ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―

ファング・クラウド

BRIEFING:10 Mission Result

牢屋の中で過ごす事三日が経った。
所謂貴族とかの上流階級の人間の牢屋なんだろうな。
牢屋と言うよりは個室に近い。
壁にも普通に窓があり、自由に外の空気を入れ替えられる。
普通の部屋との違いは出入り口と窓の扉には柵があり、食事搬出用の扉があると言う差だ。


「さぁて、どーしたもんかなぁ・・・」


我ながら大胆な事をした。
アニメや映画じゃあるまいし、パーティに殴り込んで結婚にいちゃもんつける。
あー、ヤバイ、結構イタイぞこれ
好きな相手ならともかく、いくら嫌がっているからってやり過ぎたかもしれんし
イタさが倍ドンってレベルじゃねーぞ・・・


「うあああぁぁぁぁぁぁ・・・」


恥ずかしさで悶絶する。
この三日間は「起きる、思い返す、悶絶、飯、思い返す、悶絶、飯、思い返す、悶絶、飯、寝る」の無限ループだった。
正直、正直。
くっ殺せ、自分自身を、くっ殺せ


「季語がねーよ!」


余りの恥ずかしさで暴走まで始める始末。


衛兵も最初の方は
「大丈夫ですか・・・?」
とか
「何かありましたか?」
と聞いてきたが、今じゃノーリアクションだ。
慣れてしまったのか、哀れに思われたのか。
それだけでもクル物がある。


そんな風に悶えてた時だ。


「クウガさん、荷造りを」
「?刑が決まったのかな・・・?」


島流しとか、所払いかな?
荷造り・・・といっても、着替えを纏める程度だが、荷物を纏め、出る準備をする。


「ご苦労様でした。窮屈な思いをさせてしまって」
「あはは・・・これで窮屈ってんなら、日本の家は皆窮屈だな」


苦笑気味に衛兵に付き添われ、誘導されるままに向かう。
着いたのは


「・・・ここ、前までいた部屋じゃ?」


騒動を起こすまでいた部屋だった。
え?どういう事?


「それは俺から説明するよ大罪人」


背中から声をかけられる。
振り返ると、そこにはカイルがいた。


「あー、全くなんなんだよお前・・・どうしたらあんなことが出来るんだよ・・・」


呆れた様な調子で話し掛けるカイル


「あはは・・・えーと・・・勢い?」
「勢いだぁ!?」
「解った解った!すまん!悪かった!」
「はぁ・・・」


深い溜息をつかれた
そこまでかなぁ・・・?


「で、オレは結局どうなるんだ?」
「ああ、その話だったな」


思い出したかの様に語調を変え、真面目な顔で語り出す。


「簡単に言えば、無罪放免だ」
「は?」


ポカーンと開いた口が塞がらない
え?どゆこと?どゆわけ?は?


「あの後、両国の王様が会談をしてな、マリア姫様の婚約は取り消し、抹消される事になったんだ」
「そうなんだ・・・そっか、良かった」


とりあえず安堵する。
マリアがこれで当面自由になったんだな、無茶した甲斐はあるな。


「で、アーティフィシャル王がこう話されたそうだ。
「婚約が無くなったのだから、婚約を破ろうと乗り込んで来た者は罪に問えなくなってしまったな。
何せ、破るべき婚約は無かったのだからな。
絵に書いたパンを盗もうとした者に罪はなく、架するべき罰もありはしないのだからな」とね」


正直、空いた口が塞がらなかった。
なんつー理論だ。
だが、そのおかげで無罪放免なんだから文句は無いが・・・
どうやらかなり癖の強い王様の様で。


「成程、な」
「ああ・・・全く本当、お前って凄いな」
「は?」
「お前の無謀で変わっちまったもんな・・・マリア姫様は自由になったし」
「偶然、そうなっただけさ」
「それでもだ」


話す言葉に熱が入るカイル


「お前が居なかったらもしかしたら俺はあの戦場で死んでた。姫様はあのまま望まぬ御婚約をなされてた。もうお前は二人を救ったんだ」
「言い過ぎだよ、ただの偶然だ」
「偶然なもんか、きっとクウガ、お前はノアの使徒として選ばれたんだよ」


確か、魔法使いの救世主だったかな?ノアって


「そんなの、要らないさ」
「要らないって、お前」
「オレの生命はオレの物だ、オレの時間はオレの物だ
ただの一秒だって誰かにやるつもりは無い、オレの全てはオレの物だ」
「・・・あははは!そうだな、そりゃそうだ!」


笑い出すカイル
何が何だか分からず戸惑う。


「そんなお前だから、救えたんだろうな・・・」
「・・・?」


ボソッと何かを呟いた様な気がした。


「そんな事より、今日はゆっくり休めよ」
「延々と立話させた人間のセリフがそれ?」
「悪い悪い、ゆっくり休めよ」


部屋に入ると、荷物は綺麗に置かれてた。
埃一つ被ってない。


「エミィかな・・・エミィにも謝らなくちゃな・・・」


ベッドにダイブして天井を仰ぎ左腕の肩あたりを撫でる。
あの時、切られたんだよな。
切られたと言う事は、最初に負けた時は本気じゃなかったと言う事だ。
あの時本気なら、肋骨ごと心臓を断ち割られてた。
耳も、いつの間にか戻ってた。
誰が、何の為にしたんだろうか。


思考に耽っているとコンコンとノック音がする。


「はい、どうぞ」


言葉を受け、入って来たのはレオだった。


「どうだ・・・?身体の具合は」
「すっかりナマっちまったよ、あー・・・」


ぐーっ・・・と背伸びをする。
背骨がぽきっと鳴り、あたたと背中を撫で、お互いに顔を見合わせて笑った。


「マリアを・・・妹を助けてくれた事、本当に感謝している」


一頻りお互いに笑った後、レオが切り出してくる。


「助けたなんて・・・ただ女の子との約束を守っただけさ」
「だが、結果助けた」
「なんだかそーゆーのむず痒いよ」
「あの時、俺も出たかった・・・同じ様に剣を取り、相対し、マリアを守りたかった」


あー・・・どうやら、その役回りをオレに回した事を気にしてるのか。


「気にすんな、お姫様守ったてのはなんだか貴重な体験だったからさ」
「・・・あの場で死んでもおかしくはなかったんだぞ?」
「死んだら死んだ時さ
人はいつか死ぬさ、今日か明日か明後日かずっと先か・・・解らないけどいずれ死ぬ
だから、後悔だけはしたくない・・・それだけさ」


あっけらかんと言い放つ。
唖然とした表情の後、吹き出し、くっくっと笑うレオ。


「そんなにおかしいか?」
「いや、おかしくないさ、ふふ、だが余りに年寄りめいていてな」
「ひっでー、これでも17だぞ」
「なんだ、マリアと同い年か」
「へぇ・・・」


同い年だったんだ、マリア
ふと黙り込むレオ、見ると何かを考えてるのか。


「クウガ、お前、学園に行ってみないか?」
「学園?」
「ああ、魔法使いと王族だけが入学を認められる学園だが、一人くらいならネジ込めるさ」
「若干ブラックな発言だなオイ」
「まあ、二つ名を持ち、俺が推薦した、とすればなんとかなるだろうな」
「へー・・・ん?二つ名?」
「ああ、魔法使いが名乗る際の通称みたいな物だ。
だが、誰でも二つ名を名乗れる物じゃない、相応の力が無ければ二つ名を名乗っても生意気だとされる」
「へー・・・で、その二つ名をオレが?」
「そうだ、「赫獣」ジャバヴォックのクウガだ」
「ジャバヴォック?」


どーゆーことだ?
ジャバヴォックって不思議の国のアリスだよな?


「知っているのか?」
「少しだけ?」
「なんだそれは・・・まあいい、使徒ノアに付き従い、歯向かう邪教と魔物をその鋭い爪で引き裂き、片っ端から喰ったという・・・その魔獣の名がジャバヴォックだ」
「そら、随分御大層な名前を貰ったもんだ」
「泊が着いていいじゃないか」
「そうかねぇ」
「マリアを護るんだ、避けるべき戦いは避けるべきだ」
「つったって・・・ん、まてよ、今なんて?」


少し気になる単語が聞こえた。
なんだろうなー・・・


「お前が俺の代わりにマリアを護るんだ」
「どしてそうなった!?」
「それが俺がお前の入学を推薦する理由だ」
「成る程、レオ、お前妹の番犬が欲しいってことか?」
「そうだ、今迄はマケルド王子の許婚だったわけだが、今ではフリーだからな・・・・色々ちょっかいをかけてくる奴が居るだろう」
「まあ、だろうねえ・・・・」
「そこでお前だ」
「はぁ・・・まあ、いいよ、それぐらいなら」
「・・・・・すまないな、面倒事ばっか」
「いいっていいって」
「・・・・・では、その方向で話を進める」
「ああ、頼むよ」


立ち上がり、部屋を出ようとするレオ。
出る直前でちらりとこちらを見て


「・・・・妹に手を出したらお前でも許さん」
「あ、はい」


ほんと、妹思いのお兄さんですこと。


そんな事を思いながらう横たわる。


「学校、か・・・」


サバゲー部の皆、何してるんだろう・・・・。
オレの事で心配させちまってるしなぁ・・・・。


「元の世界に戻る方法、考えないとなぁ・・・・・」


ぼんやりと考えると、また部屋をノックされる。


「私です、マリアです・・・少し、よろしいでしょうか?」
「へ?あ、どうぞ」


体を起こすオレ。
するとおずおずと扉を開けてマリアが入ってくる。


「あの、その、ありがとうございました・・・!」
「へ?」


急に頭を下げるマリア


「あ、ああ、気にすんなって」
「でも、貴方が戦ったおかげで私は・・・!」


言い切る前にそっと首を振る。


「マリアの為に戦ったわけじゃない
ただあいつが嫌いで、オレは筋を通したかった。それだけさ」
「ですが、その元は私です!私があんな約束を・・・・」
「約束は片方じゃ成りたたねえ、オレは自分の意思でその約束を飲んだんだよ」


軽く頭を撫で、軽く笑む。


「・・・・・っ」


感極まったのか、涙目になりながらこちらに抱きついてきた。


「私・・・私・・・・!」


ちょ、力強すぎて胸が!胸があああ!?!?
・・・・思ってたより大きくて、ほよんとやわらかい感触がああ!!?


「あ、い、いいから!!」


ちょっと強引に引き離す。
これ以上は色々まずい、うん。
ちょっと驚いた顔になりつつ、衣服を整えるマリア
そして、意を決したかのようにこちらを向き


「・・・・私、これから頑張りますね、勉強に、魔法に、運動に」
「あ、ああ、頑張れよ、マリア、応援してるから」


それだけ言うと、彼女は部屋から出て行った。


「・・・はあ、なんだか、スッゲーことになってきたなぁ・・・」




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私は、今までずっと籠の鳥でした。
目に見える世界しか見えない箱の鳥。
でも、それが私の役目だと信じて。
それが、私がみんなの為にできる事だと信じて、我慢してきました。
でも、そんな時、一人の旅人が現れました。
私に籠の世界の外を教えてくれた人。
我慢しなくていいんだよと、言ってくれた人。
ついには私を、籠の外に出してくれた人。


私、もう自分に嘘をつきません。


「これから、頑張りますね・・・勉強に、魔法に、運動に・・・・恋に」


籠から飛び立った少女の話は、これから始まるんだから。




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