ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―

ファング・クラウド

BRIEFING:11 王都とエミィ

「クウガ、あんたちょっと臭うわよ」


部屋を掃除してる時にエミィにふと言われた。


「あー・・・ずっとこの服着てるしなぁ」
「どうしてよ!?というか通りで洗い物無いわけね?」
「そういうけど、オレ他の服ねーよ」
「そうなの?・・・うーん・・・」


軽く悩むとぽん、と手を打ち


「じゃあ、買いに行きましょう」
「へ?」
「へ?じゃないわ、さっさといくわよ」


ぱんぱん、と簡単にエミィはオレの手を無理矢理引っ張ってしまう。


「オレ金無いよ!?」
「じゃあ私の貸しにしてあげる」
「うへぇ・・・」
「何より、その臭いどうにかしないと会いに来られるレオ王子様やマリア姫様に失礼だわ」
「うっ・・・」


確かにそう言われると返す言葉もない。


「大丈夫よ、そんな高くないと思うから」
「なんで解らないの?!」


色々な意味でびっくりだ。
何故自分の国の洋裁店の値段が不明なんだよ!?


「私、6歳のころからずっとメイドしてるからよ」
「え・・・?」
「だから普通の服なんて買ったこと無いの、解った?
・・・あ、ちゃんとメイド服は一杯あるから汚くないわよ」
「わーってるよ」


なんだ、安心した。


「それにあんた町知らないでしょ?案内してあげるわ」
「良いのか?」
「ええ、それくらいついでみたいなもんよ」
「ふうん・・・ま、いっか、サンキュー、エミィ」
「どーいたしまして」
「じゃ、とりあえず脱ぎなさい」
「へ?」
「いいから脱ぎなさい、洗うんだから」
「今言った服は!?」
「とりあえず今日はこれ来なさい」


渡されたのは、パーティとかで使うようなヒラヒラの着いた服だった。
正直嫌だったが、仕方が無いので袖を通す。


「さ、いくわよ」


追い立てられる羊の様に城下町?に繰り出すのだった。




「・・・すげぇ」


思わず呟いてしまう程、活気に溢れていた。
どこもかしこも人がひしめき合い、笑い声と売り込む怒鳴り声が響いている。


「ここが、王都アーティフィシャル、この国の経済の中心よ


そういわれたその光景は、オレが今迄住んでいた都会の喧噪、光景と違う、そう、あえていうなら「生の鼓動」を感じる光景だった。


「どう?この街は」
「・・・なんつーかさ、生きてるって感じだな、すごい眩しいよ」
「そっか、まあ、気に入ってくれたなら嬉しいな♪」
「お、おう・・・」


吃ったのはわけ無い。
彼女の微笑みが眩しくて、予想以上に可愛かっただけだ。
若干残ったそばかすが余計親密感を生み出し・・・って何考えてんだ。


「どうかした?」
「いや、なんでもない・・・」


顔を合わせ辛くて顔を背ける。
なんだか照れ臭いなあ・・・


「さ、まずは名物からガンガンいくわよ!」
「お、おー!」


無理矢理に押される形でアーティフィシャル観光が始まった。
市場、職人街、住宅区と様々に見て回って解ったのは、アーティフィシャルの国民性は基本的にみんな気持ちいい性格だということだ。


「このココアドーナツが私大好きなのよねー♪」


といいながらサフサフと軽い音を立ててココアドーナツがエミィの口に消えていく。


「・・・そう言えば、食べ物の名前や、そこら辺の言葉は変わらないよなぁ」


そう、基本的な常識の「空気」とか、「水」と言った言葉や、食べ物なども言葉が変わらないのだ。
やっぱり、人間、考える事は同じなのかな。


「ん?・・・んー、私も詳しくは知らないんだけど、先史文明・・・アルトリヒティアって言われてるんだけど、それの遺跡に全部そういった呼称や料理、それに魔法が載ってたんだって
で、その子孫たる私達も先人と同じ言葉を使おうってなったの」
「へぇ・・・」
「クウガみたいに渡界人の事も載ってたそうよ、だから私達は余り驚かなかったし、疑わなかったの」
「なるへそ」


アルトリヒティア・・・かぁ
もしかしたらそれに帰る方法もあるかもしれないかな?


「さ、そろそろクウガの服を見ましょうか」
「ああ」


食べ終えたエミィはそのまま向かい出した。
ついたその店は中位の店構えで、中々の店だった。


「ここが私のオススメよ」
「服にオススメとかあるん?」
「あるわよ!失礼ね」


そういい、店に入っていく。


「いらっしゃい・・・あらエミィ」
「やっ、ミドル。お久しぶり」
「またメイド服?何時もの・・・」


そう言いかけてオレを見つけ固まる。
そうしてオレを一瞥して、エミィを引っ張っていった。


「何、彼氏?あんたいつの間に」
「待った待った!あんたは何を勘違いしてるのよ!?」
「え、だって、男嫌いのあんたがねぇ」
「ねぇ、って何よ!?」


なんだか言い争ってるなー・・・。


「何、違うの?」
「違うわよ!」


何を顔を真っ赤にしてるんだか。


「あのバカに服を見繕いに来たの!」
「やっぱりあんたの」
「あんなでも一応国王様の客分よ!」
「え、じゃああの人がマリア王女を・・・?」
「そうよ・・・」


またこっち見てる。
とりあえず会釈してみる。


「なんなんだろう・・・?」


話が纏まったのかこっちに来た。


「さ、適当に決めてきなさい」
「お?お、おう」


それだけ言うとまた話し合いに戻っていった。


「芋栗南瓜長話、ってか・・・」


適当に見て回るが、中世欧州の服から現代風まであった。


「まあ、流石にサバイバルウェアはないよなぁ・・・」


当たり前だが、そー言ったのはなかった。
うーん・・・どうしたものかと考えていると突然エミィがこっちに来た。


「どう?決まった?」
「いやぁ、まだかなぁ」


どうやら大分時間が立ってるようだ。
ううん・・・。


「じゃあこれとこれでいいわね」


勝手に決められた。


「ちょっおまっ」
「何よ、私のお金でしょ」


それを言われては勝ち目は無く、袋に入った勝手に決められた服を片手に後にした。
まいどありー、と声を出すミドルっていう店主が何やらニヤニヤしてたけどなにがあったのやら。


「まあ、何はともあれありがとうな」
「あによ、なんだか変な気分ね」
「オレだって世話になったら礼くらい言うさ」
「あらそー、なら素直に受け取っとくわ」


城へ戻る階段を登りながらそんな事を話す。
ふと夕陽に気付き、顔を向けると


「・・・やっぱり、凄い」


自然が作り出す光景はあらかた見て来た。
必要な物が必要な在り方で配置され、それを時の流れが研磨した正に自然美。
それとは違う光景だが、それでも感動していた。
たかだか夕陽に染まる街なのに、心が動かされていた。


「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
「そっ、なら早く行くわよ。大分遅くなったから」


からかわれるのが何だか癪で、黙ってその場を後にしたのだった。


「うん、似合うじゃない」
「そーか?」


黒いジャケットと、皮のジーパンみたいなズボンだった。
それと真逆の白いジャケットも一緒に入ってた。
お、これホルスターみたい。
ホルスターにしちゃ細いけど。


「アンタ、レオ王子様にマギアエッジを頂いていたみたいだったから、マギアエッジ用の吊るし・・・よ」
「なるほどなあ、細かいとこまで見てるんだな」
「ま、まあメイドだからね」


なんだか照れた様子で返す。
どうしたのか。


「じゃ、アタシもそろそろ行くわね、また明日」
「おう、またな」


そうしてエミィは部屋を後にする。
そうして服を片付けてると服の中からポロリと包みが落ちる。
何かなと開いたら、中にはココアドーナツが入っていた。


「全く、素直じゃねーんだな」


軽く笑み、口にほおばると、口の中に脂と砂糖の甘み、それからカカオの香りが口の中を駆けて行く。


「・・・旨い・・・」


サフ、サフ、と食べ勧める。
あは、なんだか懐かしい味だなあ・・・。
一口ごとに懐かしい味が、体を満たすのだった。




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