童話アベンジャーズ

茜奏

第1話 クマさんの逆襲

 
 むかしむかし、あしがら山の山奥に、金太郎という名前の男の子がいました。
 金太郎の友達は、山の動物たちです。

「はっけよい、のこった、のこった」
「金太郎、頑張れリス!クマさんも負けるなリス!」

 だけど、勝つのはいつも金太郎で、大きな体のクマでも金太郎にはかないません。

「金太郎は強いなあ、でも次は負けないクマ……」

 そう言いいつつもクマは内心、金太郎に勝つ自信はありませんでした。

「もう何回負けたんだろう。これじゃあ、クマとしての威厳がないクマ」

 クマはひとり切り株の上に腰掛け、ため息をつきました。
 ちょうど、そんな時でした。

「ここ掘れワンワン!」

 クマの前にやって来たのは、真っ白な犬でした。
 はて、こんな犬、森の動物たちの中にいただろうかと、クマは首を傾げます。

「キミは誰クマ?」
「俺は幸福を呼ぶ犬、ポチだワン。あんた、強くなりたいんだろう?」

 ポチと名乗る白い犬はトントンと足元の土を叩き「ここ掘れワンワン!」と言うのです。

 クマは言われたとおり、その土を掘り起こしてみました。

「こ、これは……?」

 そこにあったのは、黒く禍々しい数珠でした。

「それを、手にはめるんだワン」
「こうかい?……うっ!?なんだクマ!?」

 手にはめた途端、数珠は黒く光だし、クマの全身を覆います。

「何……クマ……グマァァァァッッ!!」

 その数珠は一瞬にしてクマの意識を狩りとり、体を乗っ取ってしまいました。

「上手くいったワン。さあ、存分に暴れて金太郎や、動物たちをこの森から追っ払うんだワン!」
「グマァアッ!!」

 クマ目を爛々と光らせながら、金太郎のいる方へまっすぐ走って行きました。

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