ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―

ファング・クラウド

BRIEFING:12 飛翔、戦艦登校

「クウガ、例の話だが」
「ああ、学校の件ね」


何時もの様にレオの部屋でワインを飲む。
最初は乗り気ではなかったが、飲まないのも失礼かなと毎回グラス一杯だけ飲んでいる。
もう日課みたいな物なのだ。


肴は日替わりだったが、今日はローストビーフだ。
ローストビーフの命とも言えるミディアムレアの部分がたっぷり。
ニンニクベースのソースもマッチしてシェフの腕の良さがうかがえる。


「明日からだ」
「んぐうっ!?」


ローストビーフを喉に詰まらせワインを一気に飲み、ローストビーフを押し流す。


「ぶはぁっ・・・明日!?聞いてないぞ?!」
「だろうな、今言ったからな」


きょとんとしてやがる・・・。


「お前・・・ぜってードエスだろ・・・」
「ドエス・・・?なんだ?それは、教えてくれ」
「くっ・・・!」


この王子様めッ・・・!
そんな有様に少し辟易しつつ話を進める。


「いきなり過ぎて準備だって」
「準備はメイドが済ませてくれる、問題はない」
「流石王子様・・・」
「・・・?」
「なんでもない、なんでもないよ、レオ・・・」


そうして突如として決まった明日からの学校。
聞けば今迄春休みだったとか、此方では一般的に春と秋に長期の休暇があり、夏と冬には無いらしい。
曰く
「厳しい環境に耐え勉学を励む事で健やかな精神と健全な身体は造られる」
そうな。
といっても、一部には連休自体はあり、地球と大差は無い印象だった。


「そういう訳だ、今日は早くに切り上げようか」
「・・・そういや、レオが自分でマリアを守るってのは?」
「生徒会副長でな、これでも忙しいんだ」
「なるほど、ね・・・はぁ・・・」


まあ、仕方ないか
乗りかかった船なんだ。
後で悔いるぐらいなら前のめりになる。
それで、いい。


「じゃあそろそろ寝るよ、お休みレオ」
「ああ、お休み、クウガ」


そうして部屋を出る。
帰り道の窓越しに星空を見る。
星の光が空を彩る様を見るのが、実は好きだ。
なんだか、知らない何処かに繋がってる様な、そんな気がして。


翌日、目覚めて支度をする。
一応買ってもらった黒いジャケットを羽織り、荷物を確認しようとすると


「何やってんの?ほらほら急いで急いで」
「え?え?」


エミィに追い立てられる様にして向かった先は裏庭だった。


「はい、入った入った」


押し込まれる様に裏庭の休憩所?に連れてかれる。
すると、ガコォン、と巨大な金具が外れる音がし振り向く。


「う、うぇえええええ!?」


裏庭が観音開きに開いて、中にある「ソレ」と浮いていた。


「何これ?何これ!?」
「何って航空飛艦艇ストラトス旗艦アヴァロキテシュヴァラよ」
「何それ!?」


ストラトス?!なんだよそれ!?


「・・・まさか、レオ王子様から聞いてない?」
「全く」
「はぁ・・・まだ悪い癖治っておられないのね」
「悪癖?」
「うん、レオ王子様、肝心な事を伝え忘れるのよ」


それで良いのか第一王子。


「私達はそもそも言われる前に察する仕事だから慣れてるけど・・・」
「あー・・・」


なるほど、つまりは王族故の悪癖なのか・・・。


「マリア姫様は大丈夫なのに・・・」


前言撤回、やっぱりレオの悪癖だ。


「で、なんでこんなので?」
「ああ、これから行くところはクライン国の「全国家魔法学校」マギステルガーデンって所なの、周りは海で囲われつつ、学校自体は空中にあるからよ」
「え、何それ」


わざわざ他の国に習いに行くのか・・・。


「やっぱり進んでる国で習うのが一番だからよ
うちからだけじゃなく、あらゆる国から来ているわ
あ、ちゃんと国民は国民用の学校があるから」
「なるほどなぁ・・・」


社交界や顔見せの要素もある訳か
そうだよな、そりゃ。


「到着まで二日よ、それまでゆっくりしなさい」


そう言って去ろうとする背中に投げかける。


「あ、ドーナツ旨かった!ありがとうな!」
「・・・べ、別に良いわよそれくらい」


何故か足早に進んでいった。


「・・・オレの部屋って?」


聞き忘れた。
ヤバイ、どうしよ・・・とにかく探そう、うん。
そう考え、艦内を歩くが、凄い感じだ。
艦というかホテルか何かだ。
こんなとこに泊まったらさぞや金がかかるだろう、なんて思うぐらいには凄い。


「うーん・・・」


困惑気味に彼方此方彷徨う。
するといつの間にか甲板に出ていた。


「わあ・・・っとと・・・」


中々に風が強いが、飛ばされるほどじゃ無い。
扇風機の中ぐらいだ。


「・・・・・・」


絶景。
心奪われる光景だった。
陽光を浴び、輝く山林と海を一望など、贅沢にも程が有る。


「あ、クウガ様」
「マリア、こんな所で何を?」


その光景を見ていると、マリアがやって来た。


「クウガ様こそ、いかがなさったのですか?」
「あー・・・ちょっとね、色々ぶらついてたらここに辿り着いて、で外の景色を見てた」
「クウガ様らしいですね」


にっこり笑み、そう言う。


「私も景色を見に来ました・・・私、この景色が大好きなんです
唯一の外の景色でしたから」
「マリア・・・」


かける言葉を失う。
改めて、彼女が生まれながらに重責を担った存在なのだと理解する。


「そして、今は別の意味でも好きになりました」
「へ?」
「うふふ、これは内緒です♪」


良い笑顔で内緒宣言される。
何かはぐらかされた様な気分だ。


「―――ぅぅ、やっぱり言えません、貴方と二人で一緒に観た光景だからなんて・・・」
「マリア?どうした?」


何かぶつぶつ言ってたけど、大丈夫だろうか?


「ひゃうっ!大丈夫ですっ!」
「なら良いけど・・・」


なんか最近何時もはぐらかされてばかりだな・・・。
それにへんな声を良く上げる様になったような。


「・・・・♪」
「へんなマリア」


くすくすと笑むそんなマリアを、静かに後にする。
降りた先を暫く行くと、露骨に張り紙で「クウガの部屋」って書いてある。
え、あ、うん・・・いや、良いんだけど、なんだか、もうちょっとどうにかならなかったの


かなあって。


「ふーっ」


どさー、っとベッドの上にダイブする。
ふんわーりとした優しい反動が体を包む。
相変わらず良いベッドを使ってるようで。


「空中艦ときたかぁ・・・流石に予想外だなあ・・・これは」




すると、突如声がする。
周りを見渡すと、頭の方になにやら画面が・・・・画面?
いや、正確には一枚のプレートみたいな液晶的な何かが宙に浮いている。


「空間ウィンドウ・・・ってアニメじゃ・・・いや、でもこの状況自体が」
「何を言ってる?クウガ・・・ああ、「画像投影ヴィジュア」は初めてだったな」
「ヴィジュア・・・?」
「この世界の戦略的情報通信手段だ」
「あー・・・・なるほどなぁ」
「驚いたか?」
「まあな、元いた世界でもこんなに進んだ技術はなかった」
「そうなのか?ソレは驚いた・・・クラインの科学力は君の居た国を凌駕しているのかもな」
「うーん・・・・・それは」


一考して、艦を見て。
やっぱり考え直す。


「・・・・・そうかもしれない」
「そうなのか?」
「ああ・・・・・・」
「ふむ・・・・」
「・・・・って!どうして今まで使わなかったんだよ!」
「へ・・・?」
「いやだってこういうのあれば態々来る必要も」
「共に会うのに直接ではいけないのか・・・・?」
「あ、いや・・・うん・・・そんなことないけど」
「そうか、よかった」


にっこり笑むコイツ・・・全くコイツは人たらしか。


「どうだ、艦は」
「悪くないよ、凄いんだな」
「そうか・・・・一眠りすれば直につく、ゆっくりしてくれ」
「そうか・・・わかった」


そういって、横になる。
ゆっくりまどろみの中に落ちていくのだった。






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