ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―

ファング・クラウド

BRIEFING:03 コンプレックス

コンコン、とドアをノックする音が聞こえる。
その音で目を開けると、外は既に月夜になっていた。


「失礼致します・・・・お休みでございましたか?」


年の頃は近いぐらいの赤髪セミロングのメイドが入ってくる。
ちょっと鼻元にそばかすがあるのがなんだか親近感がする。


「あ、ううん、そんなこと無いよ」
「そうで御座いましたか、私、本日より王様の命によりクウガ様の身の回りの世話をさせて頂くエミリッタ・カーマインと申します」
「へ?ええ?別に良いよ」


うーん、メイドさんというのは男子高校生にとってはエロい発想で凄い良いんだが
実際にこうして「御世話します」って言われるとエロ想像より恥ずかしいって感情が凄い。


「ですが、私も王様の意向で参っております。無碍に断られたら私の首が危ないのです」
「あー・・・そういう展開かー」


露骨だよね、よく有るけど本当にあるんだ。


「うん、じゃあよろしく、エミリッタ」
「はい、クウガ様。早速ですが晩餐の用意が整っております。着きましては案内せよと王様より申し付かっております」
「ん、解った・・・あ、エミリッタは何歳?」
「は?え、えと・・・・何故です?」


不思議、といった表情で聞き返すエミリッタ


「いや、なんか若いなーって思ったから」
「・・・19ですが」
「あ、年上なんだ、じゃあオレには敬語は要らないよ」
「へ、へ?」
「年上に敬語使われるのは違和感だし、いらないよ」
「・・・あ、は、はい・・・では・・・・こほん、じゃあ私の事も、エミィって呼んで頂戴。親しい人はそう呼ぶの」
「オーケー、エミィ。じゃあ案内お願い」
「ん、解ったわ。こっちよ」


案内された先には広いテーブルがあり、そこにアーティフィシャル王と、恐らくアーティフィシャル女王。それにレオ王子とマリア姫が居た。


「クウガ様を御連れ致しました」
「ご苦労でした、下がってよろしい」
「はっ・・・・・」


女王が労いの声をかけると頭を下げ、去っていくエミィ


「ははは、何を突っ立っておる、ほれ、席に腰掛けたまえ」


腰の頃初老の辺りの老執事が席をずらして礼していた
「どーも」と挨拶し、腰掛けると、席を直してくれた。


「私達家族はできるだけ食事は共に取ろうと決めているのだよ、もしよければこれから毎日共に食事してくれぬか?」
「え、あ、えと、はい、よろこんで」
「はっはっは、硬くならずとも良い、なに、私と妻にもそなたの話を聞かせて欲しいのだ」
「は、はあ・・・・」


結論から言うと、話はウケた。
どんなにたわいない話でも、王様達には興味深い話の様で、すごく食いついていた。
過去に異世界者が来る例はあったそうだが、こうして食卓を囲んだのは初めてだという。
そして、食事が終わると、レオ王子がオレに声をかけてきた。


「なあ、少し時間をくれないか」
「え?あ、はい、いいすけど」
「長い時間はとらせないさ」


長い回廊を通り、王子の私室に行く。
すると、そこには空が一望できる天蓋に、執務机とシンプルなベッドだけの殺風景な部屋だった。


「驚いたか?一国の王子の私室がこんなんで」
「え、あ、ああ・・・まあ」


自嘲気味に話すレオ王子
ポツリポツリと内情を答えてくれた。


「結局のところ、俺達「に使われる」金はあっても、俺達「が使える」金はないという事さ・・・・前王・・・俺のおじい様の時代にドロテオ皇国と長い長い戦争を初めてな・・・・以来軍費で金は飛びっぱなしだったのさ・・・・だが俺達は国民の象徴だ。国民を不安にさせるわけにはいかない。その為にかかる金は出さなければならない・・・既にこの国は火の車ってわけさ」
「そうだったのか・・・・・・」
「その為に・・・・俺も、たった一人の妹を、失う事になった・・・・」
「どういうことだ・・・?」
「政略結婚という奴さ・・・」


つまり、金で・・・・マリア姫を「結婚させた買った」・・・?


「・・・・・ひどい、な」
「一皮剥けば、王だ貴族だといったって、所詮は金さ・・・いや、違うな・・・所詮はプライドだ、「王」や「貴族」という名前にこだわっているのさ」
「・・・・・」


オレは、何もいえなかった。
かけてやれる言葉すら、なかった。
そんなオレの顔を見て、少しトーンを変えて


「そうだ、そういう話の為に呼んだんじゃない・・・・そういえば、お前の世界でも俺の髪の色はおかしいのか・・・?」
「へ?」
「俺は、何の因果か黒い髪に、黒い目だ。おまけに魔法の属性は闇・・・悪魔の子と呼ばれたこともある」
「魔法の属性・・・?」
「そうか、お前のいた世界では魔法はなかったんだったな・・・・この世界には七つの魔法の属性がある。
光、火、土、音、風、水・・・そして闇だ、あ、言って置くが必ず死ぬ魔法とか、人をいいなりにするような魔法を闇の魔法というんじゃないぞ、そういうのは「外法アウタースペル」という」
「アウタースペル・・・・」


そういった魔法も、やっぱり存在するのか・・・・
魔法にも色々有るんだな・・・オレには関係ないけどな


「で、どうなんだ?おかしいのか?おかしくないのか?」
「大丈夫だよ、レオ王子、むしろオレの方がおかしいぐらいさ・・・オレから言わせりゃ羨ましい位だよ」
「う、羨ましい?」
「こういう頭してるとさ、生意気だって喧嘩売られることもしばしばだったからな・・・でも、この髪の色はさ、母親譲りなんだ、だから絶対に変えたくないんだ」
「・・・好きなんだ?」
「ああ、普通の両親だけどさ、オレにとっては大事な二親だからな・・・それとレオ王子、髪の色ぐらいで悩むなよ」


ニッっと笑み、語りかける。


「言いたい奴は言わせておけばいいさ、少なくともお前は嫌じゃないんだろ、その色さ」
「・・・・・・」
「いいじゃねえか、王子様らしく、オリジナルカラーってな」
「・・・・ふっ・・・・はははは」


突如笑い出すレオ王子
な、なんか面白い事いったか?


「ありがとう・・・クウガ・・・そんなことを言ってくれたのはお前が初めてだよ」
「そ、そうか?レオ王子」
「俺の事はレオでいい、クウガ・・・・妹のことも、よろしく頼む・・・・アイツにとっては、僅かな時間なんだ、お前の話で少しでも・・・・」
「レオ・・・・・」


レオの瞳に、何かが滴り落ちている
涙だ・・・・・。


「俺は・・・情けない兄だ・・・・・・・・・・自分が嫌で嫌でしょうがない・・・・」
「そんなことないさ、レオ・・・誰かの為に泣ける奴が、情けない奴なはずがない・・・それは、どんな世界でも一緒だと思うぜ?」
「クウガ・・・・」
「マリア姫のことは、うん、オレも出来る限り気にかけるよ、何が出来るかわからねーけどさ」
「ありがとう・・・クウガ」


涙を拭い、礼を言うレオ
立ち上がると、机の方に歩き出し、何かを一つオレに手渡す。
両手で持てる位の短い筒だ。


「今の俺がお前にあげられるであろう唯一といっても良い代物だ、「魔導刃マギアエッジ」という魔導具だ・・・魔導具とは魔法使い以外でもある程度の魔法を使えるような機械だと思えば良い、それは魔力の刃が出せる」
「へぇ・・・・ってビームサーベルって事かよ・・・・」
「ビームサーベル?」


怪訝な顔のレオをよそに、スイッチを入れるとビシュイン!と光輝く刀身が現れる。


「おお・・・すげえ・・・・」
「少し待っていろ・・・・大いなるものよセクリタス彼の物を欺けエウロートレンブ影法師バイラルディアウド』」


杖を持って、何か呪文のような物を唱えると、レオの影がそのまま起き上がり、目の前に立った。


「クウガ、この影法師に向かって刃を振ってみてくれ。それで君の属性が解る」
「い、いいのか?」
「影法師は身代わりの魔法だ、何も気にする必要はない」
「わ、解った」


ふふふ、これでも一応じいちゃんに無理矢理古流剣術を仕込まれた身だぜ
・・・・・・・竹刀が重くて、辞めたけど
ひ弱で悪かったな!どうせそんなんだよ!!


「どうした?早く見せてくれ」
「あ、ああ、悪いレオ」


正眼に構え、一気に正中線を斬る。
・・・・・ように振り下ろすとバキィッッ!!っと鈍い「打撃音」がして影法師は吹っ飛び消えた


「へ?え?剣じゃないの?」
「ああ、属性にもよってな・・・どうやら今のは「衝撃」、土のようだな」
「え、土?」
「ああ」


な、なんかしっくり来ない属性だなぁ・・・・


「気にするな、属性は人それぞれだからな」
「レオがそれ言うか?」
「ふふ・・・・そうだったな」


互いに笑いあうオレ達
刃を収めると、レオがマギアエッジの柄を掴む。


「これには魔力のチャージが必要でな・・・・・・」
「チャージ?」
「ああ、そうだ」


ポワッ・・・っと淡い光があがったかと思うと、光が中に吸い込まれていく。


「・・・これで良いだろう」
「サンキュー、レオ」
「さんきゅー・・・ふふ、オレにそんなことを言う奴は初めてだよ」
「そりゃ、世話になったダチにはいうでしょ」
「ダチ・・・友達、だと・・・?」
「おう、御互いを名前で呼べば、もう友達だろ」


拳をレオの前に向ける


「・・・・ふふ、そうだな、クウガ」


こつ、っとぶつけ合う音が闇に包まれた部屋に響くのだった






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