ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―

ファング・クラウド

BRIEFING:17 転入初日。

「あの、僕は別に」
「気にすんな、アルトの為じゃないから」
「なんだ?邪魔するなよ転入生」
「そーそー、俺達何時も一緒に練習してんだからさ」


値踏みする様な嫌な視線で此方をじろじろと睨めつけてくる。


「わりいな、そっちから言われたからさ
一緒にやろって」
「だーかーら」
「だから、オレが君達とやる。
それでいーだろ」


途端、顔を見合わせニヤつく。
なるほど、分かりやすくて助かる。


「仕方ないな、じゃあ俺達がみっちり仕込んでやるよ・・・!」
「っ・・・!」


分かりやすい剣筋。
とても真っ直ぐバカみたいな綺麗な剣線。
こんなことしてても貴族は貴族ってか。
嫌んなるね、どうもさ。
何がって?


自分は汚いって言われてるみたいじゃないか。


戦  い  方    が    。


内に構え、一気に外に向けて横一閃に切り飛ばす。
タイミングを合わせて、横腹にぶち当たった剣はいともその手から簡単に飛んでいく。


「な・・・」
「んのっ!よくもこの野郎!!」


続けて後ろから袈裟切りに降ろされる剣を捻りながらスウェーバックで避け、一足飛びに間を開く。


「ちょこまかと!逃げ回って!」
「ヌルい!」


大きく上段に振り上げた木剣の柄を弧を描く様に捻り上げた軌道でぶっ叩きすっぽ抜かせる。
本来の刃なら間違いなく出来ない木剣レプリカだから出来るけどな。




「燕返し・・・なんつって」
「調子にっ・・・!」


何か仕掛けようとした最後の一人に向かって木剣を投げる。


「なっ・・・!」


やはり反応がいい。
すぐさま投げた木剣を弾く。
が、もう遅い。


王手!チェック


その陰に詰め寄り左足で両足を掬い転がし、左腕を逆極めし、膝で首を制す。


詰みだ フリーズ


ビクッと体がこわばり、暴れる力が抜けた事を感じ、そっと離れる。


「ん、こんなとこか」
「・・・」


凄い沈黙が流れ、続いて歓声が上がる。


「すげぇ!何今の!魔法か?」
「へ?」
「凄い剣だったよな!こう一瞬煌めいて!」
「え、え?」
「ああ、間違いないな」
「それにあの流れるような徒手捌き!あれは何なんだい?」
「あ、アレは逮捕術の一つで・・・それに魔法は使ってない・・・つか剣の練習なのに使っていいのか?」


その発言でまた沈黙する。


「え、本当に・・・?」
「嘘は言わねーよ」
「・・・」


沈黙が騒然に変わった。
後で分かった事だが、あの貴族達は代々の魔法騎士の家系で武門のエリートなのだとか。
その上で魔法を使わず、魔法を使わせず、3vs1を切り抜いたということだ。
そりゃ、ざわつくわな


「凄い・・・」


その言葉をトリガーに


わあああああああっ!っと歓声が上がる。
拍手付きで。
なんだか小っ恥ずかしいな・・・、褒められ慣れてないんだぞ。


「っと・・・ほら、立てよ」


手を差し出す。


「っ・・・俺に構うなっ」


手を払うと自分で立ち上がる。


「野蛮人め、レオ様やマリア様のお気に入りだからといい気になるなよ」


すれ違い様に言われる。
ラノベの中じゃ、よくあることだけど、実際言われる立場になるとはなあ・・・。


「あ、ありがとう・・・」
「へ?」


アルトが此方を見ながら頭を下げて来た。


「お、おいおい、やめてくれよ」
「だって僕は貴方を」
「オレが気に食わなかった。それだけだ。
だからだ、それ以外にはねーよ・・・で、アルト」
「な、なにかな?」


小動物みたいにびくっ、とする。
なんだか、こう、弟的可愛さがあるよな。
弟居ないけど。


「練習、一緒にするのか?」
「あ、うん!お願い」
「オッケー、じゃあ先ずはー・・・」


打ち込ませたり、形を見たりして一緒に練習したり、模擬戦をした。
なんだかんだでアルトが楽しそうでよかった。


「クウガくん、今日はありがとう」
「気にすんなって」
「あ、それでね、えと」


止めろ。
顔を俯いてモジモジするんじゃない。
その髪のお陰で恥ずかしがってる女の子にしか見えないんだよぉおおッ!?
そっちのケはねーからな?ねーからな?!
男の娘は性別関係ないとか言ってるのもいるが、男は男だよおぉぉおッ!!


「僕と・・・友達になって下さい!!」


お辞儀されて握手する様に手を前に出される。
いや、それって合コン番組の告白時にする奴じゃ・・・。
いや、そういう概念がないのもそうなんですけど!!


「畏るなよ、もうオレとアルトは友達だろ?」
「・・・!うんっ!!」


後ろ向いて告げると感極まったような声で返事が聞こえる。
なんでこんな女の子ぽいんだか・・・ため息だよ。ため息。


「アルトはそういえばどーゆー生まれなんだ?」


昼飯は教室では無く食堂で行われる。
というか、基本的には王族が教室で食事するらしく、不敬なそうな。
皆で飯食った方が美味いのに。


一緒に飯を食う事になって、気になったのだ。
どんな人がいるのか。


「僕?僕はここクラインの出身なんだ」
「ここなんだ」
「うん!この国は凄いんだよ、純粋魔法技術そのものは劣ってるんだけど、代わりに魔法科学技術は目覚ましい発展をしてるんだ!」
「元の世界に近いんだなぁ・・・」


ボソッと所感を口にするが、アルトは気が付かず熱弁してる。


「今は何処の国にもまだない魔導特急マギクプレスだってこの国が初めてなんだ!」
「解った、解ったから落ち着け、な?」
「あ、ごめん・・・」
「何かあったら謝る癖は直したらどうだ?
「ごめんなさい・・・」
「良いって・・・アルトは自国が好きなんだか」
「うんっ、大好きなんだ!」


話してると見えてくるのは深い他人への謙虚さと愛国心だった。
なんだか、懐かしい気分に浸りながら、飯を食べ終わる。


その後は座学や魔法学といったのを勉強した。
わりとちんぷんかんぷんだったから、ついていくので精一杯だ。
勉強は苦手だが、入れてくれたレオやマリア、ひいてはアーティフィシャル王の面子をただ潰すわけにはいかぬ。
やるこたぁやる。そうじゃなきゃな。


だけど、飯の時のせいだろうか、急激に気分が落ちている。
俗に言うホームシック、って奴だろうか。
急激に、悲しさと郷愁と愛しさが増して、ふと気づくとずっと昔の事を考えてる。
そんな痛みを抱えながら、帰路に着いたのだった。




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「今日、対象と接触しましたよ」
「ほう、本当かセキレイ」
「ええ、まあ、まあまあな子でしたよ」
「だが、奴がマケルドを退けた異界の者だ」
「ええ、だからこそ私が接触したのでしょう?」
「ふっ・・・・・・・・・・いいぞ、計画に遅延さえ出なければな」
「解っていますよ、ヒガラ」


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