構わないだろ、それぐらい」
「構いますわ!!どうしてそうなのかしら?!」
「へ?」
「貴方は貴族ですらないのよ、本来なら見上げて崇め奉らないと駄目なの
なのにその態度は少し度が過ぎるのではなくて?」
「えー・・・」


そんなアホな・・・


「知るか、オレは誰にも媚びないし、諂わない。
恩には礼を返すけど、リズリットから何かされた訳じゃないし」
「な、ななな・・・」


唖然とした様子で「な」を繰り返す。
まあ、何となく察するけど。


「にーげよっと」


遠くでリズリットの声がするが、無視無視。


マリアやレオ達も楽しんでるようだし、オレも一人で楽しもう。
水泳は得意なんだよね、プールも海水浴も。
それに、こんな綺麗な海、日本じゃそうはないからな、楽しまないと!


「ふい・・・」


ある程度泳いで、堪能しているとビーチからマリアが手を振って呼び掛けてるのがわかる。


「ははは・・・好いもんだな・・・」


ちょっとにやけながら振り替えすとゴムボートのようなのに乗ったリズリットが近くを渡っていた。


「ふん・・・せいぜいデレデレしたらいいわ」
「リズリットには関係ないだろ」
「ええ、その気持ち悪い顔を視界に映さないで」
「ひでぇ・・・」


その時、マリアが後ろを指差してると、高波が迫ってた。


「おい、リズリット、高波来てるから気をつけろよー」


声だけかけて潜る。
凄い綺麗な光景に思わず口が開きそうになるが、堪える。
異世界で溺死とかシャレにならないからな。


「・・・?」


海面から何かが沈んで行くのが見える。
鮮やかな布切れ?
近付くにつれ、心臓が早鐘を打つ。
――止めろ、待て。
あれは、人だ。
それも-――リズリット。


「・・・!」


急いで抱え、何とか海面に押し上げる。
気を失い、ぐったりする様子のリズリット。


「っはぁ!おい、リズリット!おい!」


息はしているようだが、拍動が弱い、寒さのせいか?
どうする?どうしたらいい?
考えが纏まらない内に、影が落ちる。


「マジかよ」


オレ達は仲良く荒波に飲み込まれた。
必死にリズリットは抱え込み離れることは無かったが、急激な変化に、オレの意識は耐えられず、闇に落ちた。


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