異世界で神から最強の力を手に入れたはずがそれが最弱だった件について
第四十話 明日香との拷問の果てに
「裏切ったなんて酷いじゃない。私は竜二を手に入れるためにこうして捕まえたんだから」
はーはーと荒い息を吐き、俺の顔近くに自分の顔を近づけ、話す。
「なんで...こんなことを」
「だってーもう我慢できないんだもん!片隅で竜二を見ているのはもううんざり。ここまでしたからには私は引かないよ」
そう告げると殺人鬼は俺の唇を奪い、口の中を舌でかき乱していく。舌と舌が交わり、さらに激しくなる。
 
「や、やめ...」
俺は必死に拒否するが、殺人鬼は俺の頬を手で掴み、更に奥の方へと舌を回す。
数十分後、明日香が息苦しくなり、唇を離す。
「気持ちよかった...やっぱり竜二とすると違うね」
殺人鬼は顔を赤らめ、満足したかのような顔をする。
「ふざけるな!早く俺をここから出せ!さもないとお前を殺す!」
殺意をみなぎらせ、脅す。だが、殺人鬼は全く動じない。動じない所か、俺の言葉を聞いて興奮しているかのようだ。
「あら怖いじゃない竜二。さっき言ったでしょ。私は引かないって。今から私が竜二を調教して竜二の心を掴むんだから覚悟しといてね」
ウィンクを俺に放つ。
「お前が仲間になったのも、エリシアやアリシャと仲良くしてたのも全て嘘だったのかよ!俺たちはお前らのためにここへ来て...助けようと」
涙が溢れてやまない。俺は絶望感と殺意で狂ってしまいそうだ。
「全部演技。私は竜二さえ居ればいいの。エリシアちゃんやアリシャちゃんは竜二を狙う敵なの。だから排除しなきゃね」
「ま、まさか!アリシャはミーニャは!」
「隣の牢獄に入れているわ。まだ二人には利用価値はあると思うの」
「く、屑がーーーー!!!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
俺は殺人鬼を殺そうと前へ前へと体を動かすが、ピクリとも鎖は壊れない。
「ふふふっ。いい叫び声だわ。私好きよ」
「一つ聞いていいか?」
俯きながら、涙を流しながら、俺は聞いた。
「何?私は竜二の言葉なら何でも聞きたいの。一つと言わず何でも答えるわ」
「お前はティアと捕まったんじゃなかったのか?ご主人様に連れていかれて何でお前が捕まってないんだよ!しかも部下を従えて」
「この国は力あるものが全てなの。弱者は消え、強者こそが上へと進む。私はね。捕まったあの日。ここの牢獄に収容されたの。そこには沢山の汚れた女の子たちが入れられていて、私も少しは可哀想だと思ったよ。泣いている人や叫び声をあげる人がいて、凄くすごーくうるさかったから私は牢獄をぶち壊して、そこに居る女の子全員、皆殺しにしてやったわ」
何故か満足そうに殺人鬼は言う。何でこいつはいつもいつも平然としているんだよ!
「俺はお前を甘く見すぎていた。勝てると思っていた、それが俺の甘さだった。お前は死んだ方がいい!殺すなんて以ての外だーーー!!!」
「待ってよ!女の子達は苦しそうだったんだよ?その苦しみから解放させてあげたんだから感謝されてもいいぐらいなのに!竜二酷い。それから私は上へと上へと上がり、その度に騎士達を殺していった。そして、王が居る玉座まで辿り着いたの。その横には私を連れてきた王様の子供みたいなのがいて正直驚いたよ。まぁ、向こうも驚いていたけどね。まさか、王様の子供がこんなことするんだなーって、やっぱり王族ってのは何やっても許されるんだなーと思って。そして、私は王様以外のそこに居た騎士や全ての人を殺した」
「何で、王様も殺さない」
「だって王様殺したら、私はこの国の王になれないじゃない?だから生かしておいて、王様が国民全員に次期女王はこの私と宣言させれば、晴れて私はここの王になれる。そしたら竜二がここの王様になって、私が女王で、二人で幸せに暮らせるでしょ!」
「ふざけた幻想を。俺はお前には従わない。何をされようがどうされようが俺は絶対に」
「あら、そんなこと言っていいの?隣にはアリシャちゃん達が居るのよ?竜二の立場をわかっているの?」
「くっっっ!ゲスが!」
俺はこの真っ暗闇の空間に響き渡る程の叫びをあげた。
 
「竜二。これからがお楽しみよ」
そう告げると殺人鬼は胸の谷間にしまっていた小さな剣で俺の腕を切り落とした。
えー?
俺は突然の出来事に頭が追いつかない。
今俺、腕切られたのか?何で俺の腕がない?
「痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い」
大量の血が俺の右腕から迸り、今にも気を失いそうだ。痛すぎて熱くなる。むしろもう死にたい。
「あっはははははははは!竜二面白いー。待ってて今私が腕を治したあげるから!私に感謝しなさい!」
ー何を言ってるんだ、お前がやっておいて感謝とかふざけるな。
殺人鬼は落ちている俺の右腕を取り、元あるところに取り付けると手をかざした。手からは黒色の魔力が注ぎ込まれ、俺の右腕は元どおりに戻った。何の違和感もなく、動かせる。
「はぁーはぁーはぁー。ふざけるな!こんなことしても俺は絶対にー」
俺は最後まで言葉を告げることが出来ずに殺人鬼は容赦なくまた腕を切り落とした。しかも今回は両腕。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」
気絶しようにも気絶出来ない。殺人鬼は俺の腕を切り落とし、すぐさま治癒させる。何回も何回も何回もこれを繰り返す。どれだけだったのだろうか?気絶出来たらよっぽど楽だっただろうに。
俺は塞いでいた目を開ける。視界には俺の様子を伺っている殺人鬼がいた。
「竜二まだ目が死んでないー。はぁー。私だって竜二のこんな姿もう見るのやだよ。でも目が生きてる。悲しいー。これは抉らないといけないなかな。竜二が狂うまで!」
そうして殺人鬼は俺の目を抉り、すぐさま治癒する。まだまだ殺人鬼の調教は続くみたいだ。
ー怖い。怖い。目が見えなくなる。混沌の闇が渦巻き、誰かが呼ぶような幻聴も聞こえるような気がする。とても痛い。
その後も色々殺人鬼の調教は続き、俺はとうとう狂ってしまったようだ。腕を切られた、痛い。目を抉られた、痛い。爪を剥がされた、痛い。足を切られた、痛い。腹を裂かれた、気持ちいい。気持ちいい気持ちいい気持ちいい、痛みを越して、傷つくたび、気持ち良く感じる、
笑っている。俺が笑っているのを笑っている。痛いのにそれをされてしまうと笑いが治らない。
「はぁー。やっとだね。随分かかったなー。でもこれで私は竜二を手に入れた。凄く嬉しい!」
顔に血をつけ、殺人鬼は俺を見て満面の笑みを浮かべる。
《ダークテールリフレクションが限界を超えたので勇者から大魔王に進化します。》
どこからか聞き覚えのある声がした。でも、もうどうでもいいや。何も考えたくない。考えて考えるほど俺の周りの奴らは不幸になるんだ。だから考えない。
「竜二ー!キスして!」
殺人鬼は俺の顔に自分の顔を近づけて俺からのキスを求める。
「あぁ」
そして、俺は殺人鬼にキスをした。逆らうことが出来ない。逆らいことさえ考えられなくなってしまっている。殺人鬼は舌を絡めて来て、俺は心地よく感じてしまう。身も心も闇に吸い込まれたかのように黒くて暗い。
「気持ちいい...。大好き竜二!」
殺人鬼は俺を抱きしめ、頭を撫でる。
「これからは私と竜二だけの幸せな生活をしようね。ずっと一緒だよ。私がしっかりとこの国をまとめるから竜二は私についてくるだけで良いよ。大好き!!!」
「あぁ」
そうして俺は俺じゃ無くなった。
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※お読みいただきありがとうございます。今までは前編みたいなもので、これからが本編になっていきます。不思議な点や不自然な点などがあれば教えて欲しいです。直ちに修正していきます。また、感想をいただけたらめっちゃ嬉しいので書いてもらえたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
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