ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―

ファング・クラウド

BRIEFING:14 ナイトパーティ

「クウガ、いるか?」


不意にノックされたドアを開けるとレオがいた。
・・・何故か正装で。


「・・・準備してないのか?」
「へ?」
「今日は始業式のパーティがあるぞ」
「いやだからそういうのは先に言えよ!?」
「・・・言わなかったか?」
「あー・・・はい、うん・・・準備するよ」


悪気は、無いんだよなぁ・・・?


着替え、タキシードに身を包む。
なんだか、着てるだけで肩こるなぁ・・・慣れない服装はイヤだね。


「中々にあってるじゃないか」
「レオは・・・本当に良く似合ってるよ・・・うん」


なんだか、うん、差を見せ付けられたみたいだ。
レオのタキシード姿を見た後に自分をみるとタキシードに着られてる様に見える・・・。
改めてレオはマジの王子様だということを見せ付けられる。


「こ、こういうのって良くあるのか?」


そらしたくて話題を変える。
だってなんだかこっぱずかしいもん。


「まあ、それなりにはな・・・社交界を兼ねているからな」
「そうか・・・」


この先も世界が違う世界に無理矢理突っ込まされるのか・・・


「・・・ほら、行くぞ」
「あ、ああ・・・」


なんだか急かされるように会場へ。


「・・・レオ」
「なんだ、クウガ」
「帰っていい?」


一面華やかな別世界だった。
女子は華やかなドレスを纏い談笑していたり、タキシードをキメた男子がワインを片手に喋ってる
え?何?こんな世界オレ知らない
とゆーか助けて、ヘルプミー。


「体調でも悪いのか?」
「そうだったね!なんでもない大丈夫だよ!」


ダメだ、天然のレオには真意が全く通じない。
万事休す、諦めよう・・・。


「あ、クウガ様っ」


駆け寄って来たのはマリアだ。
白の背中が大胆に空いたドレスを着ている。
ヤッバイな、あのマリアがこういうドレスはわりとギャップが激しくて鼻血出そう。


「クウガ様?如何なさいました?お顔が真っ赤ですけれど・・・」
「あ、ああ、いや、なんでもない、うん」
「・・・クウガ、やっぱり体調が」
「大丈夫だから!うん!」


なんだろう。
決して嫌いじゃない、むしろ大好きだ。
だけど
だけど兎に角


「疲れる・・・」
「お顔が優れないようです・・・」
「いや、気のせいさ」
「本当に大丈夫で」
「あーら、これはこれはマリアではありませんの」


そこで声が遮られ、始めての声がする。
声の主は金髪ツインドリルと世で言うツンデレ系お嬢様の概念が形を持った様な出で立ちだった。


「リズリットさん、ごきげんよう」


朗らかに挨拶を返すマリア。
すると何故かリズリット何某は


「なんでアンタはそうなのよっ!
あたし達は敵同士だったのよ!?」


キレた。


「ですがもう戦争は終わりました、二度争わなくて良い様に仲良くいたしましょう?」
「きぃいい!私はそういう所が嫌なのよっ!!」


えと・・・ヒステリック
一頻り喚きたてると此方をみて一息ついて。


「あらお恥ずかしい姿をお見せ致しましたわおほほほほ」


凄まじい速度の猫被りを見た気がする。




「私はリズリット・カトレア・ドロテオと申しますわ」
「ドロテオって・・・あの?」


つい此間まで戦争してて、オレが追っ払った?


「リズリットさんはドロテオ皇国の第三皇女なんですよ」
「へぇ、凄いんだね」
「それ程でもありませんわぁっ」


漫画なら間違いなく鼻がメッチャ伸びてるな、うん。


「それで貴方は?見ない顔のようですけど」
「オレは天城 空牙、よろしくリズリットさん」
「クウガ・・・そう、貴方が赫獣ジャバヴォックですのね、改めて聞いても不思議なお名前ですこと」
「よく言われるよ」
「ではクウガさん、貴方マリアさんのなんですの」
「へ?」


ぽかんとしてしまった。


「確かにマリアさんは私に負けず劣らない美貌を持っているけども、マケルド王子に向かっていくなんて普通ありえないですもの」
「そうなのか?」
「へ?」


ぽかんとした顔のリズリット。


「オレは王子だからー、とか貴族だからーとか、知らねえよ
ただオレはあいつとケンカせざるをえなかった。
それ以上でも以下でもないさ」
「マリアさん?彼、頭がおかしいのかしら?」
「さらっと酷いなオイ!?」
「リズリットさん、彼は異世界人ですので・・」
「異世界人・・・もしかしてクトゥ平原で会敵せず我が軍が逃げ帰ったのって」
「はい、クウガ様のお陰です」
「あ、あんたが・・・お父様の軍を・・・」


あれ、なんだろう
目に殺意が見えるよ・・・?


「そう、凄いですのね」
「あ・・・えと・・・」
「いけませんよ、リズリット、その様に新しい仲間を虐めては」


優しいタキシードが良く似合う金髪碧眼長身の男が来た。
口調に合った柔和な笑みを浮かべている。


「やあ、始めましてアマギ・クウガさん、僕はヘンリエッタ・ラクラックス・リヴェルタニア、リヴェルタニアの王子を努めています」
「あ、ど、ども、天城 空牙です」


久しぶりに感じた「異世界感」にどもる。
彼があまりにも「王子」だったからだ。
立ち振る舞いからも彼は清廉潔白、自分に恥じない生き方をしているのが解る。


「君がマリアさんの婚約を破綻させたんだよね」
「え、あ、まぁ・・・」
「ふむ・・・後で個人的な話が有るんだ、少し良いかい?」
「え、あ、まぁ・・・」
「ありがとう、それじゃあ僕は準備があるからパーティを楽しんでおくれ」


そう言って立ち去る姿も正しく王子だった。


「ふん、これであんたは終わりね」


いつの間にか猫被りを捨てたリズリットがそう言い放つ。


「へ?」
「いい、よく聞きなさい
彼、リヴェルタニア様の二つ名は「聖剣」グラディウム、その功績が認められ在学中ながら審判を下せるお方なのよ」
「へー、凄いんだな」
「へーって・・・あんたね・・・」
「ところで、リズリットさんはどうしてリヴェルタニアさんに様付けなんだ?」
「そ、それは・・・」


急にしどろもどろし、もじもじしだすリズリット。
あー、なるほどな・・・。


「あー、はいはい、解った、なるほどな」
「な、なによ」
「草津の湯でも、って奴だな」
「クサツの湯?」


オレは昔から機微に聡いと思う。
まあ、間違いなくリズリットはヘンリエッタに惚の字なのだろう。


「クサツの湯って何よ」


気が付くと変なとこに食いついていた。


「あー、えっとだな、オレの居た世界の温泉でな、特に薬効が高くて傷とかが忽ち治るんだ。
昔の人は湯治といって戦闘の傷や病気を治すために何日も泊りがけで治すんだ」
「な・・・」


一瞬呆気に取られたリズリットだったが次の瞬間般若みたいな形相になり


「ただのお湯が、ましてや地面から出た汚いお湯が傷や病気を治すだなんて嘘言わないでよ!!
幾ら私が皇女だからってそれぐらいはわかるんだから!!」


手に持ったグラスのワインを一気に飲み干すとバン!と置き、そのまま言ってしまった。


「嘘は言ってないんだがなぁ・・・」
「そうですよね、なんらかの魔法で光の魔力を与えられたお湯の事ですよね」
「え」
「え?」


だめだ、王族は温泉を知らないようだ・・・。
そうしてると僅かばかりホールが暗くなり、ステージ上に光が集まる。


すげぇ、いつも見てるような光景だ。
でもこれ全部魔法なんだよな。
凄い感慨深いというか、何というか・・・。


「お集まりの皆さん、高い位置から失礼致します。
お集まりの皆さんの殆どは、知っている事ですが、新しく同じ学び舎の友人となった方がいらっしゃいますので、まずは挨拶をさせていただきます。
私の名前はヘンリエッタ・ラクラックス・リヴェルタニア。
この学園の生徒会長を務めさせていただいてます」


生徒会長・・・なるほどなぁ。
いや、ぴったり、適役だろう。


「この新しい友人をこうして宴の席で迎えられた事は私にとっては僥倖です。
何せ私は堅苦しい事が苦手でして」


笑い声と共にちらほら拍手すら飛ぶ。


「なので、堅苦しい事は先生達にお任せし、まずは新たな我々の仲間に、祝杯を捧げたいと思います。
それでは、少し杯をいただきますよ・・・では、我々の新たな仲間に、乾杯」


そう言って杯を掲げ、飲み干す会長殿。
見れば周りも同じ様にしてるが、なんだか凄いこそばゆい。
こそばゆいから、ガッと一気に飲み干した。


「タフだな、クウガ」
「へ?」


レオがそう声をかける。


「・・・それだけ酒に強いなら俺と飲む時はもっと気兼ねなく飲んでいいぞ」


あ、そうだった・・・
気付いた時には遅く、顔だけ逆上せた様に暑くなり、上半身がグラ付いたが、なんとか倒れるのだけは阻止した。


「す、すまんレオ、風に当たってくる」
「・・・ふっ、ああ、解った」


なんだか笑われた様な?
まあいいやと、ホールのベランダに出る。
デッキチェアがあり、そこに横になる。


「ふはぁ・・・」


夜風が涼しい。
暑い夏だが、夜は涼しいみたいだ。


「涼しいのは、魔法のおかげ・・・」
「ほあ?」


振り向くとそこには髪の青い少女が佇んでいた。






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