ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―

ファング・クラウド

BRIEFING:13 魔法学園、登校

「ここが・・・」
「そう、ここが全国家魔法学校マギステルガーデンよ」


巨大な土地に、これまた巨大な門があり、まるで華美な要塞と言う方が正しい。
その中に艦からチューブ状の錨の様な物が出、接続される。
そしてタラップが降り、其処を降りて行く。
薄暗い場所に様々な形の艦が繋留している。


「この学園に来る空中艦は全てこの場所に停泊するの」


エミィがそうアドバイスをくれる。


「クウガ、物珍しいか?」
「まあな、空中艦にも驚いたが」
「なに、直ぐ慣れるさ」
「慣れたいような慣れたくないような・・・」


レオにそう声をかけられる。
なんか慣れたら負けな気がする・・・何となく。


軽くキョロキョロしながら進むと、其処には昔のヨーロッパや工事現場とかで使いそうな格子シャッターのエレベーター。
乗り込むとゆっくり上昇しだした。


「これをお前に渡しておく」
「?」


渡されたのは少し大き目のロケットだった。
銀造りの盾型だ。
受け取り、とりあえずポケットにしまう。


「王家に伝わる御守りだ、元の世界に帰るまでお前に預ける」
「良いのか?」
「ああ、構わない」
「サンキュ、レオ」


にっと笑うのと同時にがくんっ、とエレベーターの振動が止まる。
そして扉が開くと


「あはは・・・もう笑うしか無いな」


ギャルゲとかに出て来そうな見事なマンモス校の様相を呈していた。


「・・・どうした?行くぞ」
「あ、ああ」


なんだか、キョロキョロ挙動不審になってしまう。
当たり前だ。
周り観てもなんだかおじょうひーんな空気なんだって。
オレ見たいな一般市民とは掛け離れすぎてるんだよなぁ。




「おい、あれ・・・」
「アレが例の「赫獣」ジャバウォックか?」
「マケルド王子を倒したっていう・・・」


軽く通りを歩くだけでこれか・・・余程転入生は珍しいのか?


「言ったとおり、ここは魔法使いの為の学校だからな、転入という要素がまず無いのさ」
「突然発生とかは?」
「いや、そういった現象は確認出来ていない。国が子供を対象に行う国民検診で必ず発覚するからな」
「なるほどなぁ・・・」


最初からどれだけいるかわかってるから、ありえない、か。


そりゃそうか、この世界にとって「魔法使い」は戦略物資なんだ。
地球の石油やレアメタルと同じ。
その量を多く持てば持つ程、安定して供給すればするほど実質国力は増大する。
ブラフで多く見せこそすれ、絶対少なくはしない。
だがそれは、人を人とみない考え方。
自由意思なんてない。
だからこそ、「貴族」という枠組みを作り、利を築き逃がさないようにした・・・か。


「面倒臭いなぁ・・・」
「・・・どうした?」
「あ、いや、なんでもない」


そう、結局それは他世界の人間の違な考え。
レオや他の・・・それこそ、魔法使いがその制度を望んで生まれたものじゃない。
既にあるルールを壊さないようにやっているだけだ。
それに対して違を唱えるのは筋違いも甚だしい。
第一何も変わらない、よしんば変わったとして変えられた人間の人生全てを背負えるだろうか。
否、そんな事オレには出来ない、そこまでオレは傲慢になれない。


そんな考えをずっとめぐらしながら歩いてる内に建物内に入ってた。


「ここだな」
「ここは?」


レオに問いかけるが、返答はドアを開ける行為だった。


「いらっしゃい、レオ・アーティフィシャル君」


恰幅の良い老齢の女性だ。


「お久しぶりです、校長先生」
「校長・・・」


成る程、校長先生なのか・・・。


「そちらがアマギ・クウガくんですね?」
「は、はい」


何で名前を・・・と思ったが、そりゃ手続きは終わってるんだもんな。


「よろしい、異国情緒の感じる良い名前ですね・・・アマギくん、私は当校の校長をしておりますケト・サヴァリンと言います」
「えと、天城 空牙です、天城が苗字で空牙が名です」
「おや、そうなのですね・・・すっきり逆にしてました・・・ではクウガくん、ようこそマギステルガーデンへ、貴方の入校を歓迎致します」
「ありがとうございます・・・校長先生」


なんだか凄いあっけ無いな・・・


「ではこちらで簡単なテストをしましょうか、着いておいでなさい」
「・・・頑張ってな、クウガ」


レオに肩を押され、校長先生の後ろに従い着いていく。


「ミランダ先生、着ましたよ」
「待ちくたびれましたよ校長先生」
「ふぉ・・・」


身体のラインがはっきりした白のドレスの様な服装に見合ったスタイル、なびく金髪ブロンド
そして髪からはみ出る長い耳。


「・・・どうしました?・・・ああ、彼女ですね?彼女はミランダ・アシュファルト、基礎魔法学の講師ですよ」
「校長先生?多分違うわ」


苦笑気味にそういい、多少艶かしい(そう見えるのはオレに耐性が無いからか?!)動きで近寄り、にっこり笑み


「この耳でしょ?」
「あ、は、はい」
「校長先生から異世界人とは聞いてたから・・・私は長命のエルフなの」


ほへぇ、やっぱり居るとこにはいるんだな。


「やっぱりおかしいかしら・・・?」
「そんな、とんでもない・・・綺麗だなって見惚れてただけですよ」
「あら御上手ね」


くすりと笑み、軽く赤くなってる。
うーん、実際こうしてみると長い耳・・・イイな・・・。


「こほん、準備はよろしいですか?」
「は、はい」


すっかり飛んじまった、試験を受けに来たんだった。 
準備して、開始を待つ。
鉛筆はあって助かったなぁ・・・。
てっきり羽ペンとか使うかと思ったからな。


「始めなさい」


用紙を裏返し、始める。
拝啓、先生へ。
今、異世界でもテストを受けてます、良ければ答えを教えて下さい。




「つ、疲れた・・・」


テストを終わらせ、机にへたる。
いや、問題自体は対して地球と差は無いけど、問題はその量と癖の強い字だ。
かなり設問が多く、なおかつ問題文は読めなくは無いがすっごい独特なアルファベットだ。
・・・母さんに英語習っといてよかった・・・。


「お疲れ様でした、外でレオくんも待っていますよ」
「律儀だな・・・ありがとうございます、校長先生」


一礼し、駆け出して行く。


「赤髪の蒼目・・・神の使いか悪魔の使者か・・・」


ぼそっとミランダ先生が呟いた気がするけど気の所為だろう。


「どうだ?テストの感触は」
「もっとこっちの世界の文字を見ておけば良かった」
「・・・違う文字か?」
「いや、うーん・・・オレの普段使う言葉じゃ無い」
「そうか・・・なに、これから幾らでも慣れるさ」
「ああ、まあ、な」


相当歩いた先に、巨大な建物が立っている。
なんだこれ・・・校舎?


「これがオレ達が暮らす寮だ、道程は覚えておくといい」
「あ、はい」


そうだよな、異国とはいえ王子様だもんな・・・


「そういえばマリアは?」
「ああ、もう寮に行っているだろう」
「なるほどな」
「・・・マリアと話したかったのか?」
「いや、そーゆーやましい考えじゃなくて単純に見かけないから」
「まあ、そうだな、色々有るからな」
「へぇー・・・そうなのか」


豪奢な階段と長い廊下を歩き続け、突き当たりに着く。


「ここが俺の部屋、クウガは真上の部屋だ・・・何かあったら頼ってくれ」
「何から何までありがとうな」
「気にするな・・・お前は俺の親友だからな」
「へへ・・・サンキュ、レオ」


扉を閉め、三階の部屋には更に読みにくい時でアマギ・クウガと書いてあった。


「ふー・・・」


開けると、そこはアーティフィシャルに居た頃と大して変わらない空間があった。


違うことはクローゼットがあり、中に制服が、机の中には生徒手帳があったことだけだ。


「・・・まさか異世界来てまで学校とは」


変な感慨に浸りつつ、荷物を片付けるのだった。


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