ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―

ファング・クラウド

BRIEFING:07 TacticalEspionage

「異常なし」
「ご苦労様・・・まあ、異常があったらヤバイけどな」
「それは、そうですね」
「マケルド王子様が羨ましいよ、全くさ」
「マリア姫様は綺麗だからなぁ・・・」
「全くだ」
「「ははははははははは」」


・・・そんな笑う衛兵二人をよそに、少しずつ移動する。
転移した後、すぐさまギリースーツを着込み、銃にはカモを施し、ゆっくり出入りする馬車の下に何とかしがみ付き、内部に入り込めた。
確かに近くとはいえ、大分アバウトだったな・・・。あんまりゲートが使われない訳はここにもあるのだろうか。
地べたに寝転がり、指の力と全身運動でゆっくり前に進む。
夕暮れの闇の中でギリースーツとはいえ、油断は禁物、ゆっくり、確実にアタックポイントへ。
密かにトラップを仕掛けつつ、進む。
衛兵が目を離した瞬間、その場で前転し、城壁の死角に回り込む。


「ふう・・・まずはクリアか」


ギリースーツとカモを外し、素早く次のポイント・・・城内部に向かう。
パーティ会場は東側大広間となっていた。
なら西側はまだ薄いはずだ。


「ふー・・・まあ、案の定だな」


外とは比較にならない数の衛兵だ。
目指すは西側上部。


「・・・」


Kampfpistoleカンプピストルをマガジンポーチから取り出し構え、ゆっくりと進む。
ナチス・ドイツが作り出したこの銃なら、見ただけで撃たれたらヤバイというのを想起できる。
例え、現代銃を知らなくても、これが撃ち出す物だと解るのならば。
何せ26.6mmという口径の大きさから原初的恐怖を呼び覚まさせる事ができる。


その時、一人の衛兵と鉢合わせる。


「お前・・・!!」
「動くな・・・ッ」


素早く軽鎧の胸元を引っ張り、Kampfpistoleカンプピストルを顎に当てる。
引金を引くのは最後だ。


「ま、まて、俺だよクウガ、カイル・マツァベートだよ」
「カイル?」


確かに、そう言われたらカイルだ。


「カイル・・・お前も警備に・・・?」
「あ、ああ・・・お前もそうじゃないのか・・・?」


・・・成る程、レオの手回しか?
言ってくれれば・・・いや、合同警備だろうからやっぱり無駄か。


「ああ、そうだ・・・どうだ?」
「いや、異常はないさ」
「カイル、ここだけの話だが、賊が入り込んだという噂を聞いた・・・気を付けてくれ」
「なんだって?」


すまん、カイル、騙すような真似して。


「上はオレが見るよ、カイルは引き継ぎここを頼む」
「それより、さっきの賊が入り込んだって言うのはどういうことだ?」
「ああ、まだ情報が錯綜して真偽は解らないんだ・・・だから気をつけるだけつけてくれ」
「そうか・・・解った、クウガも気を付けてくれよ」


そうして西側上部へと向かい、へりの有る窓にたどり着く。


「さ、御仕事いくか」


指貫グローブを強くはめ直し、気合を入れる。
上ヘリにしがみつくようにして、上に登る。
上がるのはしんどいが、片足がかかればいい。
何とか登ると、オレはすぐ側の鉄の棒の様な塔にカラビナをかけ、ロープを張る。
そこに自身の命綱をカラビナで繋ぎ、ゆっくり東側へ向かう。
既に日は暮れ、月明かりが足元を照らす。
現代の夜道とは違い、正に暗闇と言うべき暗さ。
そこに月明かりが有るだけでぼんやりと足元が見える。
東側に辿り着き、ロープを繋ぎ止める。


「月はやっぱり一つなんだ・・・」


ファンタジー物だとよく二つや三つ月があるが、ここは一つなんだなぁ、とリラックスした思考を取りつつ作業をする。
作戦開始まで後少し、ゆっくりバブリシャスを噛みながら待つ。
スターライトスコープを覗き込む。
暗闇の中に、移動中に置いたトラップ―――クレイモアが浮かび上がる。
移動中の兵士が通り掛かるタイミングに合わせて――――


「3、2、1」


静かに手元のスイッチを押す。
クレイモアが機械音と共に内蔵したBB弾200発を角度60度、仰角18度にばら撒く。
それが兵士に当たる。
金属音と顔に当たった人間の痛がる音が響く。
さらにそれに連動する形で置いた自作フラッシュバンが作動し、強烈な光が辺りを照らす。
中と違って軽装の外の護衛であれば、十分なほどの「襲撃」と取れる筈だ。


「ぐああ!?なんだ?何が起きている?!」
「今の光は何だ?何が起きているんだ?!」
「中に!城内の衛兵に連絡を!!」


見るだけで、混乱状態だと言うことが解る。


「悪い、カイル・・・」


再び自責の念に駆られ、気持ちを軽くしようと居ないカイルに謝る。
スターライトスコープを外し、マガジンポーチにKampfpistoleカンプピストルと一緒に入れる。
そしてしっかりロープをカラビナに通し、ゆっくり壁伝いに降りる。そしてP90TRSCを片手に構え会場ステンドグラスに到達。
思い切り蹴り、宙に浮き、割り入る。


バキャアアアアン!!と甲高い音がし、若干顔が痛い。
指にガラスの破片が刺さらなかったのは良かった。


スタッ、と足のばねを使いゆっくり着地して立ち上がる。


唖然とする顔
驚愕に染まった顔
来たか、と微かに笑む顔。
それら全てををよそに、体制を取る。


誰が仕組んだか、誰が望むのか。
満ちるものが満ち、撓むものが撓んだだけ。
誇りと意地、それだけが今ここにある。
舞台が整い役者が揃えば暴走は始まる。


リベンジ、させてもらうぜ。




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